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はじめに

はじめに


『狭夜衣鴛鴦剣翅』(さよころもおしどりのつるぎば)は並木宗輔(1695~1751)の手に成る浄瑠璃の脚本であります。

私がこの作品に興味を抱いたのは、古書山たかし氏の著書『怪書探訪』(2016年/東洋経済新報社刊)に次のような記述を見つけたからに他なりません。


“江戸中期に人形浄瑠璃のために書かれた並木宗輔の『狭夜衣鴛鴦剣翅』(一七三九年)は、全編強烈なサスペンスが横溢し、どんでん返しが連続する、戦標すべき傑作だ。この作品などほぼ探偵小説そのものであるし、探偵小説的意外性の衝撃度、残酷なまでにリアルで鮮烈な心理描写、シェイクスピア顔負けの豊穣な語彙などから、世界ミステリ戯曲史に残る名作とさえいえるのではないか”


ここまで、持ち上げられている作品に興味を持つなという方が無理な話でしょう。


早速、私はこの『狭夜衣鴛鴦剣翅』を求め、図書館に走りました。すると《新日本古典文学大系》の『竹田出雲・並木宗輔浄瑠璃集』に収録されているではありませんか!しかし欣喜雀躍も束の間、なんと収録されているのは翻刻された原文だけ。現代語訳はなされていませんでした。私は正直がっくり来てしまいましたが、それでも上記の評言を信じ、2週間かけて読了を果たしました。


読了後の一言は“圧巻”です。古書山氏の評言には何の偽りもありませんでした。特に1部から3部にかけての密度はソポクレス「オイディプス王」に匹敵する完成度を示していたのです。そして、すぐに私はこの作品をより多くの読者、特にミステリファンに届けたいと思うようになりました。このような傑作が図書館の奥で眠っている現実に私は耐えることができなかったのです。


よって、これから時間と労力が許す限り、この『狭夜衣鴛鴦剣翅』の現代語訳をお送りしようと思います。


そこで、この現代語訳を読んでくださる奇特な読者の方々に以下のことをお願いしたいと想います。


(1)底本は『日本古典文学大系〈93〉竹田出雲・並木宗輔浄瑠璃集』(岩波書店/1991年刊)です。編集の角田一郎、内山美樹子の両氏にこの場を借りて御礼を申し上げます。


(2)当然ながら私は、近世文学の専門家ではありません。中古・中世文学のそれより遥かに読み易いとはいえ、古文に関する知識はせいぜい高校卒業程度です。可能な限り、推敲に努めてはおりますが、意訳・誤訳は避けられないと思います。その点は、重々ご承知置きください。


(3)文楽には大夫による語りと三味線が入り、時に語りには音曲が混じります。本来であれば、どこで三味線が入り、音曲が始まるのかを指示するのが基本でしょう。しかし、この現代語訳では煩雑を避け、読者の負担を軽減するため、そのような指示は行わずに、より小説に近い形で訳しています。


(4)278年前に発表された作品ですので、現代語訳は著作権上は問題ないと認識しておりますが、仮に何らかの理由で著作権法他諸法に抵触する場合は速やかに全文を削除等の対応をさせていただきますのでお知らせください。


(5)ご意見・ご感想等はツイッターアカウント・松井和翠(https://twitter.com/WasuiMatui2014)までお寄せ下さい。


では、共に参りましょう。

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