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愛とは  作者: LS
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好きなものに一途な彼

小学校6年間とは違う中学校3年間。身も心も少しずつ変化し、思春期を迎える。

大人になったと勘違いし色んなことに敏感になる年頃。


私の初恋・初彼は、中学生の時だった。

あれは、中学1年生の時の話


初めての校舎、初めてのクラス。初めての制服に身を包まれ、緊張しながら入学式を迎えた。


入学式の後は、クラス委員決め。


『じゃあ、後は学級委員だけだな。誰かやりたいやつはいないか?』


先生の問いかけに、クラスみんなの顔が下がる。


『決まらないなら、男女別でジャンケンしてもらうぞ~』


『えー!もうさっさと誰か手上げろよー』ブーイングが止まらない。


『てか、委員入ってないやつがジャンケンすればよくないー?』机に座りながら腕組んで話す1軍女子。


『よし!ならもう今日の日付で決めるな!えっと…』


選ばれたのは、私と彼だった。


『2人はさっそく今日の放課後、学級委員会があるからよろしくな!HR終了~』そう言って

先生は、教室を出ていった。


(最悪…。何で私が…。) 


『はぁ…。』ため息をつきながら、学級委員会の会議室に向かった。


クラスが書かれている場所に座り、委員会が始まるのを待つ。


『じゃあ、あと2分したら始めますね』3年生の学級委員が資料を配り始めた。


(まだ来てないな) 私は、教室をキョロキョロ見渡しながら彼を探した。


『では、会議始めます』 チャイムと同時に委員会が始まった。


ガラっ…


『すみません。遅れました』


『遅刻ですよ。次は時間通りに来るように』


『すみません』頭を掻きながら、申し訳なさそうに私の隣に座った。細身で身長が高い彼。

委員会の内容をメモしている字は、とても綺麗だった。


委員会が終わり、最後、担任の先生に渡さないといけないプリントを持って私は帰る準備をした。


『あ。ねぇ…』立ち上がった瞬間、彼が私を止めた。


『今日俺、遅れてきたから、俺がプリント渡して帰るよ』


『いいよ。こんなのすぐ渡せるし』


『なら、一緒に渡しにいこう』そう言って2人で担任の先生に渡しにいった。


その時私は、初めて彼の顔を見た。目が二重で、小顔で優しい顔…。


同い年とは、思えないほど落ち着きがあった。


帰り道…


彼は、電車が好きで、将来は電車に関連する仕事をしたいと話していた。


好きなことを楽しそうに話す彼の横顔に、私は惹かれたのかもしれない。


2人で、クラスをまとめたり、放課後残って作業する時間は、とても楽しかった。


『なぁ、テスト勉強進んでる?』


ある日の夕方、ふと彼が私に問いかけた。


『ううん。数学がどうしても分からなくて…』


勉強が苦手だった私は、テストの点数もあまり良くなかった。


クラスメイトからも、学級委員なのにとよく笑われていた。


学級委員会終わり、担任の先生からもテスト勉強しろよと言われ続けていた私。

彼も私が、テストの点数が良くないことは、知っていたと思う。


『なら、図書館で一緒に勉強しようよ。俺が数学教えてあげるからさ』


それから、彼と二人で放課後、図書館で勉強することになった。


彼は、教え方が凄くうまかった。何回間違っても嫌な顔せず、何度も教えてくれた。


『あ…。できた!』


『お!すげぇ!』同じように喜んでくれる彼を見て、私も自然と笑顔が零れた。


『ほら、解けない問題なんてないだろ笑』


『うん。ありがとう笑』


その日の放課後


『じゃあ、数学のテスト勝負しようぜ』


『そんなの私、負け確定だよ…』


『最初っからそんなネガティブなんなよ笑 勝ったやつは1つだけお願い事を聞くっていうのはどう?』


『うーん。分かった』


『よし!決定だな!じゃあ、明日お互い頑張ろうな』


そして、中間テストが終わり、勝ったのは彼だった。


お願い事は、告白だった。あの時、私はどんな顔をしていたのだろうか。


彼の気持ちに、頷いた私は彼の彼女になった。


でも、私に好きという気持ちは、ゼロに近かっただろう。


ただ、恋愛というのがどんなものか知りたかっただけだった。


私は、彼の好きの気持ちを利用した。


向こうが、私を好きならそれでいい。自分の感情なんてどうでも良かった。


初デートは、映画だった。そのあと、彼の好きな電車の博物館に行った。


あれだけ、彼の楽しそうに話す姿が好きだったはずなのに…


電車の写真を撮ったり、発車メロディーを録音したり、彼は私ではなく電車に夢中だった。


一緒にいてもつまらなかった私は、それ以降、彼からいくら遊びに誘われても行くことはなかった。


そして、わずか1ヶ月で別れを告げた。


別れた後も、彼は何度も私を気に掛けてくれていたが、私はそんな彼を無視し卒業まで話すことはなかった。


彼の優しさに私は漬け込んで、思わせぶりな態度を取っていたのかもしれない。


そして、彼が振り向いたことでいい気になって、ただ恋愛をしたいという自分の欲情だけで彼のお願いに応じた。










人の気持ちは、けして利用してはいけない。

例え彼が好きだと言ってきたとしてもあなたにその気持ちがないのなら、簡単に応じてはいけない。


学生だからと言って、軽い気持ちで付き合いを繰り返していたら、その彼が犯罪を犯し、あなたの大事な命を狙ってくるかもしれない。


あなたの中に、彼が好きという感情があるか。自分を守るためにも一度、立ち止まって考えてほしい。

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