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アンデットスパン  作者: かせっと。
1/8

夜、家に帰ると妹が食べられてた・・・・・・。

アンデットスパン


5月7日夜9時、友達の高木と一緒にゲーセンでクレーンゲームをやっていた。

「あと少しで取れそうなんだけどな〜」

高木が頭を抱えて言う。

「そう言ってもう1時間だぞ高木・・・。」

俺は呆れながらガラス越しの「夢は儚し女装せよ乙女。」のフィギュア恵唯ちゃんを眺めて言った。

「待ってくれ真斗!!もう3000円使ったんだぜ・・・。俺の一ヶ月の小遣いまであと1000円、ここまできたら何としても・・・。」

額に汗をかき必死に俺を説得しようとする高木に

「わかったよ。」

ため息をつきながら仕方なく付き合った。

結局そのあと一時間つきあわされ家に向かっている。

「あいつ結局取れないでやんの」

とか言いつつ後半、俺も熱くなって二回プレイしたけどな・・・っとあと少しで家だな。

と思った時、家まであと10mのところで俺は何か違和感を感じる。

違和感の正体はわからない。だが言えるの『怖い』と言う感情・・・

「何だ?・・・」

何とか怖いと言う感情をこらえ家のドアの前に着くことができた。

ドアには鍵がかかっていない、電気もついていない

そしてドアを開け玄関の前につく。

そこには黒い物体の後ろ姿があった。それは人の形をしたもので何かをしている。一つ言えるのは人間ではないと言うこと・・・

それに俺は心臓をバクバクさせながら近づいた。

そして俺は見てしまう・・・。人間の形をしているが人間らしくない細い体、髪は白くて、銀色に光る瞳をした者が俺の妹、沙彩を食べているところを・・・。

「ーーーーーーーーーーーーーーーー」

何と言ったかわからない叫び声とともに俺は黒い物体に殴りかかった。

何が起こったのかはわからない。ただ一瞬のうちだ。

気づいたら右腕がなくなっていた。

黒い物体を見るとなくなった俺の腕を食べている・・・。

バギッゴキッと音をさせながら獣のように食べているんだ俺の腕を。

もうわけがわからない。分かるわけがない。こいつは何なんだ。

俺のことを無視して腕に噛み付いている。

俺は何が起きているのかわからないまま動けずにいた。

叫び出したいくらいだが恐怖で声は出ない。息苦しい。そして2分ほどそれをボーット見ていた。そして傷ついた沙彩の方をみた。どうやら首から肩にかけて食べられたらしい。血だらけだが顔は綺麗に残っていた。

「サ・・アヤ」

掠れた声で名前を呼ぶ。

この時間両親は家にいるはずなのに声すら聞こえないと言うことは二人ともコイツに食べられたんだろう。俺もここまで血が流れていては助からない。

なぜかわからないが冷静に判断できるようになってきた。

家族みんな死んだ。死んだ。俺に残されたのは何だろう。家族はもういない。思えば色々あったな〜。今までの人生を振り返ってみる。

そして・・・俺もそろそろ死ぬみたいだわ親父、母ちゃん、沙彩・・・。


『でも・・・ただでは死なないよ。・・・どうせ死ぬなら・・・コイツ殺さなくちゃね・・・。』


と言いながら今にも死にそうな体を無理やり起こす。

グルルルルルルルーーーグルル

俺が動いたことに気づいたのか黒い物体は俺の方を見ながら獣のように鳴く。

暗闇の中残った腕で武器になりそうな物を探した。

だが玄関近くだ。武器になりそうなものはなかった。とりあえずあるものを何でもいいから手に取った。暗闇で何を取ったかまではわからないが握り心地はバッチリだ。


『殺してやるよ化け物!!』

俺は言う。




死を覚悟して俺は化け物に突っ込んだ。

攻撃は化け物にあたりはしない。

そして振り返るとさっきのように何かが起ころうとしていた。

今度こそ腕どころではすまないと思ったが、片腕がないせいかバランスが取れなくて俺はベランダ側の壁に倒れ込んだ。

運良く化け物の攻撃を紙一重でかわす。

ベランダの窓からちょうどよく月の光が差し込む。光のおかげでコイツの攻撃の正体がわかった。

それは細長い紫色の舌だった。舌は壁にめり込んでいる。

「これで俺の腕を切ったのか・・・」

俺は持っている何かで壁にめり込んだ舌を叩きつける。

切れはしなかったが化け物は舌を引っ込めた。

相手にぶつかるいい音がする。

ちょっとは効いたのか後ろに一歩下がった。

そして窓からの光で自分が持っている武器が何なのかに気付く・・・

『!?』

さてここで問題です!!

家に来客がいらっしゃいました。まず靴を脱いでもらいます。次に何を履いてもらいますか?(家によって違うかも)


舌を攻撃されてか化け物が威嚇するように鳴きながら突っ込んでくる。

俺は呆れて笑う。

今朝学校に行く時元気よく行ってきます!と家族に伝え、テニスの部活を終えたあとついさっきまでゲーセンで高木と遊んでた当たり前の日常がこんなにも簡単に終わることに・・・

そして何で戦っている武器が


『スリッパなんだーーーーーーーーーーーーーー!!!!』


怒りと悲しみを交え、化け物が突っ込んでくるタイミングに合わせてスリッパを頭にめがけてテニスのスマッシュのように思いっきり振るう。


スパーーーーーーーーーーーーーン!!!


苦しみ始めた化け物の頭がスリッパの衝撃でヒビ割れ

パリパリとそこから皮膚が光りながら粉々に落ち始める。

「え!?」

予想外すぎる展開に正直驚く。

勝てるわけがないはずなのにだんだん形を崩し消えて行く化け物に。

「えっと勝っちゃたみたいだわみんな・・・。」

目を点にしながら言う。



これで仇は取ったからね。

化け物を倒したとしても腕の切り口からの大量出血で俺は死ぬだろう。

でもこれで笑顔で死ぬことができる。


『今から行くね。』


涙を流しながら目を閉じ倒れた。


と意識が遠のく中ガサゴソ何かが動いた音がした。

おいおい、今いい感じに死ねるのに何の音だよ。今ちょうど格好いいアニメの主人公みたいに・・。

と不機嫌そうに眉間にしわを寄せ目を開けると  


目の前で死んだはずの沙彩が起き上がった・・・。


『えええええええええええええええ!!生きてたのおおおおお!!』

驚く俺。情緒不安定だよもう。

あまりの驚きに口を大きく開けて叫んでしまった。


それに気づき沙彩がこっちを向く。

『お兄ちゃん・・・・・。』

涙を流しながらが言った。こっちに沙彩が向かってくる。なんて感動的な瞬間だと思いこっちまで泣き出しそうになる。

どうやらそこまで化け物に食べられてなかったようだ。

と勝手にそう思っていたが違かった・・・。


「逃げなさい真斗!!」

毎日朝早く起こしてくれる母ちゃんの声がした。

ん?あれ?

母ちゃんって死んでるんじゃなかったっけ?

声の元に振り返るとそこに母ちゃんがいた。

もう二度と見たくない黒い物体の方に・・・。


俺はまた驚きながら

「えええええええ!!生きてたの母ちゃんんん!!」

と沙彩に言った時と同じように口を開け叫ぶ。

が母ちゃんに違和感を覚えた。だって俺が殺したはずの化け物の上に母ちゃんがいるんだもん。

『何で母ちゃんソイツの体から出てきてるの!?』

母ちゃんは慌てた顔でこっちみて

「今はいいから沙彩から離れてこっちきなさい!!真斗!!」

もうまた何が起こっているのかわからない。ただ一つ言えるの母ちゃんが化け物の体から出てきたと言うか、化け物が母ちゃんに変身したように見えたということ。

そっかわかったぞ。あの化け物、母ちゃんに化けて俺を騙そうとしているんだ!

そうに違いない。そうやって俺をまだ狙っているんだ!

俺は確証を得たかのように自信満々に言った。

『騙されないぞ化け物!俺たちに近づくな!!』

と立ち上がり鼻高く人指し指を向けて言った。

すると

「誰が化け物やねん!このバカモン!199○年9月15日午前2時38分41秒に木村真斗を産んでから17年、最近ではいっつも部活の朝練で朝4時にアンタ起こして大好きな「たらこ明太子玄米おにぎり」を弁当に入れてやっとるのはどこの誰や思ってるねん!!」

と顔を真っ赤にして鬼のようにキレると関西弁が混ざりながら出てしまうところが俺の母親、

木村真樹そのものだった。

『お母様でございます!!すみません(汗)』

土下座する勢いで俺は謝った。

そして母ちゃんは信じられないことを言った。

「その子はもう沙彩じゃない!!」と


『何を言ってるんだよどっからどう見ても沙彩だろうが!!』

頭が真っ白になる

母ちゃんが嘘をついているとは思えないが信じたくなかった。確かにさっきまで死んだように倒れていた沙彩がこんな簡単に立ち上がれるはずがない。でも信じたかった妹を。


ビキビキビキビキッ


何かがヒビ割れる音がした。

俺は沙彩の方を振り向いた。そこにはさっきいた化け物に似た別の化け物がいた。たださっきの化け物とは比べ物にならないほどドス黒いものがこっちを見ていた。これは妹の沙彩ではないと本能が言っている。

『沙・・彩・・・?』

汗をかきながら沙彩の目を見て言った。


「な・・あにお・・兄ちゃ・・ん。ふふ・・・」

不気味な笑い・・こいつは沙彩ではない。

じゃあ何なんだ。こいつは。


「そいつはアンデットよ!!真斗!いえ正確には沙彩がアンデットになったのよ。」


アンデット?何だよそれ・・・

そんなのゲームや映画の話みたいな者じゃないか。

何でそんな奴がこの世に存在してるんだよ・・・


「その通り、私はアンデット・・・又の名を『K』。

この世に存在する26体のアンデットの一体・・・。」

ドス黒いオーラを纏ったかつて沙彩であったものが諏訪部純一に似た声で喋り出す。


「そしていづれすべてのアンデット26体のうちの頂点・・・

『Z』

になりこの世界を滅ぼす者です。」

ニコッと笑いながら楽しそうにアンデットKはそう言った。



バタバタバタバタバタバタバタバタバタ


ヘリコプターの飛んでくる音がする。














































いつもはイラスト担当しています。よかったら見てね。http://www.pixiv.net/member.php?id=23831397

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