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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

うちの子

作者: のりげん

ペットの居る家庭が多い今の時代。

きっとこんな家族も居るだろう。

うちの家にはずっとペットが居る。

生まれたときからだ。

記憶にあるのはシェパードのジョン

キジ猫のさんた

これは子どもの頃の記憶。

当然ながらもっといた。

中学生からも覚えているだけでトコやチャコ、ギンなど猫と犬が一緒に、別々に暮らしていた。

大人になってからはむぅ、もも、りゅう、ゴン太、ちび、ナイキなど申し訳ないけれど忘れた子たちもいるほどずっとペットが居る。

記憶に新しいのはトムだ。

妹はジェリーといいトムは男の子だった。

そして両方ともに猫なのだがそう名付けられている。

トムが亡くなったのは2020年8月18日

暑い日だった。

この子は外に出る子だったのだが、ワクチンを打つ事ができない時があった。

今も後悔するばかりだが、この期間中に病気になってしまった。

白血病だった。

かかりつけの獣医で聞くと、喧嘩で移る病気はエイズなどが多く、白血病は仲良くしていると移る病気なんですよ。なのでトムくんは友達が多かったし、他の子達と仲良くしていたんですね。

そんな風に慰められた。

トムの思い出で一番の出来事があった。

外に出る子だったトムのため、自室の窓はいつも隙間を開けていた。

いつも通り仕事から帰り、家に入って自室に戻ると見たこともない猫がいた。

真っ黒の子だった。

その子がまるで自分の家のようにご飯を食べていたのだ。

「えっ」

と思わず声をだし、ベッドの上を見るとトムが居た。

よその子がご飯を食べているのを眺めていたのだ。

真っ黒の子は私の姿と声に驚きつつも、ご飯だけは食べ尽くして隙間から出ていった。

トムは私におかえりーと挨拶をして、その後窓から出ていった。

病気になったことは残念だったが、その姿を思い出して納得もしたのだった。

口の中がただれてしまい、思うようにご飯を食べられなくなったトムだったが、別に早くに亡くなったわけではない。

最終的にはダニに噛まれて致命傷を負ってしまった。

ぐったりするトムを連れ、病院に行ったが手の施しようがなくなっていた。

一週間ほどトムを連れ、ドライブに行ったりした後家族に見守られつつ逝った。

このとき大きなダメージを受けたのは妻だった。

ミルクを数時間ごとに与えるほどの小さな頃から育ててきたトムは、妻にとっては子ども同然だった。

心に大きな穴が空いたようになった妻は乗り越えることに必死になっていたがそんな上手く心は操れない。

そんなとき近所の飲み屋さんに犬店長がいるとの噂を聞いた。

飲み屋さん自体気になっていたこともあり、妻を励ます目的もあり、飲みに行きたいという思いもあってすぐに行ってみた。

犬店長は居た。

すぐに妻と仲良くなった。

その頃から犬を飼おうかと思い始めた。

トムの兄妹猫のジェリーちゃんは娘と暮らしていた。

トムと一定期間離れていたので一緒に暮らすことは叶わなかったが、トムが亡くなったあとうちに来た。

ただ、娘から離れない。

妻には懐いてはいるが、家の猫というよりも二階にある娘の部屋の猫という感じだった。

そこで一階で犬を飼うということも考えた。

しかし、ペットショップなどで動物を購入することは考えられない性分である。

それは家族も同様だった。

そこでネットにある里親募集を見てみたのだ。

色々な動物が色々な地域で里親募集をしている。

そんな中で目を引いたのが野犬保護の会の方々だった。

大きく里親募集を見ていたのだが、一つの保護の会の方々が挙げられている募集に目が留まり連絡を取った。

その時の写真はオリの中でうずくまっている子犬の姿だった。

その子達が野犬保護の会の方に保護され、病院で撮った写真に妻は心を奪われた。

「この子がいい」

その一言から始まった。

すぐに会えるという話から直近の休みに伺うこととなった。

保護活動の拠点としている場所につくと犬は見えるところには居なかった。

中に入ると子犬たちはダンボールの中だった。

しかしうちが気になった子は居ない。

椅子に座って待っててという指示のとおり待っていると一台の車が来た。

降りてきたのは親子だった。

お母さんに連れられて小学生が子犬を抱っこしている。

その子だった。

そのまま座っている私の膝の上に乗せられて大人しくしている。

3ヶ月位というがとても大きく感じる。

妻は自分の膝に乗せたいが、その子は動こうとしない。

「連れて帰っていいですよ。無理だと思ったら早めに連絡してください。」

とても簡単だった。

「最初の検査は済んでます。ワクチンも終わってます。」

「ただ、この子は野犬ですから普通の犬と違います。大変ですけど懐けばとっても可愛いですからね」

そんな言葉で説明をうけ、早々に帰路についた。

帰ってから大変だった。

ケージやベッドなど諸々の準備をしていたが、とにかく「何もかもが怖い」ということだけが伝わってくる。

愛くるしいのは当然だけれど、何もしてやれないし怯えて逃げ惑う。

隠れようとする。

行ってはいけない場所だけはしっかりと戸締まりをしてその日は終わった。

やがて慣れてきたら色々なところを齧りだした。

机の脚、椅子の脚、柱、靴などなど

家の中は怖くないということも解ったのか、とても楽しそうにしている。

おもちゃを追いかける姿は目に入れても痛くないという言葉がぴったりだ。

少し経ちまん丸だった姿から、手足と身体が伸び始めた頃怪我をした。

家の中で遊んでいる間に、ソファに飛び乗ろうとしたのにしくじったのだ。

そのまま足をついてしまった勢いで変な方向に向いていた。

大きな声で泣き叫ぶので病院に走った。

結果としては靭帯損傷。

ギプスを付けられたが、そのまま走るような状態だった。

4月にうちにきて、混合ワクチンが終わったころ公園デビューした。

ついでに家の周りも散歩しようと思ったが、全く言うことを聞かない。

引っ張り回して散歩をすることはできるが、どう見ても虐待だ。

なんどもチャレンジしたが無理だったので家の周りの散歩は諦めた。

代わりに毎日公園まで連れて行くことが日課になった。

一日二回のトイレとして、仕事前と帰りに行く。

公園までは15分。

公園で20分。

2回のうち1回は片道5分の公園にした。

それがいまでは2年を超えるほど続いている。

その子が病気になった。

線維肉腫というそうだ。

初期段階でわかっていれば完全除去も目指せたが、それは叶わなかった。

大きくなってから切除し、いま再発している。

再発した線維肉腫は悪性度が高まるそうで、肺にも転移してしまった。

元々できた場所が額の部分。

再発も当然同じ場所だ。

前回も大きくなってしまったが、かかりつけの先生がどうにか除去してくださった。

今回は範囲が広く、除去するには両目の摘出と鼻と上顎、頬骨と頭蓋骨も削らなければならない。

線維肉腫は多くは高齢になってから発症するそうだ。

うちの子は3歳にもなっていないが発症してしまった。

色々なことを飲み込み、手術をしても前例が少なすぎて判らないが、2年が最長だと思われるとのことだった。

そして肺に転移していたら、手の施しようがないとも言われた。


ふう太はもうすぐ逝ってしまうのだ。

うちはこんな家族です。

みなさんはどんな家族ですか?

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