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ショートショート「高層マンション」
俺の名前はジョージ。駆け出しの探偵だ。
今夜はアキヒコに呼ばれて新宿のとあるホテルのバーに来ている。
45階からの夜景は俺を惹き付ける。
狂ったように輝く墓標が、まるで俺を吸い寄せているようだ。
呼ばれた理由はわかっていた。
だが俺は自分の言葉に耳を貸さず、ウェイターの招くままに歩いた。
アキヒコとサオリが笑っていた。
俺を見つけたときの二人は、まるでパレードの主役のようだ。
軽く手を挙げて笑みを返す。
「わかってるとは思うけど・・・俺達、結婚することにしたんだ。」
アキヒコは俺の目を真っ直ぐに見て、そう言った。
最初から、すべてわかっていたさ。
席に着く前から俺は二人の指輪に気付いていた。
座ると同時にロックのバーボンが出てきたこともそうだ。
よかったな、と微笑み窓の外を見る。墓標達に笑われるために。
その俺の目の前を、逆さまになった女が落ちていった。
落ちてゆく瞬間に俺と目が合った。少し笑っていやがった。
普段の俺なら駆けつけるところだが、気分じゃない。
今は滑稽なピエロになる時、さ。
警察に任せよう。ただの自殺ならそれこそ俺の出る幕じゃあない。
そのうち騒ぎになるだろうが、まだ二人とも気付いてないようだしな。
今は、二人のために・・・乾杯




