猟団家族和室編ー03ー
深夜の到着にも関わらず、じぃちゃんもばぁちゃんも起きて俺も待っていてくれた。そして挨拶もそこそこに、ささやかな土産を母さんに放り投げて俺は和室に直行した。そして、じいちゃんがココぞとばかり自慢してきた。
「4Kモニタ2台って壮観じゃろ?圧巻じゃろ?」
こんなん唖然とするわ!!ショールームでも見た事ないわ!!
こんな和のテイストを乱したイカれたレイアウト!!
つか、和室に4Kモニタが2台横に並んでる時点で黒い襖だよ!!
ねっ!ねっ!それよか、実際に画面に映して見してよ!!電源入れて早く見してよ!!
「畳の縁は踏むなよ」
それ、いつの時代の仕来りだよ!?
つか、俺以前にガッツリ4Kモニタが踏んでるよ!!もろ線上だよ!!
注意される前から部屋を見渡し俺が感じた違和感。それは床の間が4Kモニタのせいで完全に隠れてしまっている。確か昔は床の間に掛け軸や生け花を飾っていたのだが、今や完全にPCと配線置き場になっとる。『床の間』としての『上座』としての品位など微塵も見えない。
じぃちゃんは畳の縁は気にするくせに、なんで床の間が無法地帯なのか意味がわからない。こだわりの境界がわかんないよ!?
「こだわりなら、あるぞ」
どこよ?
「レディーファーストで上座に向かって右側の4Kモニタがおばぁちゃん専用。窓側の左にあるのが、おじぃちゃんの4Kモニタじゃ」
レディーファーストってなんだよ!?
それと右側と、どういう関係があるんだよ!!
「左側の窓を壊して侵入してきた敵からおばぁちゃんを守るのが、おじぃちゃんの紳士としての役目じゃろ」
防音2重窓を破ってくる『リアルの敵』なんかそうそう、いるわけないだろ!!
むしろ『敵』は正面2台の4Kモニタの中に、わんさかいるわ!!
そして、敵からみんなを守っているのはタンクのばぁちゃんの方だろ!!
いつも一番最初に敵大群の中に突入してるのは、ばぁちゃんの方だろ!!
もう別の意味でレディーファーストだよ!!