ショートショート「猿夢」
僕の名前はマコト。時々ジョージさんの手伝いをしている見習い探偵だ。
ジョージさんは僕の尊敬する凄腕の探偵、僕の目標だ。
でも、最近のジョージさんはちょっと変だ。
ジョージさんはもともとあまり食べ物にこだわる人じゃない。
賞味期限が過ぎた牛乳なんかも平気で飲んじゃうし、味はどうでもいいところあるし。
リンゴ1個と固ゆで卵なんて朝食を毎朝続けていたっけ。
お腹が膨れればなんでもいい、どころか、
── あの人、タバコとコーヒーだけで一週間くらいは生きてるときあるよな。
それが、ここのところよく食事に付き合わされる。
「なあ、奢ってやるから美味い店探してくれよ。」
・・・そんなこと言う人じゃないんだけど。
どうしたんですか?と聞くと、
なんだかわからないが、朝起きると無性に腹が減っている。だそうだ。
おとといはお刺身の美味しい店。
ちょっと値段は張ったけどヒラメの活け作りは絶品だった。
昨日はカブト煮の美味しい店を探した。
そう言えばジョージさん目玉まで食べてたなぁ……
今日はなんだろう…と、思っていたらジョージさんが扉を開けて入ってきた。
今日はハンバーグに決めたそうだ。
もう、いくら仕事のお金が入ったからって贅沢しすぎですよ。




