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星に願いを  作者: 星空テツ
第一章
4/14

002 冒険の始まりはいつも雨




(ついにこの日だ…)


ソラはそう思いながら、孤児院を出た。



星暦622年


ソラは15歳になっていた。


レグノイド王国への魔王軍の侵攻が一段落つき、王国軍がウール村へ派遣されてきたとき、気絶していたところを保護されたのだ。

しかし村が滅び、引き取り相手が誰もいなかったソラは、王都レグノイドの孤児院に預けられた。

そして孤児院の決まりとして、15歳になると独立していくことた決まっていた。


「ソラ兄ちゃん、頑張れよな。」


「ソラ君、頑張って来なさい。」


孤児院の仲間達や、修道士の人達に見送られながら出発する。

そして、ソラが向かった先は…







【王都レグノイド冒険者ギルド支部】


「ようこそ冒険者ギルドへ。」


ソラが冒険者ギルドに入り、受付嬢の元へ行くと真っ先にそう声をかけられる。


「冒険者登録をしたいんですが。」


「かしこまりました。それでは、冒険者ギルドについて説明いたしますね。」


受付嬢は一拍おいて続けた。


「申し遅れました。私、受付のレノと申します。それでは説明いたしますね。まず、冒険者ギルドへの入会について説明いたします。まず、登録料金として銀貨1枚が必要となります。それから、血を一滴、この魔晶石にたらしていただきます。そうすればギルドカードを作成できますので、登録完了となります。それからギルドカードに登録する情報についてですが、名前、年齢、種族についてこちらに記載していただきます。それからこちらは任意で構いませんが、得意スキル、魔法、宿命星について記載していただければと思います。とりあえず、ここまでお願いできますか?」


そう言われてソラはポケットから銀貨を1枚取り出して支払った。

それから人差し指に細い針を指し、血を一滴たらす。


それから出されたメモ用紙を前に、ソラは少し悩んだ。

その様子を見かねてか、レノが声をかける。


「あの、あ、代筆が必要でしょうか?」


文字を書けない人が多いことを失念したいた事を反省しながら、レノはそう言った。


「あ、いや。最後の三つは別にいいんですよね?」


「あ、はい。教えていただけたらパーティの紹介などをしやすいだけですので。」


それを聞くと、ソラはすらすらとメモ用紙に書き始めた。

宿命星は書かないことにしたのだ。


「これでお願いします。」


そう言ってレノにメモ用紙を差し出した。


「はい、ソラさん、ですね。15歳。人族。剣と魔法両方いけると、珍しいですね?」


「え、そうなんですか?」


「まあ、多少は。それでは、続きを説明させていただきますね。」


「続いて冒険者ギルドの仕組みについて説明いたします。冒険者ギルドに貼り出されている依頼を受付に持ってきていただければ依頼を受注できます。依頼の報酬は予めギルドが仲介料を抜いたものですのでご了承下さい。それと、依頼にも当然難易度がありまして、最も低いものでFランク、最も高いものでSランク依頼となります。このランクは冒険者のランクに応じたもので、冒険者ランクはF~Sとなっており、最初はFランクから始めていただきます。そしてある程度の実績をあげればランクアップとなります。Cランク以上になると試験が存在するので知っておいて下さい。ランクアップが近くなったらこちらから声をかけさせていただきます。ここまでよろしいですか?」


「はい。」


「では、最後に、ギルドの規則について説明します。もし依頼を失敗した場合、違約金が発生します。違約金の程度は依頼により異なりますのでご注意下さい。それと、冒険者同士の争いについては基本的に禁止です。報告があれば処分があるとお思い下さい。また、依頼の中で負った怪我、さらに死んでしまっても、ギルドは一切の責任を負いません。それから、隣の受付では魔物の素材の買取を行っていますので、そちらもご利用下さい。以上ですが、何か質問等はありますか?」


「いや、ないです。」


「分かりました、それでは、ようこそ冒険者ギルドへ。」


レノはそう言って、ソラにギルドカードを渡した。


「早速、依頼を受けられますか?」


「そうっすね、じゃあ、この薬草採集の依頼でお願いします。」


ソラが掲示板からはぎ取ったのは、【薬草採集】の常備依頼だ。


「分かりました。それでは、お気をつけて。」


レノの激励を受け、ソラは冒険者ギルドの外に出た。


雨が少し、降り始めていた。



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