猟団家族動画編ー05ー
「お兄ぃちゃん〜今のエマの動きのようにやってみようか?。じゃないと『画』に、ならないんじゃ」
出来るわけないって!!。
エマの動きじゃわかんないから、端的に言葉で説明してよぉ〜!!
そして『画』っていい方、腹たつわ〜〜!!
「では、一つだけヒントをやろう。倒す順番じゃ」
倒す順番??
エマは最後にダーク・サイクロプスと一騎打ちしてた。ならば最初に倒すべき敵はゴブリンとオークなのか!?確かに俊敏な動きのゴブリン、一直線にダッシュしてくるオーク、そして大型の為、動きがもっさりしてるサイクロプス。単純に集団に囲まれたまま、目の前の敵を倒そうとするから駄目だったのかぁ!?。とはいえ、混戦ではやっぱり手数の不利で死んでしまう。俺にはエマみたいな敵の攻撃を避ける技術はない。ならばどうする??
……そか!!一度距離を取るか!!まずは距離を取ってダーク・サイクロプスがこっちにくる前に、ゴブリンとオークを相手にすればいいかもしれん。体格の違いがそのまま移動速度の違いになるなら、サイクロプスが近づいて来るまでにタイムラグがある。その間にゴブリンとオークを倒せる事が出来れば!!
作戦は決まった。エマは敵の攻撃に対しその場に留まり最小限の紙一重で避けてたが、そんな芸当が俺に出来るわけがない。少し卑怯だが今の俺のプレイヤースキルではこれがベストだと思う。よし、これでいこう!!
じぃちゃん〜〜準備いいよぉ〜〜!!
こうして21戦目が始まった。囲まれた状態から一度逃げて距離を取ると、予想通りゴブリンが一番早く迫って来る。次にオークが近づいて来るのだが直線的なダッシュなので避けやすい。そして最後にゆっくりダーク・サイクロプスが向かって来ていた。
これはイケる!!なるほどぉ〜『戦い』とは、こういうモノなのか。そして、ハッと思い出した。『連携』もこういうコトではないか?自分の出来る事と敵の行動パターンを比較して対処する事。これを個人単体ではなくPTとして考え突き詰めていく事が『連携』なのではないか!?
………ふと、そんな考えが頭をよぎった。
と、まぁ〜こんな妄想みたいに考える余裕があるって事は『死んだ』んですけどね。善戦虚しくダーク・サイクロプスに負けたんですけどね。
それでも、これまでの20戦とは全然違う戦いが出来た。明らかに互角な戦いが出来た。ただの殴り合いのゲームではなく、ちゃんと状況把握から考察し終始プラン通りに戦えた気がした。これが前に父さんの言っていた『操作が上手いとかヘタとか、そういう話ではないぞ』の真意なのか?
最初からエマを上手いと別格扱いし、俺は下手と決め付けていた。でもそうじゃなかった。『戦い』とは、そういうモノではなかったのだ。確かに本質的には上手い下手はあるだろう。しかし上手い人の戦い方、下手な人にはそれなりの戦い方があって、2つは同じでなくてもいいのだ。
それぞれが意味のある行動をすれば下手でも、わかってくれる人が見ればちゃんと理解してもらえる。
そうだよね!!そういうことだよね!!やっと気づくことが出来たよ!!
じぃちゃん〜〜!!エマぁ〜〜〜!!アッコ姉さん〜〜!!ありがとぉ〜〜!!
……って、誰もいね〜〜〜〜よ!!!!!
みんな拠点帰ってるし!!
今、俺が結構良い話してたじゃん!!この動画の感動のラストシーンじゃん!!
全米が泣くシーンじゃん!!
なんで全員で撤収してんだよ!?なんで死体放置してんだよ!?
なんで死体のたわ言なんて聞いてられるか!!みたいなノリなんだよ!?
助けてくれよ〜〜〜!!!そして今の感謝の言葉を返せよぉ〜!!