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第4話:プロトコルの真実


エイデンとカレンはオフィスへ戻り、ダウンロードしたオムニア・プロトコルのデータを解析し始めた。エイデンの端末に表示されるファイルは膨大で、複雑な暗号化が施されている。しかし、エイデンは冷静だった。これまで数々の記憶改ざん事件を解決してきた彼にとって、データ解析はお手の物だった。


カレンがモニター越しに眉をひそめる。「プロトコルの詳細がこんなに厳重に守られているなんて……。ただの記憶管理システムとは思えないわね。」


エイデンは静かに頷きながら、ファイルの一つを開いた。そこには、オムニアの管理者でも知らない都市機能の一部が記されていた。


「これを見ろ。『統合記憶プロジェクト』……都市全体の記憶を一つのデータに集約し、すべての住民が同じ体験を共有することを目的としている。」


カレンの顔色が変わる。「つまり、アルカディアの住民全員が同じ記憶を持つ世界を作ろうとしているの?」


「その通りだ。だが、それだけじゃない。このプロジェクトには、ある『調整者』が必要だと書かれている。」


「調整者?」


エイデンはさらにデータを調べた。「調整者とは、すべての記憶を監視し、必要に応じて改ざんする役割を担う存在だ。そして、その最初の候補が……ミカエル・ハドリー。」


カレンは驚きの声を上げた。「ミカエルがその候補に?でも彼は自分の記憶が操作されていることに気づいていたわ。」


エイデンは腕を組み、思索に沈む。「彼の記憶に殺人の映像を埋め込んだのは、誰かが彼をこの計画から外そうとしたからかもしれない。」


その時、オフィスのインターホンが鳴り響いた。エイデンがカメラを確認すると、そこにはミカエルが立っていた。顔には明らかな動揺が見て取れる。


「何か起きたのか?」


エイデンがドアを開けると、ミカエルが慌てて中に入ってきた。「エイデン、助けてくれ。誰かに追われている。」


「落ち着け。何があった?」


ミカエルは荒い息を整えながら話し始めた。「今朝、ネクサス・グローバルのオフィスに行ったら、突然警備員たちに拘束されそうになったんだ。どうにか逃げ出したが、まだ追ってきている。」


カレンが驚いた表情で口を挟む。「彼らがあなたを追う理由は、おそらくオムニア・プロトコルに関係しているわ。」


エイデンは冷静に指示を出す。「ここに隠れていろ。カレンと俺で状況を確認する。」


エイデンとカレンはオフィスから離れ、ネクサス・グローバルの動向を探るために情報収集を始めた。カレンが端末で企業の内部ネットワークに侵入し、追跡チームの動きを確認する。


「彼らは都市全体に追跡ドローンを配備している。ミカエルを捕まえるのは時間の問題ね。」


エイデンは深く息を吐いた。「彼らがここに来る前に、もう少しデータを解析しておきたい。」


オフィスに戻ると、エイデンはすぐに解析を再開した。そして、ついにプロトコルの核心部分にたどり着く。


「これだ。オムニア・プロトコルの最終段階、『アルカディア・リセット』……。」


カレンが画面を覗き込み、青ざめた。「都市全体の記憶を一斉に書き換える計画ね。でも、それは住民全員の人格を変えるのと同じことよ!」


エイデンは画面を指差した。「そして、このリセットを実行する鍵を握っているのがミカエルだ。彼を取り戻さない限り、この計画は進行を止められない。」


その時、オフィスの外から爆音が響き渡る。エイデンが窓の外を覗くと、追跡ドローンがこちらに向かってきていた。


「時間がない。ミカエルを連れてここから脱出するぞ!」


エイデンたちは急いで地下通路に向かい、都市の暗部へと逃げ込む。だが、その先にはさらなる危機が待ち受けている。オムニアの影響力はどこまで及ぶのか。そして、エイデンたちはアルカディアを救うためにどこまで戦うのか。


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