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春夜恋  作者: ものもらい
???:
23/28




「春夜恋」を読んでくださり、誠にありがとうございます。

この頁では人物紹介・補足説明などを書かせていただきますので、最後まで読まれていない方はご遠慮願います。






◆補足説明◆



・時代設定。

⇒主人公の千冬と香春が出会い、暮らしていた時代は平安末期あたり。

香春が人として生きていた時代が平安中期前後。

最終話では江戸時代前…をイメージています。

後日談では現代。


・桜

⇒もともとは神木。ただし神様がいない間に保護されることもなく穢され続けたために悪いものが住み着いてしまった。

あまりにも悪霊が集まり過ぎたため、山伏によって封じられ、山里や山賊たちが知る「目が眩むほどの宝」と誤解されていた霊鏡が根元に埋められている。


・悪霊

⇒桜の下で悲惨な死に方をした者が、口減らしのために山に捨てられた人間を引き寄せて喰らうことでどんどん仲間を増やしていた。

彼らは自分たちの体(魂が穢されているので腐乱死体状態だが)を形作ることはできるが、基本的に思考も行動も統一されている集団であり個でもある。

そんな彼らのまとめ役(悪霊たちの長役ともいう)が香春であり、彼女の骸を経由することで悪霊たちの力をそのまま受け取ることができ、思う存分厄災を振り撒くことができた。

…ちなみに、彼女以外の悪霊が同じことをすると、送られる力を受け止めきれずにパンクする。


・霊鏡

⇒悪霊を封じる鏡。

これによって時折香春も自分自身の意識を持つことが出来、千冬と出会ってからは悪霊たちの自分たちと同調(悪霊に引き戻そうと)する力から反抗する力の援助をしてくれた。


・木霊

⇒山伏の頼みを聞いて霊鏡と共に桜を封印していた。

子兎の姿をしているがけっこう獰猛。


・祠

⇒人間たちはそこに鬼神と姫君が居ると思っているが、正しくはそこにいるのは木霊である。

祭りの日、二人に扮した男女の舞で木霊を喜ばせ、木霊を二人のいる神社に連れて行くー――というのが正しい。

木霊はその後七日目に山に帰るが、時折旅人の荷物に紛れて降りてきてしまうこともある。


・神社

⇒姫君の衣と鬼神の太刀が置かれている。

厄除けと豊穣の神として祀られているが、商売繁盛の神としても祀られている不思議。





◇登場人物紹介◇



千冬ちふゆ (男/登場時17か18)

⇒とても立派な太刀を持つ山賊。白い髪に赤い目のために顔を隠すように頭巾を巻いている。

元々は貴族の生まれであるが、「呪われている」ために父からはかなり嫌われており、見た目の件と母親の家柄が低いために日陰者生活であった。

とはいえ勉強はさせてもらえたが、どちらかというと武芸の方を訓練させられた。

母が死に屋敷を追い出されてからは養父に山での生き抜き方を徹底的に教わったため、だいたい一人でなんでもできるように。

妹が病弱のために気を張って生きていたこともあり、物語前半では頼もしい子だったのが中盤から依存性という見てて不安になる子へ、終盤では甘えん坊で泣き虫という……。


香春こはる (女/享年16か17)

⇒桜の木に棲む化け物。しかし本来の姿は眩いばかりに美しく高貴な雰囲気の姫君。

彼女もまた貴族の生まれではあるが、母は下女の身分のために庶子である。

しかし彼女は母の出こそ最底辺であるが、父と母の良いとこ取りの容姿と才能、そして最愛の人の忘れ形見として父親が目に入れても痛くないほど可愛がり、父という後ろ盾を無くしてからの生活を心配して財産のほとんどを譲ろうとするほどの溺愛ぶり。

そしてその溺愛ぶりをきっかけに、彼女はうら若い乙女のうちに殺されてしまうという……。

才色兼備ではあるものの、生まれが下女の子から姫君に仕える女童へ、そして豪華な屋敷に住む姫君にまで成り上がった経験から、基本的に笑顔でおっとりと喋る。

けれど素では食いしん坊だったり夫のピンチに石を剛速球で投げたりするというちょっと残念なお姫様。


・鍋 

⇒香春が発見し保護した白い子兎。

常に何か食べてないと気が済まないのかすごい量を食べ続ける。あまりの太りっぷりに千冬が本気で心配していたが、本人は気にせず食べる。

その正体は木霊で、香春の変化を察して息抜きに出てきてしまい、暇つぶしに香春たちを観察していた。

そうとは知らない二人に我が子のように可愛がられ、鍋もまた親のように慕っている。

が、香春には大人しく従うものの、千冬には反抗期のような暴れっぷりで襲いかかる。

襲いかかっているけれど、鍋が一番気に入っているのは千冬だったりする。


千春ちはる (女/享年15)

⇒千冬の妹。兄と同じく白い髪に赤い目をしており、とても病弱。

素直で大人しく兄思いの妹で、兄が何をして自分を食べさせ薬を持ってくるのか分かっていなかった(荷物運びの仕事だと誤解していた)。

都の屋敷から山小屋というひどい状況での生活であったが、彼女は「幸せだった」と満足してこの世を去った。


・千冬たちの養父

⇒山賊。妻と子供がいたが、どちらも病死。

千冬たちと出会った時はその容姿に驚いたが、妻の住んでいた村ではその手の人間や生き物は幸運の象徴であったと聞いていたため、保護をする。

彼の死因は他の山賊との小競り合いによるものだったが、最後を彼らに看取られたおかげで笑って死ねた。


・千冬たちの母

⇒没落した家の美しい姫君で、千冬たちの父に見初められて彼と結婚。

夫に深く愛されるも、産んだ子たちは皆「呪われている」と告げられる。それでも子供を愛し夫を愛したが、夫が愛したのは最後まで彼女だけだった。

ちなみに彼女の祖母は香春の異母妹である。最期まで子供たちを心配しながら病死した。


・千冬たちの父

⇒冷たい印象のある美丈夫。千冬はどちらかというとこの父に似た。

妻(千冬たちの母)を亡くしてからは千冬に金と太刀を渡すだけで何も助けず、虚しさから出家して後に流行病で死亡。


・和尚さん

⇒暇人なお爺ちゃん。誰かを招くのが好きで、不思議な話や都の話を聞くのも好き。

でも「それってちょっと…」な悪い話を聞いても、叱れずに話を聞いちゃうタイプ。


・商人

⇒千冬が盗品を交換していたひと。

千冬の妹と同い年の妹がいるせいか、あれこれ世話を焼いてくれた。


・無精ひげの男

⇒千冬は「女郎花のひと」と呼ぶ。山賊ではなく、山の恵みを得て暮らしている。

顔のあちこちに傷がある強面だが、笑うとちょっと可愛い。実の息子と山で拾って育てている若いの数人と集団で生活しており、そのリーダー役。

女郎花は事故で死んだ彼の奥さんが好きだったお花。


・子供

⇒山で遊んでたら旅人のおにいさんと出会い、山賊にも遭ってしまって殺されかけるも千冬たちに助けられた運の良い子供。ちなみに女の子。

実はこの子は陰陽師である篠崎に拾われた子で、よく彼のお仕事のお手伝いをしている。

最終的に篠崎さん家のお嫁さんになった。


・男の子

⇒千冬を刺した男の子。彼の言う「おにいちゃん」は↑で遭遇した山賊二人組のこと。

その日はたまたま遠くから惨劇を見てしまい、怖くて動けなかった自分を心底軽蔑した彼は「おにいちゃんのとむらい」のために形見の小刀を握る決意をした。


・篠崎

⇒陰陽師の名家・篠崎家。本当は誰でも良かったんですが、変に名前考えるよりはと思って別作品でも出張中のあの子の先祖を出しました。

千冬に「見捨てた」と思われているが、本当は「助けたかったが(千冬の父に)絶対拒否された」ために何も出来なかった。

今回は自分の身内を助けてもらったこともあり、描写してないけど地味に頑張ってた。二人のために腕一本麻痺するぐらい頑張った。




桜季さき (男/14歳)

⇒母は病気で幼い頃に亡くなり、現在父子家庭の男の子。

お父さんは無口であっちこっちに出張をしてて忙しいけど、彼が焦げた目玉焼きを出しても怒らずに完食してくれるくらいには愛情のあるお家。

隣の席の柊子とは小学校からの仲で、現在片思い中。友人は他に美少女二人におっとりした男子一人というリア充生活をしているが、この美少女二人がSすぎて毎日いじめられている……。

いつの頃からか「違和感」と「へんな夢」に悩まされるが、後日談で一部解消された。

なんだかんだで毎日幸せだが、ときどき白い子兎がご飯貰いに山から彼の部屋へやってくるのが悩み。そろそろ懐いてほしいらしい。

ちなみに桜の花言葉は「あなたに微笑む」「私を忘れないで」


柊子とうこ (女/14歳)

⇒夫婦円満家庭に生まれ、お父さんの教育方針から同年代と比べるとけっこう上品な美少女。

美少女だが品の良さから同学年の男子からは「近寄りがたい」と評されている。しかし言葉遣いが柔らかく、話していると自然に楽しくなってくるタイプ。

女子力が無駄に高いが、同時に薙刀部に入っていたりしているせいか逞しい一面も。隣の席の桜季をいじめるひとは「竹槍で仕留める」とか言っちゃうくらい。

彼女もまたひとには言えない悩みがあるが、後日談で完全解消された。今では花嫁修業に本気を出し始め、勘づいたお父さんに泣かれている。

なお柊の花言葉は、「あなたを守る」。柊は邪気を払う木としても有名ですよね。


・篠崎 (女/14歳)

ごちゃごちゃしちゃうと思って書きませんでしたが、彼女の名前は「榎耶かや」。

すごく優しくない発言をしていた陰陽少女で、桜季たちの因縁を知っている。

もちろん子兎の正体も見破っていた。


・鬼神と姫君

⇒手厚く祀られたため、「神」として残った千冬と香春のこと。つまり二人の分霊。

後日談以降は桜季たちはその姿を見ることはできなくなったが、気配は感じる。






◆あとがき◇


約一ヶ月かけて書いた「春夜恋」、如何だったでしょうか?

今回のお話は坂口安吾の「桜の森の満開の下」を読んで考えたもので、桜や山賊などあれこれ設定を拝借しております。

本当はあのストーリーに少しだけ救いがあるものにしようかと考えていたんですが、基本的にハッピーエンドしか書いてこなかった私には無理でした。いつか坂口安吾先生のような悪女とか独特のストーリーを書けるようになりたいです……。


ちなみに、本当でしたら「春夜恋」は桜が咲いては散っていくように再会と別れを繰り返す恋人たちの話―――という綺麗なものではなく、「桜の森の満開の下」に習って香春の美しさに魅入られた千冬が山賊業を続け、香春の真実を知ってもなお尽くすが香春に殺され、しかし亡霊となっても香春に縋りつき、折れた香春が彼を連れて彼岸を渡るというお話でした。

ですが途中で心が折れ、最終的に二人が許しあうことで救われるよくあるお話になりましたが……。


捻り足りなかったお話でしたが、少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。

出来ましたら、感想などよろしくお願いします!



挿絵(By みてみん)


なお、千冬のイメージソングは「春/の/か/た/み」、香春は「月/恋/歌」でした。




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