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「お姉さんたちギルド基準のどの辺? バンシー対策は?」


「ランキングとしてはBくらいよ。バンシー対策は一人見張りを立てるわ」


「Bねえ。夜間の妖精の沼…一人A以上連れて行かないなら救助要請時にさらに増額だ。夜光石十個採れば救助要請を出しても黒字だ。どうする?」


 若い女性冒険者のパーティは馬鹿にされたと思ったのか、明らかに不快な顔になった。


「ちょっと、女だからって舐めてない? これでも私たち三人でレッド・ワイバーンを仕留めてるのよ。バンシーが何よ」


 たまに……というかこういう客は比較的多い。

 中級者に多い勘違いだが、一般的に恐れられているモンスターを倒したことで自信が付き、大きく出てしまうのだ。


 レッド・ワイバーンは少々難敵だが氷系の魔法があれば比較的楽。

 後ろにいるソーサラーの女の子が氷系が得意で、たまたま弱い個体に当たればそれほど難儀しない可能性はある。


 カイルは見た目で判断した。失礼だが揃えた装備品を見ればどれほどの腕か想像出来る。稼ぎが良ければもっと高価な物を装備できるし、こだわりがあってそれを使っているようにも見えない中の上の量産品。彼女たちが救助要請する確率は高いと踏んだ。

 体つき、装備品、面構え、漂う雰囲気…それらの勘は大体当たる。


 恐らく暗い沼地でゆらゆら漂うバンシーを見たら悲鳴を上げるだろう。

 バンシーはこちらの悲鳴に呼応するように殺人級の悲鳴を上げるので、もしそうなれば彼女たちはあっという間にパニックに陥る。


 救助要請率の高い客の依頼を安易に引き受けることなどしない。

 無理と分かっているなら止めるのも救助隊の仕事だ。


 面倒な女たちだな。


 後ろで見ているリコはそう思った。

 行くのは勝手だが、申請するからにはこちらにだってリスクはある。

 金銭面という話だけでなく、ある意味命だってかかっているのは先日のアリジゴクの通りだ。

 

 ハーキスも小銭稼ぎで拾ってきた鉱石の仕分けをしつつ苦笑していた。

 彼の体のあちこちについている傷はカイルと出会う前より増えている。

 救助をすると言うのはつまりそう言う事だ。


「納得行かないならこの話はナシだ。別に救助なんざ付けなくたって中には入れる。でもお前さんたちがここに来たってことはそういうことだろ? 平たく言えばお姉さんたちのレベルはちょっと足りねえ。無茶してその綺麗なお顔に傷でもついたらどうする」


 リコはまた彼女たちの顔を見る。

 そんなに綺麗だろうか。

 ソーサラーの娘はまあそこそこ悪くない。

 でも先頭でカイルに文句を言っている女は可愛げがない。

 カイルはいつも女性に調子良く言い過ぎだ。

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