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星の矢は、夏銀河を駆け抜けて

作者: 逢乃 雫

描いたばかりの


デッサンの街並みに



八月の陽射しと


頬を流れる風が



光と色とを


彩なしていくように



ゆるやかに続く


坂道のその先に


待っている青空は



木立の織りなす


フォトフレームを


飛び出すように高く

 

そしてはてしなく




やがて蛍草が


風に舞う夕闇の中で



星影に咲きわたる


アルストロメリア



幾筋もの光の


軌跡を宿す六片の


花びらが煌めいて




星の矢がいま


銀河を駆け抜けて



流火の蛍月夜に


弓を引く勇姿は


いて座の星々



黄金の矢の先


アルナスルが導く


天の川銀河へ


三万光年を超えて




星の矢がいま


銀河を駆け抜けて



さそり座の東


星々が連なる空に


輝く南斗六星



まるで星でできた


光る匙のように



見せない涙は


その上にのせて



星の河へと


輝きを瞳に残して




星の矢がいま


銀河を駆け抜けて



いくつもの時を


切り拓いて


いくつもの闇さえ


切り裂くひとすじの


光は矢のように



銀河の先にも


銀河があるように



夢の先にもきっと


また夢があるから




星の矢にいま


言の葉を結んで



真っ直ぐだから


届く願いや想いも


あると信じて



空にはいま


弓張り月が佇み



放たれる光の


そのやわらかさに


包まれながら




星の矢はいま


果てない旅の途中で



どこまで遠く


飛んでいくかも


大切だけれど



どう飛ぶのか


自分らしく


飛んでいるか



そのことをいつも


大切にできたら




明日の先にも


また新しい


明日を信じて



星の矢がいま


夏という銀河を、 


駆け抜ける(そら)



















黄道十二星座の一つ、いて座は、さそり座の隣で8月20日前後に最も高く輝きます。半人半獣の射手の姿で、弓を引く手から続く6つの星は「南斗六星」と呼ばれ、北斗七星と似たスプーンの形をしています。


いて座周辺は天の川が最も明るく見え、日本から見てアルナスル(アラビア語で「矢の先」)の星の方角の3万光年先に、天の川銀河の中心があるとされます。


アルストロメリアは、初夏から初秋にかけて咲き、花びらにいくつもの光の軌跡のような紋様があります。花言葉は「未来への憧れ」「幸い」です。


ツユクサは青い花が咲き、夏に「蛍草」、秋に「月草」とも呼ばれます。「流火」は、さそり座のアンタレスが8月に西の空へ移りゆくことです。


季節の花や星をモチーフに、詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 星の矢が銀河を駆け抜けてという表現が好きです。私は星の事も花の事もよく知らないのですが、いつも、素敵な詩に、心を撃ち抜かれています。 素敵な詩をありがとうございます。
[一言]  矢は、どの的に刺さるかだけでなく、どんな軌跡を描くかも問われ。  それは、結果だけでなく、経過にも意味があることのよう。  星座や花を描く奥にある、そのメッセージ。  受け取らせていただ…
[良い点] とても良かったです。 良い詩ですね。 本当に綺麗でどこか繊細で心が穏やかに満たされます。 素敵な詩を読ませていただき、ありがとうございますm(__)m
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