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心霊探偵ジョージ   作者: pDOG
33/94

ショートショート「ひきこさん」

俺の名前はジョージ、しがない探偵なんて稼業をしている。


今日は雨に降られちまった。


だが雨に濡れるのは嫌いじゃない。

雨は・・・すべてを洗い流してくれる気がする。


 俺の過去も・・・悲しみも・・・そして罪さえも・・・


俺は傘も差さずに川沿いの土手を歩いていた。

濡れて重くなった服を引き摺る感覚はまるで枷のようだ。

夏の終わりの雨はもうすでに細く、しかし火照った肌をやさしく冷やしてくれる。


 心地よかった。


ふと、前から白い服を着た女が走ってくるのが見えた。

背の高い女だ。長い髪を振り乱し一心不乱に走ってくる。


 ──── 傘も差さずにこんな雨の中を・・・


俺は声を掛けようとした、つくづく俺は女に甘い。


だが、俺は女の様子がおかしいことに気付いた。服がボロボロだ。

何かをつかんで引っ張っている。しかもそのせいか蟹走りだ。


 俺はすべてを悟り、声を掛けるのをやめた。


どこかの運動部が特訓でもしているのだろう。

すれ違う前に俺は目を伏せ帽子を少し浮かせて「頑張れよ」と心の中で小さく呟いた。



 女はただ走り去る。



雨の日は嫌いじゃない。

そうさ、雨は・・・すべてを洗い流してくれる気がする。

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