003 初めての仲間
ソラは王都の東門を出て約3キロほどのところにあるショカの森へ向かった。
【ショカの森】
王都の東側に広がるそこそこの大きさの森。
最も強い魔物でさえCランクであり、森を切り開いて造られた街道も安全である。
森の浅いところには薬草や毒消草が多くあり、王都の新米冒険者御用達の森である。
ある程度深いところまで行くと、ゴブリンやコボルドなどのFランク魔物が出てくるようになる。
~side ソラ~
案外明るい森だな。
まあ、最初の方はこんなもんだろうか。
森に入って3分ほどで、すぐに薬草は見つかった。
確か、薬草採集の依頼は20本だったはずだ。この調子だと、2時間くらいですぐに集まりそうだ。
そのまま30分ほど採集を続けていると、後ろからガサガサっという音がした。
慌てて振り返って、剣を構える。
「ま、待て!おれは冒険者だ!」
そこにいたのは、赤髪の少年だった。
「剣を向けて悪かったな。俺はソラ。今日冒険者になったばかの新米だ。」
そういって俺は剣を下ろした。
「いや、こっちこそ驚かしたみたいで悪かった。俺はソート。俺も今日登録したばっかさ。」
赤髪の少年―――ソートはそう言って笑った。
「…もしかして、ソートも採集系の依頼か?」
「ああ、毒消草の採集だ。そっちもか?」
「いや、おれは薬草だ。」
そう会話していると、後ろから再びガサガサっという音がした。
二人揃って振り返ると、そこにいたのは緑色の1m程の体躯に、醜い顔、ボロボロの服を羽織って、錆びた剣をもった魔物―――ゴブリンだ。
ザッ!!
2人とも同時にその場から飛び退いた。
ソラがソートに声をかける。
「おい、戦えるか?」
「む、むりだ!魔物と戦ったことなんかねえよ!どうする?!」
「じゃあ下がってろ、おれがやる!」
ソラがそう言って前に出る。
ゴブリンが飛びかかってくるが…
「遅い。」
素早く右に回避して、一瞬でゴブリンの後ろに回り込む。
そして、剣を振り抜き、ゴブリンの首を飛ばした。
「相変わらず気色悪い感触だ。」
倒れていくゴブリンを見てソートは言った。
「お、お前、強いんだな。」
「まあ、小さいときに色々あってな。」
ソラは剣の血を払いながら言った。
「それより、どうする?ゴブリンはこの一匹だけみたいだが、王都に引き返すか?」
ソラがそう言うと、ソートは少し考え込んだ。
「いや、どうせなら薬草と毒消草を集めてから帰ろうぜ。手分けせば、2人とも2つの依頼が達成できるかもしれないしな。」
ソートはそう言った。
それに対してソラは、
「そうだな、けど、夕暮れまでには帰るぞ。ゴブリンが森の浅いところに出てきたのも気になるし。」
「ああ。分かってるよ。」
2人はそう話すと、薬草と毒消草の採集を再開した。
この選択を、ソラは一生後悔することになる。




