ショートショート「心霊写真」
僕の名前はマコト。しがない探偵見習いなんて稼業をしている。いや、これ本当にしがない職業だな、早く一人前にならないと。
今日はバイトもないし久し振りにのんびり溜まっているゲームでも消化しようかな、と思っていたらユウから着信があった。
苦手なんだよなあ、この娘。
見て欲しいものがあるから、と呼び出された。やんわりと断ろうとしたら「どうせゲームしてるだけでしょ?お昼奢るから出て来なさい。」だって。なんで知ってるの?
待ち合わせのファミレスにはユウともう一人の女の子がいた。僕は会ったことがない女性だったけど、どうやら大学のゼミ仲間らしい。
先日、ゼミの飲み会で彼女のうちに集まっていた所、撮った写真に怪しいものが写っていたのだという。
「マコトこういうのは得意だろ?」って、いや僕は探偵だから。霊能力者じゃないから。むしろ昔から全く霊感なんてない人間だから。そういうのはユウの方が得意だろうに。
と、渋々写真を見て背筋がゾッとした。
彼女たちが楽しげに飲んでいるその後ろ、クローゼットの中に青白い男の顔が半分写っていたのだ。
青白い顔とギラギラした目でこちらをじーっと見ている。いや、テレビで心霊写真特集を見た事があるけどこんなにはっきりと写っているなんて珍しいよ。
ユウの友達も真っ青な顔をして怯えている。あと部屋のものが無くなったり、大学から帰ってくると配置が変わっていたり、心霊現象としか思えないような出来事が続いているそうだ。もしかして呪われた部屋なんじゃないかと語った。
いや、たしかにこれを見ちゃったらなあ・・・とユウに視線を向けると、どうも腑に落ちない顔をしている。
「マコト、何か感じる?」
「いや、確かに不気味だけど別に・・・そもそも僕は霊感なんて無いから。」
「そうか、あたしも何も感じないんだ。」
「・・・?」
僕達は顔を見合わせて、そして二人揃って真っ青になった。
心霊写真って怖いなぁ。
クローゼットの中の男、いつから隠れ棲んでいたんだろう。




