猟団家族悲劇編ー07ー
カンちゃんはログインする度にLVが上がってるのを見て、めちゃ喜んでいた。そりゃそうだ。当人が関与してない所でLVが上がっているのだがら、こんなに嬉しい事はない。ガオ君もそんな喜ぶカンちゃん声を聞いて大満足していたのだろう。この流れで実際に3人揃ったら、カンちゃんのLV上げの手伝いを行うのだが(それでもカンちゃんのLVは低い)、いつにも増して2人は大はしゃぎだった。
しかし、2人がハイテンションで盛り上がっている最中、俺は全く逆の事を感じてた。
……そう悲劇の予感を。
いくらカンちゃんを好きだからとはいえ、アカウントを借りてまでLV上げをする行為は、いくらアピール手段とはいえ流石にやり過ぎなのではないか?
そしてその行為はカンちゃんから『楽しさ』を奪った事に他ならないのか?
ゲームにおけるLV上げは面倒くさい面もあるが文字通り『経験』である。地道な努力を糧にして勝利したからこその歓喜がある。俺はそれを猟団家族で学んでいた。その過程をふっとばして『最強』になったところで、そのキャラには愛着も慈しみも抱かない。二人の行動は目先の利に奪われて『成長』という楽しさを失った。……そんな風に受け取れたのだ。