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心霊探偵ジョージ   作者: pDOG
19/94

ショートショート「舟幽霊」

俺の名前はジョージ、タキシードに蝶ネクタイなんぞしているが、一応探偵だ。

今夜はミキに連れられて、ある有名な政治家のパーティに呼ばれている。

ミキは女だが一流の弁護士だ。大胆なドレス姿に今夜はまわりの女が霞む。



パーティは東京湾を一周する船の上で行われていた。

どうも俺はこういう場が苦手だ。俺は一人で甲板に逃げた。



 ────── 生暖かい風が流れた。



 すると海の中から大きな黒い人影が現れた。


「ひしゃくをよこせ。ひしゃくをよこせぇ。」


確か鏡割りをした筈だ。俺はスタッフに頼んで柄杓を一本持ってきてもらった。

渡すと、黒づくめの男は底を確認して、にやりと笑った。


黒づくめの男は柄杓で海の水をすくっては甲板に投げ入れる。

何度も何度も投げ入れて、甲板がびしょぬれになってきた。


 ・・・こいつは何がしたいのだろう・・・?


 俺も酔っていた。


こいつが何の目的でこんなことをしているのか、俺にはまだ理解できなかった。

まさか、この船を沈めようとしているのか?


いや、そんな筈は無い。全長80m、2,000トンを越える客船だ。

柄杓一本でどうこう出来る代物ではない。


パーティが終わりに近づいていた。男の水を入れる速度が早くなった。

必死に海水をすくっては甲板に投げ入れる。だが、水は空しく排水溝に流れるのみだ。


間に合わないのだろうか。


手伝おうか、と言ったが断られた。根性はあるらしい。


船が港に戻る少し前に、男は俺に柄杓を返して泣きながら海へと沈んでいった。

本当にあいつは何がしたかったんだ。


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