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本を読んでた時に
日本風な庭に、木造な建物。そこから見える四季折々の景色。それらの彼彼女らの目に見えているものを、言葉で連ねている文を読みながら、私は自分の家の庭を見た。風が強く、はためいている洗濯物と向かいの家の塀だけが実際に目に映った。天井に近いところにある小窓からは、冷たい空気を浴びている陽の光が室内に届いてほっとしているのが感じられた。ロフトに続く階段に腰掛けて、文を追いかけていた私からは、陽の光によって、部屋は少しだけ清められているのがわかった。部屋にいるだけで互いに居心地がよいように落ち着く。
そろそろ外に出れば桃の花が売られているだろうか。季節を感じるものは、もはやエアコンの運転切り替えと、陽の光だけというのは勿体ない気がして、私は売られている春を探しに外に出ることにした。