エピローグ
宇宙記録。
観測対象、継承都市アステラード。
分類、孤立継承型空中都市宇宙。
王座戦、発生。
君主、セレナ・ヴァル・アステラード。
接続英星、アウレリア。
覇王、カイ・レダ。
接続英星、零刃。
主要矛盾、地表喪失による空中都市の維持の不安定化。
出生管理、職能配分、医療資源管理、外縁部犠牲を前提とした存続体制。
戦役結果、天秤王座の単独統治権限は失効。
継承計画は、命令装置から支援体系へ再定義。
王座保持権限、競合。
君主、単独統治権限を解除。
覇王、簒奪完了。
王座陥落。
沈黙時間、三・七秒。
覇王カイ・レダ、王座への着座を拒否。
君主セレナ・ヴァル・アステラード、地表記録の遮断を拒否。
地表帰還計画、凍結解除。
地上開拓計画、起動。
玉座解放。
◇
以後の記録。
アステラードは、すぐに地上へ完全降下したわけではない。
最初に降りたのは都市ではなく、人だった。
第一地表調査隊。
隊長、カイ・レダ。
支援戦闘ユニット、零刃。
同行者、外縁区技術者、医療班、保安局員ユアン・クルス、防衛軍志願者、その他開拓志願者。
彼らは、毒の雲の切れ目から地表へ降りた。
そこに楽園はなかった。
壊れた街。
黒い森。
星禍獣の爪痕。
濁った水。
けれど、土があった。
草があった。
風があった。
アウレリアは、王座の弓を下ろした。
以後、彼女は都市を焼く女神ではなく、開拓地を守る巨神として記録される。
セレナ・ヴァル・アステラードは、王座の間に残った。
彼女は継承計画を捨てなかった。
ただし、それを人の未来を決める仕組みではなく、人が選んだ未来を支える仕組みへ変え始めた。
◇
ミラ・オルフェは、第一降下地点で歌った。
推奨発声時間は守られなかった。
途中で咳も入った。
それでも、その歌を開拓たちは聴いた。
アステラード暦は、この日を境に二つに分かれる。
空を保つ時代。
そして、地上を取り戻し始めた時代。
ここまで読んでくださり、ありがとうございます。
第一部「継承都市アステラード編」は、これで一区切りです。
楽しんでいただけましたら、評価ポイントで応援していただけると励みになります。
ブックマーク、レビュー、感想も大歓迎です。
(実際にXの方の感想で改稿したりしています)
第二部からは、また新しい舞台と英星の物語が始まります。
引き続き、よろしくお願いします。




