名探偵編ー事件06ー
出会った頃からVC交流で仲が良かったピノさんとハッサン。おそらくピノさんもハッサンの気持ちには、トトでさえ丸わかりなのだから、わかっていたんだとは思う。その上でご一緒してたので、強引なアプローチや束縛に対し、ピノさんもまんざらでもないと正直思っていた。
ところが、全然違った。
「ハッサンが本当の大学生だったとしても弟の……ような存在で、これまで数々の言動にも許していたの。だけど……結果として……ここまでハッサンが増長するとは思っていなかった。……勿論、恋愛に発展するつもりもなかったのよ。」
時に声にならない時間が続く。静寂の中、すすり泣いているであろうその息遣いが切なく聞こえてくる。それでもVCで必死に伝えようとするその言葉のひとつひとつから、ピノさんの想いを、ピノさんの痛みを、トトは感じ取った。
ここまで、ピノさんは踠き、苦しみ、追い込まれていたのか!?。
TCでは決して伝える事の出来ない、感情を乗せた言葉を必死に紡いでくるピノさんに対し、トトは自分の考えの愚かさを恥じると同時に、自然と涙が溢れてきた。
トトはこの想いに答えるべく、あまり踏み込んだアドバイスはせず、話を全部聞いてあげることに徹した。
数日後、今度はハッサンからトト宛てにメッセが届く。