ショートショート「深夜の子供達」
私の名前はミキ。弁護士よ。
自分で言うのもなんだけど有能よ。まだ一度も負けたことは無いわ。
この間、仕事の打ち合わせに行ったら不思議な出来事にあったわ。
降りてくるエレベーターの中から数人の子供がはしゃぐ声が聞こえてきたのよ。
私は1階で待っていたのだけれど、ドアが開いても誰も出てこなかったのよね。
嫌な感じがしたわ。まあいいんだけど。
打ち合わせの相手は私が困ったときに手を貸してくれる探偵。ちょっといい男。
それからしばらくした蒸し暑い夜、彼に電話して依頼した仕事の定時報告を聞いたあとで彼がこんな話を始めた。
「最近ガキどもが夜中に廊下で騒ぐんだが、叱ろうと思ってドアを開けても誰も居ないんだよな・・・いつも逃げられちまう・・・」
子供・・・?
私はこの間の出来事を思い出して、何か言おうとしたその時。
「おい、今夜も来てるぞ。・・・しかも入ってきやがった!」
受話器の向こうで子供の笑い声がしたと思うと、電話はそれきりプツッと切れたの。
私は急に怖くなったわ。こんな話をどこかで聞いたことがあるのよ。
確かその話の中で、その後男は殺されたとか、行方不明になったとか・・・
それに・・・わかるの。私、こういうの鋭いから。
今、ジョージのところに来ているモノはとても悪いモノ。
冗談じゃない、私はすぐに折り返し架けたけどずっと話し中。
仕方が無いから彼の仕事仲間に連絡を取ったわ。こちらも繋がらなくて留守番電話にすぐ折り返すように指示を入れ、電話を切って折り返しを待ったわ。
5分・・・
10分・・・連絡は来ない・・・・
もう、何してるのかしら。
私は爪を噛みながら自分でもおかしいくらいに事務所の中を歩き回った。
どんどん嫌な予感が膨らんでゆく。私がこんなにも取り乱すなんて、ふふっ、変よね。
電話が鳴った。相手はすぐに「マコトです。」と名乗った。
「いやぁ、連絡していただいて助かりました。
ジョージさん、子供相手にお説教始めちゃってて。
そのうち一人がすーっと消えちゃって、ジョージさん「逃げたな。」ってまた怒っちゃって。
何しろもうこんな時間ですからね、子供達を解放してあげないと・・・もしもし?聞いてます?」
私は無言で受話器を置いた。そうね、そういう奴だったわ。




