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「フィルは草原のモンスターはテイムできるか?」
「したことないです……小型ならできるかも」
「羊やヤギは小型じゃないのか?」
「もう少し小さいのでお願いします」
「じゃあウサギは?」
「ラパならできるかも!」
ラパも草原地帯にいるかなり小さなウサギ型モンスター。黄色い毛並みは触ると気持ちよく、見た目も可愛いので女性冒険者はペットにしたがることもある。
すばしっこい上に意外と好戦的で、噛まれると毒にかかるのでハーキスは羊やヤギよりは相手にしたくない。
ちなみに丸焼きにすると美味。
表の屋台でも売っている。
草原までの道中で出くわした大トカゲのモンスターをスルーしようとしたが相手がそうはさせてくれず、ハーキスはフィルがびくびくする中三匹倒していった。一匹はフィルがそれでもなんとか頑張って倒している。
五匹いたが序盤のモンスターは流石にハーキスの敵ではない。
最後に残った個体が大きかったのでフィルにテイムするか聞くと、「やってみる」と言うので成り行きを見守った。
大トカゲはフィルのことを馬鹿にしているようだったがハーキスに仲間をやられたことで戦意を喪失し、フィルが声をかける前に逃走してしまった。
「あーあ…テイムフィールド展開しても聞く耳すら持ってくれないよ」
「まあ頑張れ」
その後辿り着いた草原は遠くに何かの群れが見えた。
足元をラパがうろつくことはあるかもしれないが、急襲さえ気を付ければあっさり抜けられそうだった。
「岩陰や穴に気を付けろよ。あと丈の高い草。潜んでるラパがいきなり飛び出ることもある」
「ちょっと気配の察知をしながら進んでみますね。あんまり広くはないんですけど」
「ないよりはいいんじゃ?」
フィルは頷くと周囲の気配を探るフィールドを展開した。
そのままハーキスについて歩き出す。
緊張と察知の展開で、普通に歩いているだけで疲労感が増していく。
「ハーキスさん、あの岩」
中程まで差し掛かった時、フィルが小声で少し離れた場所の岩場を指差した。
いかにもラパが潜んでいそうな岩。
「数は?」
「んと……三匹くらいかな」
「“くらい”か。よし、俺が先制するからもうテイムフィールドに切り替えてやってみなよ」
「ありがとうございます」
二人は頷くと、ハーキスが足元の小石を岩に投げた。
すぐさま黄色い毛玉が飛び出してくるとハーキス目掛けて走って来る。
姿は愛くるしいが、噛まれてはひとたまりもない。
ハーキスは十分ラパを引き付けるとハルヴァードを地面スレスレの水平に薙ぎ払い、先に飛び掛かった二匹を仕留めた。
残り一匹は弱い方を狙おうとしたのか、フィルに向かう。




