6
引っかかりを感じつつも魔法具店で相性のいいオーブを選んでもらうと、武器屋で買ったロッドにセットした。大陸の施設にいた頃には隠し持っていた古いオーブをみんなで使いこっそり練習していたが、その時とは段違いの魔力の馴染み感がある。
「カイル隊長、ありがとうございます!」
「使えそうだな。じゃあリコ、俺たちはちょっくら行ってくるがその前に」
「ああ」
リコは何をするのか分かっているらしく、そう言われただけでカイルに頷く。
「なんだか逆に妙だな。どこにいようが細々と繋がってたもんな」
「そうだな」
フィルはリコとカイルの間にあった見えない繋がりが解かれたことに気づいた。
これもオーブのように気になっていたことの一つ。あわよくばダンジョンの中でカイルに理由を聞けないか……そう思っていたが、リコの表情を見て聞いてはいけないような気になってしまった。
テイムの繋がりが切れたリコは、なぜかとても不安そうな表情をしていた。
いつもの少し冷たい、感情の読み取りにくいまっすぐな表情ではなく、迷子にでもなったかのような。
「カイル……」
カイルは不安を隠せないまま自分を見上げたリコの背中を、心配ないとでも言うように二回叩いた。
リコはそれに自分を納得させるように頷くと「気を付けて行け」と小さく言った。
フィルにはどこか入ってはいけない大人の雰囲気のようなものを感じ、そっと離れるとダンジョンの前でカイルが来るのを待った。




