猟団家族悲劇編ー08ー
Xデーは意外と早く来た。元々忙しいカンちゃんであったが、日に日にログインする間隔が延びていった。そしてついにカンちゃんは完全にフェードアウトをした。俺の知らない所で、二人の関係が壊れたんだろう。それは言い換えればガオ君がフラれた事を意味していた。
さらに辞める理由を言わず、黙って去るという行為がカンちゃんとオニマルとの距離感を物語っていた。繋がりが突然断ち切れた悲しみというよりも、むしろ自身の不甲斐なさを痛感した。
3人とご一緒してた際、ガオ君は勿論、俺ですら、時間の全てをカンちゃんのLV上げに費やしていた。当然惜しみなく全面的に協力してきた自負がある。俺はカンちゃんに対して恋愛感情は一切なかったが一緒にやってきた同士として、手伝い続けた側の立場から言わせてもらえば、信頼みたいなものは積み重なっていたと思っていた。しかし、突然無言に去られる事で、その考えは甘いと気づかされる。つまり、ガオ君がカンちゃんしか見えてなかったのと同様に、カンちゃんはオニマルの事など眼中になかったのだ。だから、理由を告げる事もなく、最後の挨拶もなく去っていった。そしてこの無言の幕引きこそ、悲劇の予感としてまさに懸念していた最悪の事態だった。
ガオ君とカンちゃんが2人で行ってきた規約違反ギリギリの行為は、ある種の吊り橋効果(心理的に不安な事を二人でやる事で恋愛感情を抱く効果)のような関係だったのかもしれない。それを見て見ぬ振りをしてきた俺にも責任の一端はあるが、追求すれば3人のフレ関係はすぐ破綻するのは目に見えていた。だから何も言わず、ただ結論を先伸ばしにして漫然と2人のクエを手伝っていた。遅かれ早かれ結果は同じだったのだが、俺は、その破綻が怖かったんだと思う。
しかし話はコレで終わりではない。悲劇はさらに加速する。