売値=¥100 買値=¥10000 (変動あり)
この隼とか言う男。他の誰にもない凄味を感じる。
顔はどちらかというと穏やかだが、この人と戦ったらまず負けるだろう。
次に、志渡という女。
穏やかそうで、ちょっと可愛い。
ああ、ダメダメ。今は竹下さんとの仲を戻さなきゃ。
ちょっと頼りなさそうな男の女々谷。
そして最後は、ガリガリの渡辺だった。
この10人。一体何が始まるのか、まったく分からなかった。でもそれは、会場の皆が同じだった。
「では、ただいまより今回のルール説明を行います」
ルール?何かゲームかなにかをするのか。
「……その前に、ゲーム上におけるお金の代わりになる、例えるならルーレットのチップのようなものを配ります」
そう言って田原は、一人一人にずっしり重い箱を渡してきた。
箱を開けると、中には細い銀色の棒のようなものが入っていた。
「針かな?いや、違う。この形は……金属でできたつまようじ?」
「これは、純銀製のつまようじです。一人500本。占めて5万円です。ですが、今はあなたたちに無償でさしあげましょう。さらに、プレイ次第ではこれを50倍以上に増やすこともできます」
250万円……僕は唾を飲み込んだ。
「もうひとつ。このバンドを手首に巻いておいてください。あと、絶対に外さないようにしてください」
何だろう。盗まれないためのものかな?
「さて、今から行うゲームですが、ルールは簡単。さっき巻いていただいたバンドで、脈拍を計っています。その10のデータのうち、1つがゲームを動かします。今1つ100円のつまようじが、脈拍数だけ掛け合わされる。例えるなら、脈拍数50なら、100×50で5000円になります。これは、随時変動するので、脈拍が多いときにつまようじを売ってしまえば、多くの現金を得ることができる。投資と同じです。各自で考えて、つまようじを売り買いしていただければいいのです。禁止事項は1つ。つまようじを1000本以上持つこと。これだけです。売り買いするときは前のカウンターへお願いします。では5分後ゲームスタートです」
とりあえず、目の前の数字が多いときに売ってしまえば、大儲けできるってことか。
脈拍なんて50より下がることはあんまりないから、絶対に儲かるじゃん!
でも、脈拍を計られているヤツが誰か分からないのは引っ掛かる。
そんなことを考えるうちに、開始のブザーが鳴っていた。