飛影の墓
4月になってしばらく経ちますので、環境が変化された方はそろそろなれて来ているころではないでしょうか?
なれた時が一番大事ですので、初心を忘れずに頑張ってください
飛影の墓
100年前の戦いで死亡した前魔界の魔王の墓
それは唯の墓ではない
魔王や魔王補佐がなんか楽しくなってきたらしく、色々と本気で罠を仕掛けたため墓ではなく遺跡となっている
攻略難度は飛影が生まれた遺跡であり前々魔王アギトの遺跡難易度はSランクであったが、遊び心満載なこの遺跡はSランクを遥かに超えている。
前魔王である飛影の墓荒らしは多いが、その墓(遺跡)は攻略されたことが一度も無い
「さて…じゃあリタ頼んだ」
あたり一面が荒地
特に遺跡らしいものすら見当たらない
第1の罠はリタの魔法による光の屈折により、そもそも墓が見えない
移動魔法で一発で行こうとしてもダドマ第0のトラップにより、移動魔法は全て防がれてしまう
《キュリクレイ・屈折解除》
リタは罠を解除するではなく、罠を無力化するために全員の視界に真実の姿を映す
すると地面には、血がまき散っていた。それは遺跡攻略に失敗した者達である
そして、第3の罠である200m先に氷の壁が現れていた
つまり、第2のトラップがこの先には待ち受けている
「さて…次は我のじゃな」
第2のトラップはギルギアの魔法による重力の罠
常時1000倍程度の重力が掛かっている
そして、更にもう一つ見えない罠が仕掛けられている
《グラビティ・重力解除》
ギルギアは魔法を発動
下からの重力に逆らうように上へと重力を働かせて相殺する
「ふむ、では我の後ろを必ずついてくるのじゃ」
各自ギルギアの後ろに並び、一列に並ぶ
真っ直ぐ次の罠へと進むのではなく、右に左にと進路を変えながら進んでいく
理由はもう一つの見えないトラップ
ブラックホールである
ランダムに生成されるそれは、ルートを外れた瞬間に発動される
もはやギルギアでもその出現場所はわからないため、前兆で判断するしかない
その前兆がわかるのは同じ重力使いであるギルギアのみである
200mの道を10分かけて進むと、次に見えるのは第3のトラップ
アユリの《魔氷》とコトハの《クルーズ》による複合トラップ
氷と時間の罠である
氷の壁の中には氷の迷路が存在し、最硬を誇るアユリの氷を粉砕することは難しく更に自動再生機能つきである
そして、その中は強制的に100分の1まで時間を遅くしている
それだけではない
迷路には氷の氷柱があらゆる箇所から突き出してくる
それの速度は通常の5倍ほどまでに加速されている
《魔氷・支配》
《クルーズ・加速100倍》
アユリの魔法により、周囲の氷を支配しトラップを停止
コトハの魔法で、時間の流れを通常に戻す
「本当にここのトラップキチガイだろ…誰が突破できるんだよ」
毎度の事ながら彗は小言気味にツッコむ
「まぁ…単独突破できるのはあれかハルカさんだけですかね…」
そのツッコミを返すのはリタである
その表情は笑顔であるが、声は少し怒気を含んでいた
アユリとコトハにより、ただの迷路になっている第3のトラップを通過する
そして待っているのは第4のトラップ
氷の柱が100m先に見えており、それがゴールである
ラインとダドマによる複合トラップ
迷路を抜けた先には氷柱を囲うように水柱が見えていたしかもバチバチと帯電しているのがわかる
ダドマの魔法《天変地異》により圧縮した水の柱で、そもそも水であれその中に入ることが困難である
更にラインの魔法で雷が帯電しているため、例え突破しても焼け焦げる
《天変地異・水柱解除》
氷の柱までの道が開かれる
「はぁ…毎度毎度俺だけ魔法使ってラインだけ楽するとかマジで死ねばいい」
「毎度毎度言ってるけど!!私が悪いわけじゃないよね!!?」
ラインはこのトラップで魔法を使う必要が無い
つまり、ラインはいなくても何とかなるのが現状である
そして最後の氷の柱
氷の柱の入り口は地上から約30m程の場所にある
唯の跳躍で入り口に到着する
そして最後の罠
入り口から30m落下する必要があるが、その30mにコトハの魔法による遅延とリタの魔法によるレーザーが射出される
幅は直径10m程
レーザーも直径10m程で回避することは不可能であり、1000分の1まで遅延しているこの30mを下降することは死を意味する
《キュリクレイ・第2解除》
《クルーズ・第2解除》
レーザーを無効化し、時間を戻す
すると、死の落下が唯の30m落下へと変更される
そして辿りつくのは飛影の墓である
氷の柱に覆われていたが、中は花が溢れていた
そして中心には墓石が立っていた
墓石には飛影とだけ書かれていた
そしてその墓を見た瞬間に、ある異変に気付いたリタ
魔力を解放し氷の柱を殴りつけ、アユリの最硬を誇る氷を粉砕する
粉砕した氷は自動修復により再生するが、リタが切れたある事実だけは認識できていた
「魔剣が無いな」
飛影の墓には集めきれていなかった3刀
飛影が所持していた魔剣の残り3刀が墓石に刺さっていた
しかし、そこには刺さっていたはずのそれが無かった
「…このトラップを抜けることができるのは、ハルカかキヨイだけじゃな」
キヨイ
ギルギアの口からその名前が出た瞬間に、周囲が緊迫する
「ハルカがそんなことする訳ないからキヨイだね」
ラインは断言できた
何しろ魔剣の3刀の内の2刀はハルカが見つけ出して自ら墓石に捧げたものである
わざわざ周囲に言わずに取るわけはない
キヨイは100年前
飛影を殺し、世界の結界を『ゼロ』にした
『イチ』と『ゼロ』を操作することができる女神である
「…とりあえず、墓参りしてその後考えましょう」
意見を出したのは秋野であった
腸は煮えくり返っているが、表に出してはいない
表に出した瞬間に、リタとアユリが切れてこの世界を壊す可能性があるからである
「…そうだな」
それを察したダドマはその意見に賛同し、てきとうに花を摘み飛影の墓石に置く
他の者もそれに続く
約3分ほどの時間をかけて墓参りは終了する
「え~と、取り合えずまとめるか…恐らくだが、この100年動きを見せなかったキヨイが動いたってことで話を進めると、そろそろキヨイとの殺し合いが始まると思う…各自鍛えているからとりあえず心配はしてないが、彗、秋野、火月は何か変化あったら直ぐに誰かに連絡しろよ!椿はリタと一緒だから除外する」
100年前に大敗した面々
少なくとも自身の強さに多少なりともプライドがあった面々であったが、圧倒的な格差が存在する相手と出会い研鑽を重ねてきた
全ては自身の限界を超えるため
また、一部は飛影の敵討ちのためである
「う~ん、マスターの遺品だけどコレあげるわ」
まだ弱いレストワールドの面々に渋々とマリエッタが腕時計を配る
「これは…あ~正式名称が出てこないが緊急用のシグナル送信つきの腕時計であってるよな」
「そうよ、キヨイが現れたら絶対に使ってね。現れなかったらつかっちゃ駄目よ」
レストワールドの面々に配ったそれは正式名称:緊急連絡用万能腕時計でありK189である
それは、普段は腕時計+その他面白機能がついているが、緊急時は予めセットした相手を強制的に異なる世界にいても召還するデバイスである
彗にはダドマ、秋野にはギルギア、火月にはリタがセットされている
取り急ぎは当面の危険を回避するための策を講じたので、墓参りは終了である
そして帰り道も同じ工程で進む訳であるのが億劫であるが、それはまた別の話である
なお、空中から遺跡攻略しようとした場合はハルカのトラップが仕掛けられており、進入した時点で《スプライト》が発動し、崩壊させられる
猫を飼いたいのですが、猫アレルギーな私はどうすればよいのか真剣に悩みます。。。