ショートショート「モスマン」
俺の名前はジョージ、今は国際探偵などと名乗っている。
俺の住んでいる国にはフォークロアがとても多い。日本で言えば口裂け女みたいなものか?いわゆる民間伝承、都市伝説というヤツだな。
例えばモスマン、鳥のような姿をしているが人の足が付いている。これならどちらかと言えばバードマンではないかと思うが特徴的なのは目と目が離れている点か。
なるほど、これが蛾に見えるわけだな。
俺は口に咥えていたタバコを指に挟むと、夜の闇の中へ細く長く煙を吐き出した。
──── まあ、
何故、俺が突然こんな話を始めたかというと
そのモスマンが目の前にいるからだ。
ギラギラと光る赤い目が俺を獲物だと語っていた。
俺は用意しておいたチョコレートを二つモスマンの手に握らせる。ヤツは嬉しそうに俺に礼を言うとひと羽ばたきして闇夜の中へと時速100マイルで飛び去っていった。
俺はまたタバコを咥えて、奴の飛び去った空へと向けて煙をたなびかせる。
──── なんだよ
さっきから後ろでエイミーとダニエルが何か叫んでいるんだが。五月蝿い事この上ない。
今日はハロウィンってヤツなんだろ?Trick or treatって言ってたぞ。
子供の仮装だ、仮装。




