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第一怪 後編

 気付かれることなく、密室であったはずの僕の部屋に侵入してきた謎の人物。

 その所業をラングナーさんにつらつらと述べてみたものの、自分で話していてどうにも作り話臭いと思ってしまう。

 特に密室とかいう点が。


 ミステリー小説じゃないんだから、密室トリックとかではないだろう。

 というか、問題は大胆過ぎる部屋の模様替えを敢行(かんこう)されている間に、僕がぐっすりと熟睡してしまっている点だとは思うのだが。

 だが、僕の話を聞いているラングナーさんは笑うでもなく、(あざけ)るでもなく、ごく平静な調子で、時々合いの手を入れながら聞いてくれた。


 「……なるほどな。事情は分かったし、大体の見当はついた」


 おおよそ話し終わった時点で、ラングナーさんはそう言った。


 「え、犯人が分かったんですか⁉」


 僕には全く見当もつかない。

 というか、今の僕の話だけで犯人なんて絞り込めるのか?


 そもそも話に登場したのは僕だけだ。小唄のことさえも言っていない。

 なのになんで、見当がついた、なんてことが言えるのだろうか?


 「当然だ。まあ、キミみたいな普通の生活を(いとな)んできた人間には想像できないだろうがな」


 いちいち偉そうだ。


 「……分かっているんなら、僕にも教えてくれませんか? その……僕の部屋を毎晩毎晩荒らしまくってくれているヤツのことを」

 「ふーむ。まあ、教えてやってもいいが、信じられないと思うぞ?」


 にやにやといやらしい感じの笑みを浮かべてラングナーさんはもったいぶる。


 「そうだな、説明してやってもいいんだが、まずは実物を見た方が早いか」


 ひゅん、とラングナーさんの指が空中に何かを描く。


 「()りて、()れ」


 今までのいい加減な調子とは全く違う、(おごそ)かなラングナーさんの声に従うかのように、空中に何かの模様が広がる。

 かすかに発光するその模様は、一気に部屋全体に広がり、段々と部屋そのものを変化させていった。


 「な⁉ なんですか、これ……」


 まるで映画のCGのような光景に唖然(あぜん)としてしまう。


 「なに、すぐに分かるから黙ってみていろ」


 そう言われてしまうと、何が起こっているのか分からない僕は黙っているしかない。

 部屋の変化が段々と激しくなってく。

 やがて、それはとても見覚えのある光景になった。

 っていうか僕の部屋だ。


 「今、キミを媒体にして、十数時間前のキミの周りの景色を再現している。使用している魔術の解説は後でしてやるから待ってろ。犯人が誰か分かる」


 しれっととんでもないことをされているような気がする。

 魔術の媒体って何だよ。僕は実験動物じゃない。

 そもそも、それって大丈夫なのか? 魂とか代償になってしまったりしないのだろうか?


 くそ、言いたいことは山ほど在るが、今は黙っていよう。


 ほんの数十秒前までは広々としていた部屋は、今一つ快適性に欠ける僕の部屋に変貌(へんぼう)していた。

 座っているソファだけが僕の部屋にはないはずのものだ。

 そして、床には目を閉じた僕が寝ていた。

 いつも布団の僕が寝ているのはおかしいことじゃない。


 だが、部屋の中はきっちりと整理整頓されていた。

 これは昨日僕が片付けた状態みたいだ。

 つまりは、これから犯人がやってきてこの部屋を荒らすのだろう。


 ごくり、と僕の喉が鳴る。


 ドアのチェーンロックはしっかりとかかっているし、窓も閉まっている。

 この状態でどうやって侵入したのだろうか?

 待つこと数分。そのときはやってきた。


 ドアの方を注視していた僕はなにか平たいものが置かれるような音で振り返る。

 机の上に、本が乗っていた。


 ……さっき見たときには確実に本棚に全部収まっていたはずだ。

 僕は、寝ている僕(とは言っても、十数時間前の僕だが)を見るが、ぐっすりと眠っているようで、起きているような様子はない。


 ばさり、とまた音がする。


 一瞬、僕が目を離した隙に、更に本が積まれていた。

 今度は数冊いっぺんにだ。

 なんだ、これは?


 ぐるりと部屋の中を見渡してみても、僕とラングナーさん以外の人間は見当たらない。

 誰が一体やっているんだ?


 ばさり。


 また視線を離している隙に本が積まれてしまった。

 こうなったら、確実に目視するしかない。

 本棚を注視する。


 そして、僕は信じられないものを見た。

 誰も手を触れていないのに、本棚から本が引きずり出され、空中を移動していったのだ。

 そして、積まれていた本の上に落ちる。


 ばさり。


 積み方が多少乱暴ゆえに、音がした。

 ……なんだよ、これ。性質(たち)の悪い冗談だろ?


 僕が寝ている間にこんなことが起こっていただなんて、信じられない。

 僕が絶句していると、次々に本棚から本が飛び出し、机の上に積まれていく。

 高く、そして、危ういバランスをギリギリで保って。


 そうして、今日の朝に僕が確認したときの状態になると、今度は開いた本棚にクッションが飛んでいく。

 見えない手で押し込まれているかのようにぎゅうぎゅうと。

 これもまた、朝見た状態になってしまった。


 最後に、衣装ケースが、浮く。

 重量のある衣装ケースがふわりと浮き、そのまま上下逆さまになってから、ゆっくりと着地した。

 これで、朝目覚めたときの僕の部屋が完成したわけだ。


 目覚まし時計を見ると、時間は夜の三時を指していた。

 パチン、という指が鳴る音と共に、再現されていた僕の部屋がかき消える。

 元の百怪対策室に戻ったが、僕の頭は大混乱だ。


 侵入者はいなかった。

 ただ、ひとりでに僕の部屋の物品が動いていただけ。

 そんなことを信じられるだろうか?


 「は……はは……」


 独りでに乾いた笑いが出た。

 力なく僕はソファに座り直す。


 「ま、予想通りだったな。ポルターガイスト現象だ」


 ポルターガイスト?

 聞いたことがある。とは言ってもうろ覚えだが。

 家の中の物品が独りでに飛び回るような怪現象だったはずだ。


 たしかに、僕の部屋で起こっていたことはポルターガイスト現象といってもさしつかえがないだろう。

 だが、そういうものだったか?

 もっとこう、なんていうか騒々しいものをイメージしていたのに、起こっていたのは僕の部屋だけの小規模なものだった。


 騒々しい(ポルターガイスト)の名前に反するような現象だ。

 とはいえ、何が起こっているのかは分かったのだ。


 あとは、この現象をラングナーさんが解決できるかどうかにかかっている。


 「さて、それじゃあ今回の『怪』の種明しといこうか」


 まるで僕の心境を見透かしたかのようにラングナーさんはそう言って、葉巻に手を伸ばした。 

 ゆっくりと何度か吹かすと、満足そうに再び灰皿に葉巻を置く。


 「ポルタ―ガイスト現象。原因はいろいろあるんだが、今回のは明らかだな。犯人はキミ自身だ」


 そうして、とんでもないことを言い放った。


 

 5



 「……なんですと?」


 今日だけでかなり驚いたつもりだったのだが、まだまだ驚けることは残っていたらしい。

 ラングナーさんの、僕が犯人であるという発言はそれだけの力を持っていた。


 「ちょ、ちょっと待ってくださいよ! 僕は被害者ですよ? 毎晩毎晩僕の部屋を荒らしている犯人とかがいるはずでしょう」


 あんまりな回答になんとか立ち直った僕は思わずラングナーさんに食って掛かる。

 そんな僕の様子を見てもラングナーさんは全く慌てるそぶりも見せない。


 「言い方が悪かったな。犯人はキミなんだがキミの意識していない部分というかなんとかいうか、だな」


 やけにもったいぶった言い方だ。

 そんなものでけむに巻かれてしまうほど、馬鹿な人間ではないので僕は当然問い詰める。


 「意味が分かりません。僕であって、僕でない。そんな存在があるとは思えないんですけど。僕はこの世界に一人なんですからね」

 「その辺はどうかな。まあ、キミが言いたいこともわかる。しかし事実だ。まあ、実践してみる方が早いか。どれ」


 ぱぁん!


 僕の目の前で猫だましが炸裂する。

 ラングナーさんのほうに身を乗り出すようになっていた僕は、その猫だましで一瞬だけ意識に空白ができる。

 次の瞬間にはラングナーさんが消えていた。


 「なっ⁉」

 「動くんじゃないぞ。ずれたら困る」


 後ろからラングナーさんの声が聞こえると同時に、僕の肩と耳のあたりを抑えられる。

 何がなんだかわからないうちに、次に僕が感じたのは痛みだった。


 首筋の痛み。


 そして、ラングナーさんのものだろう頭が僕の首筋にある、ということを知覚する。

 首に噛みつかれた、ということだけがなんとか理解できた。

 皮膚を破られ、血液が流れだすのが分かる。


 痛みはそれほどでもないが、それでも首は急所だということぐらいは知ってるし、そこに穴が開いてしまったら出血量が洒落にならないということもわかる。

 だが、なぜか僕は抵抗できなかった。


 体に力が入らない。

 確実に命の危機に瀕しているというのに、僕の肉体はまるで抵抗することを拒否するように動いてくれなかった。

 その間にもどんどん僕の血液は流れ出ていく

 いや、ラングナーさんに吸われている。


 同時に、なんとも形容しがたい感覚なのだが、僕の中から“なにか”が引きずり出されているのも感じる。

 エネルギーのような何かだ。


 血液と一緒にそれが一緒にラングナーさんに吸われていくうちに、だんだんと僕の意識は遠くなっていく。

 白く、視界が染まっていく。

 そして、僕の意識は途切れた。




 目覚めた瞬間、自分がどこにいるのかが分からなかった。

 慌てて周囲を見渡して、百怪対策室であることを知る。

 気を失う前の最後の記憶を辿ってみると、僕は確実に失血死する勢いで血を吸われていたはずだ。


 腕時計で時間を確認すると、百怪対策室に入ってから三時間は経過していた。

 優に二時間は気絶していたことになる。


 そっと首筋に手を当ててみるが、そこには傷も何もなかった。


 「ん、起きたのか。かなり久しぶりだったから加減を間違えたのかと思ったが、大丈夫だったみたいだな」


 ソファではなく、パソコンデスクのほうにいたラングナーさんがそんな風に声をかけてくる。

 流石に葉巻は咥えていなかったが、ジャージに白衣なのは変わっていなかった。


 パソコンデスクを離れて、ラングナーさんは僕のほうに歩いてくる。

 気絶するほどに血を吸う、という奇行に走ったラングナーさんを僕は警戒してしまう。


 「おいおい、そんなに構えるんじゃない。キミの『怪』を解決するにはこうするのが一番だったんだからな」


 弁解する、というよりも(さと)すように言いながら、ラングナーさんは再び僕の向かいのソファに座る。


 「……一体、何が起こったんですか? 僕はあなたに血を吸われたんだと思うんですけど、その傷は無くなっているし、でも確実に記憶には残ってる……」

 「そりゃそうだ。キミの血は吸った。傷が無くなっているのは回復能力のおかげだな。感謝してくれてもいいぞ」


 なに言ってんだ? 人間の傷がそんなに簡単に治るはずがない。

 からかっているのだろうか?


 しかも、僕に起こった『怪』、ということはポルターガイストのことだろう。

 それを解決するのと、僕の血を吸うのがどういう関係にあるのだろうか?


 しかも感謝してもいいぞ、とか(ごう)(がん)不遜(ふそん)にもほどがあるだろう。

 こっちはいきなり死にかけたんだ。もっと文句を言ってもいいはずだ。


 「いや、傷害罪で訴える勢いなんですけど」

 「傷がないのに傷害罪は無理だな。それに、法律っていうものは人間を裁くために存在しているんだからな。キミはもう厳密には人間とは言えないから適用できない」


 ?


 「さて、今回の『怪』の真相を教えてやろう。キミは超能力者で、その能力が寝ている間に暴走してしまっていたが故に今回の『怪』は起こった。寝ている間っていうのは無意識の(たが)が外れやすくなっているからな。そのためにキミが無意識的に抑え込んでしまっていた能力が発動してしまったんだろう。よくあることだ」


 ??


 「無意識的に能力を使ってしまうことを制御するのは不可能だ。キミがもっと能力自体に慣れてくればできるようになるのかもしれないが、それにはそもそも能力を使えるようにならないといけない。現時点ではそれは難しい。だから、私がキミの能力を多少奪って、その上で君自身の存在も強化した。今なら能力もある程度は制御できるはずだ」


???


 「結論を言おう。キミは今、中途半端に吸血鬼で超能力者だ」

 「すみません、そういうの間に合ってます」


 言うが早いかラングナーさんの手が伸びて、僕の手の甲をひっかく。


 「()ってぇ!」


 思わず手を引っ込めるが、ラングナーさんはちょいちょい、とひっかいた僕の手の甲を指ささす。

 訳がわからないままに手の甲を見ると、出来ていた引っかき傷が見る見るうちに治っていった。

 (にじ)んでいた血も、すぐに蒸発してしまう。

 それこそ、化け物のように。


 「ぁ……あぁ……?」

 「吸血鬼、というか吸血種としての能力は低い方だが、人間の範疇(はんちゅう)には収まらない。身体能力、再生能力、そして、感覚の強化。まるで漫画のヒーローか悪役だな」


 くつくつと愉快そうにラングナーさんは笑う。

 ちっともおかしくなんかない。


 「……戻してください」

 「ん? 何か言ったか?」

 「戻してくださいって言ったんだよ!」


 声を荒げて僕は目の前の少女を(にら)みつける。

 承諾もなしに人間を辞めさせられる? なんだそれは。不条理にもほどがあるだろう!


 僕は平凡に生きて、それなりに楽しく人生が送れればいいのだ。

 こんな人間以上の存在になっても、何も面白くなんかない。


 「ふう……わかってないな。元々君は超能力者だ。平凡な人間なんかじゃない。制御できない爆弾を抱えているのがどれだけ危険なのかぐらいはわかるだろう? 今はキミの部屋だけに限定して能力を行使していたようだが、それが拡大した時にどういうことになるのかぐらいは子供でも予想できるぞ」


 やれやれとでも言いたげな様子でラングナーさんは肩をすくめる。

 だが、そんなものは火に油を注ぐだけだった。


 「冗談じゃない! そもそも、僕が超能力者だっていう証拠自体がないじゃないですか! さっきの映像だって、貴方が作ったものかもしれない!」


 もっともな反論だと思ったのだが、ラングナーさんは少しも慌てることもなくポケットから何かを取り出した。

 机の上に置かれたそれは、タバコの箱だった。


 「百聞は一見に()かず。やってみたらいい。頭に来てるんだろ? 手を使わずにこのタバコの箱を吹っ飛ばしてみろ」


 その言い方が更に僕の神経を逆なでするが、逆にやってやろうじゃないか、という心境にもなる。

 タバコの箱を睨みつける。


 手を使わずに、吹っ飛ばす? なるほど、たしかにそんなことができるのならば僕は超能力者なんだろう。

 思いっきり、見えない手でタバコの箱を潰すイメージ。


 僕のイメージした握りこぶしがタバコの箱を叩き潰すと、くしゃり、と音を立ててあっけなくタバコの箱は潰れてしまった。


 「!」


 あまりに予想外の事態に僕は凍り付く。


 「ほうほう。初めて意識下で発動したにしては上出来だな。これなら制御にそこまで苦労はしないのかもしれないな」


 脳みそがフリーズしている僕とは違って、ラングナーさんは平静だった。


 「で、どうする? 再び制御できない超能力者に戻るか? コダマ」



 6



 今まで生きてきて、自分が特別だと思ったことはない。

 勉強でも運動でも一番になったことはなかったし、芸術的な分野の才能もそれほどでもなかった。

 そんな僕が、いきなり自分が超能力者なんてことを受け止めきれるだろうか?

 その上に、吸血鬼にもなってしまった。


 「はは……は……」


 乾いた笑いしかでない。

 僕は、どうなってしまうんだ?


 こんな凶悪な力を持って、今までのように生活できるのだろうか? 

 ふとした弾みで、人を殺せる力じゃないか。

 怒りで我を忘れてしまったら、僕は間違いなくとんでもなく危険な存在になってしまう。


 そんな存在は人間社会において、許されるはずがない。

 いや、そもそも人間じゃなくなってしまったのだから、人間の法が適用できないか。

 なんとも、不条理だ。


 「こら、コダマ。トリップしてるんじゃない。どうせ力を持て余してしまうことばっかり考えているんだろうが、キミが制御できるようになってしまえばいいだけの話だ」


 ラングナーさんが何か言っているが、その制御がどうやったらいいのかがわからないんだ。

 暴走しない危険性なんてものは誰も保証できない。


 「まったく、暗い顔をしてるんじゃない。いいか? 私がキミに制御の仕方を教えてやるし、暴走する前に止めてやる。だから安心しろ」


 ……なんて言った? 


 今、ラングナーさんはなんて言ったんだ?


 「聞こえなかったのか? 私がキミの能力の手綱を握ってやると言ったんだ。このヴィクトリア・L・ラングナー直々(じきじき)に指導してもらえるだなんて、キミはずいぶんと幸運らしいな」


 ふんぞり返って、葉巻を咥えながら言ってはいるものの、その言葉は僕にとってはある種の福音(ふくいん)だった。


 「本当に、僕に制御の仕方を教えてくれるんですか?」

 「ああ本当だ。ただし、多少の代償は払ってもらうがな」

 「何ですか。その代償っていうのは?」


 超能力者を抱え込むリスクなんてものは考えてこともないが、それが普通のモノではないことぐらいは想像できる。

 一体、僕はどんな代償を払わせられるのだろうか?


 「そうだな。私の助手をやってくれ。バイト感覚で構わない。色々と私一人では手が回らないことも多くてな。ちょうど人が欲しかったんだ」

 「え、そんなことでいいんですか? もっとこう莫大なお金とか、貴重な物品とかじゃないんですか?」

 「キミがカネやらモノやら持っているのか? ただの高校生が?」


 う。確かに。


 成人もしていない子供が払える金額やら、差し出せるモノなんてたかが知れてる。

 そういうことならば、この奇妙な百怪対策室で助手として働くというのは、それなりに妥当なところなのだろう。

 決断する時だ。


 「わかりましたラングナーさん。ここで僕を働かせてください。そして、僕に能力の制御の仕方を教えてください」


 まっすぐ僕の視線を受け止めて、ラングナーさんは満足そうに笑った。


 「いいだろう。契約成立だな。一応、労働契約書やらなんやらは私が用意しておくからキミはハンコ持ってこい」

 「はい。よろしくお願いします」

 「あ、そうそう。これだけは言っておくぞ」

 「?」

 「私のことはラングナーさんではなく、室長と呼べ」


 こうして、僕がは百怪対策室の助手として働くことになった。


 ラングナーさん、いや、室長の助手として。


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