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✴︎†Holy † Devil†✴︎  作者: 華美大介
1.ニコラス・テネット
3/6

EP.III 西部のガンマン

ダァ──ン!!



発砲の音が響くと、テネットの胸に命中する。

だが───。


ドブッ…


 命中した弾丸は、テネットの肉体に触れた瞬間まるで溶岩に触れたかのように、赤い炎の輝きの中へと沈み込んだ。


テネットは胸に、殴られたような打撃感を感じほんの少しよろける。


 この状況で、明らかに自身が人外として扱われていることを理解したテネットは、とにかくその場を離れようとした。

だが、足を上げようとするとなんと、足元のレンガが溶けておりテネットの足が沈み込んでいたのだ。

テネットはとにかく反対方向へと走った。

ただひたすらに走った。

そして────。














 テネットは町の中を全速疾走していた。

その後ろから、神父や銃を構えた男性が追いかけるが、テネットとの距離は一方的に離されるばかりだ。


「あの悪魔を捕まえろ!!絶対に逃すな!」


 銃を構えた男性は立ち止まり、まるで町中に響くかのような渾身の叫びを披露した。

だが、町の人がその声を聞く頃にはもう既に、その横をテネットが通り過ぎる。



「へへっ、今日の俺はラッキーボーイだぜ!」


 ケバブ屋で財布を取り出していた男性は、店主の持つケバブを手から奪い取りすぐさま自身のオートバイへと乗り込んだ。

 マフラーから多量の煙が噴き出す、男性はハンドルのグリップを強く握り込み、その場で大きく旋回、鳴り響く発動機の轟音と地面を擦るタイヤの音と共に、すぐさまテネットの後を追いかけた。




「おい!代金が全く足りないぞ!?金払え!!」


 ケバブ屋の店主がテーブルに置かれた1ドル札を叩きながら、バイクの男性へと怒鳴りつける。



「後で返すさ!必ずな!!」


男性はそう言いながら、その目を鋭くし目の前を走るテネットを見つめていた。



「西部劇から飛び出た男──!ピンチの時に駆けつける!!その名もMr.CRISIS BOY!

俺の愛車は馬じゃなくてスズキのジャパニーズクレイジーバイクさ!!」



Vrrooooomm!!!



 町中を駆けるバイクは、数秒の内に時速80kmまで加速する。

片手に持つケバブを一口喰らい、ズボンの中へと残りを突っ込んだ。

そして、男性はホルスターから拳銃を引き抜く。



「「「こいつはG19!リボルバーじゃないだろって?知ったこっちゃないね!!こちとら今を生きてんじゃ!」」」



 男性は前から殴るような風を受けながら1人で語っていると、グロックの照準をテネットの後頭部に合わせた。

豪語するだけあって、彼は時速90を超えるバイクを片手で操りながら、片手で狙ったその照準を一時も狂わせない。


「ピカピカ狙いやすくて助かるぜッ!」



ダァ─ン!!


一発の発砲音と共に放たれた弾丸は、風を切りテネットの後頭部へと命中した。

だが、テネットは怯むことなく走り続ける。



「「おいおいマジか!?俺外したのか?」」



ダァ─ン!


ダァ──ン!!


ダァン!

ダァ─ン!!



ダァ───ン!!!



ダァン!!


 男性はそう呟くと、更に6発の弾丸を放つが、それでもテネットが走りを止めることはなかった。



「「「嘘だろ全弾外しとかどうしちまったんだ俺……いや!これは俺じゃなくてきっとコイツのせいだな!」」」


 男性はグロックのスライドに軽くキスをし、そのままホルスターへと戻した。

そして今度は、右腰に掛けられた謎のグレネードのようなものを左手に握り、腰から取り出した。


「「「こうなったら必殺カミカゼアタックだ!!」」」


そう叫ぶと、男性はバイクのギアを上げ更に高い速度で加速する。



vrroooooo────



 時速が120kmを超えたその時、男性は左手に持つグレネードのスイッチを指で押し込んだ。



「「「「こひゃあさひこふい(こりゃあ最高に)

     あがっえきたぜえ(上がってキタぜぇ)!!!」」」」



男性はそう声を上げると、押していたスイッチから指を離した。


(こいつは指を離した瞬間からピッタシ5秒で爆発する…タイミング見極めろ俺。)



 男性は更に加速をし、テネットとの距離を近づけていく、そして、その時はついにやって来た。

 テネットの背後にまで迫ったその瞬間、男性はバイクを右にずらしテネットを避けるように加速する。

瞬間、男性は左手に持っていたグレネードを、テネットの横を過ぎる一瞬で地面へと投げつけた。



「「「「ハッハァ!喰らいな!国から頂いた極上の焼夷弾だ!!骨も残らず焼かれ死ね!」」」」



 テネットの目の前に落ちた焼夷弾は、その瞬間眩い閃光を放ち、直後激しい爆発と共に多量の炎を撒き散らした。




ボグァ────ン!!!






ギギギィィイ………


 レンガにバイクのタイヤが激しく擦られる。

バイクは爆破から約20m離れた地点で急停止した。

爆破で撒かれた砂煙を眺めながら、男性はバイクから降車する。


「おおっと危ねぇ、ケバブが落ちるとこだった。」


男性はズボンに挟んだぐちゃぐちゃのケバブを取り出し、更に一口喰らう。



「どうだー?流石に焼け死んだだろ。」


 男性はハットの位置を直し、口にケバブを含んだ声で呟いた、だが彼が目にした光景は想像とは異なる結果を産んだ。



「嘘だろ…これでも無理なのか。」



 男性が目にしたのは、立ち昇る煙の中から立ち上がる赤く燃え盛った男の姿だった。

それを間近でみた男性は一言呟いた。



「よく見りゃコイツ…全身真っ赤の火だるま人間じゃねぇか!グールじゃないのか??」


 男性はすぐさま空いた手でホルスターからグロックを取り出し、スライドを引き薬室に弾が入っていることを確認すると、軽く拳で叩きその銃口をテネットの額に向ける。



ダァ───ン!!


 男性が引き金を引き弾丸を発砲する、だがテネットはそれを間一髪で顔を逸らし交わした。

しかし、そんなテネットの視線の先には、まだ銃口が付いてきている。


「スピンコックだ、ほぼ意味はない。」


男性は一発目を放った後、拳銃を指にかけ回転させながら、テネットが顔を逸らした地点に照準を既に置いていたのだ。




ダァ────ン!!




「"カッコよさ"に意味を求めるのはナンセンスだぜbro……」

 ケバブを更にもう一口齧り、銃口から出る煙を吹いた。男性は更に二発目の焼夷弾を喰らわせようと腰に手を伸ばしていたその時。


 脳天を撃たれたテネットは、なんと倒れそうになる体を足で持ち堪えたのだ。

男性はそれを目の当たりにし、眉を顰め視線を鋭くさせた。



ダァン!ダァン!

ダァン!ダァン!

ダァン!ダァン!

カッ…カッ……



 グロックから放たれた6発は全てテネットに命中し、テネットも前屈みで動きを止めている。


 男性は唇を強く閉じながら、弾切れで飛び出たスライドを目視し、グロックをすぐさまホルスターへと直した。

そして、男性が焼夷弾のスイッチを押し隙も与えずテネットへと向けて投擲する。



 だが、テネットは飛んでくる焼夷弾を左手で跳ね飛ばし、横の離れた位置で爆発した。


爆風と煙でテネットの体を燃える炎が揺らめく。

テネットは燃える足を一歩前に踏み出した。


男性は残ったケバブを全て口に含み、紙屑を丸めて投げ捨てると、格闘の体勢を取り、身を構えた。

 燃える足で地面を踏み込み、テネットは全力で地面を蹴り飛ばす。

ロケットスタートで飛び出したテネットは、防御する男性も関係なく右手で払いのけると、男性は大きく吹き飛ばされ、横にあった民家の壁に激突した。



「Ahh…shit!──痛ぇなぁおい…」

 男性は痛みに耐えながらも立ち上がり、テネットの方へと駆け出そうとするが。


 テネットは男性の乗っていたバイクを掴み、後ろへと投げ飛ばす。

バイクは焼け跡が残りながら地面を擦り、すり減る車体の中焼け跡がガソリンに引火し、激しく燃え上がった。

男性は焼けた服を脱ぎ捨て、赤くなった胸を風に当てる。


「あー俺の愛車が…と言うかまぁ親父のでもあるんだけど……チクショウやりやがったなあの火の玉野郎!」


 男性の叫びの中、テネットは既に町の外へと近づいていた。

走るテネットに対し、男性はグロックのマガジンを交換しスライドを引いた、そしてその銃口を向け発砲するが、テネットは既に町外れのメサへと足を踏み込んでおり、離れていくばかりのテネットに男性はグロックを下ろした。


「tsk──」

男性は小さく舌を打ちながら、右肩を押さえ、投げ飛ばされた愛車の方へ振り返る。


「こいつが燃えてなきゃ良かったんだけどな。」


 燃えるバイクを見つめ一言そういうと、状況を見ていた現地の住民がバケツいっぱいの水を持ち、それをバイクにぶっかけた。

大きい炎は消えたが、それでも小さく残った火は男性がブーツで踏み消火する。


「こりゃメンテナンスしないと走れないな……」

 男性がそういうと、スマートフォンを取り出し電源をつけた。


「ohh…電波だけタイムスリップしてきたのかって…あー!そういえば今2025年か!

さっきから雰囲気ぶち壊しの、あの電柱のおかげで気付けたぜ。」


そう喋ると男性はスマートフォンで誰かに通話をかける。



Prrrrrr────。




「はい、こちらアメリカ合衆国超常特別対応局ワシントンD.C.支局長の、ジェームズ・ワトソンです。

そちらのお名前をお伺いしても?」



男性は電話越しに自身の名を伝えた。


「"アドルフ・ラッセル"だ、2番のアドルフ、今…"ニュータイプの化け物"と遭遇した。

奇妙だったぜ……全身燃えやがって弾丸も効かねぇ、グールとは異なる新たな怪物の可能性が高い、そっちでも調査してくれないか?」



 ラッセルが立て続けに喋りかけると、電話越しのワトソンは落ち着いた声で対応する。


「一旦落ち着いてくださいアドルフさん、その『ニュータイプの化け物』の特徴などは、具体的にどういったものですか?」



 ラッセルは一呼吸置き、その場を立ち去ろうとするバケツを持った原住民に声をかけた。

「あ!さっきはサンキュー!今度サインでも書いてやる!」


そう言うとラッセルはスマートフォンに耳を傾ける。



「アイツの特徴か───

まぁまず思いつくのは『全身がマグマみたいに燃えていた』、顔にはうっすらと口とか目とかの輪郭が見えるんだけど……ハッキリとはわからないな。

眉も耳もないし全身が燃えてて…とにかく感情の読めない不気味なヤツだった。」



その言葉に、ワトソンは一瞬言葉を呑む。

「確かに…そのような存在は、これまで聞いたことがありませんね。

こちらでも話しておきます、帰りはこっちで迎えを出しましょうか?」


その提案に、ラッセルはこう返した。



『おいおいおい、D.C.からここまで何千kmあると思ってんだ?電波繋がるしタクシー呼んで1人で戻るよ、あっ!その分の交通費はそっちで負担してくれないか?あと肩とか胸も痛めたから医療費も───』


 会話の途中に、ワトソンは一言伝えた。


「幸運を。」


直後、スマートフォンの通話は切られてしまう、ラッセルは通話を切られたことに肩をすくめながら、帰りのタクシーをスマートフォンで検索している──。













…………


 そして……それらを影で見ていた傍観者は、その顔に不敵な笑みを浮かべていた────。





書き溜めはここまでとなります。

次話以降の投稿は、著しく遅れるか、あるいは投稿されなくなる可能性があります。

あらかじめご了承ください。

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