表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

階上の足音

作者: 夕

中学校の修学旅行での出来事です。

最終日の夜のこと、宿泊先のホテルの一室で、女子トークに華が咲き盛り上がっていた時です。

ある音に気付きました。

それは天井から聞こえる、階上を走り回る音でした。

最初は数人がパタパタと走ってるという感じでしたが、次第に数が増えていき、音も大きくなってきました。

女子生徒の一人が言いました。

「上の階って男子だよね」

みんな確証は持てませんでしたが、こんなにうるさいのは男子に違いないということになりました。

男子ってホントにガキだよね。

こんな時間になにやってんだか。

そんな声が私たちの間で聞かれ始めましたが、音は一向に止む気配がありません。

やがて就寝時間になり、部屋を暗くして先生にバレない程度の話声でおしゃべりをし始めました。

天井から聞こえる足音は相変わらず続いていました。しかも、そのころには笑い声や微かな話し声まで聞こえる始末です。

学級委員長だった私は、さすがにこれは先生に報告した方がいいのでは? と思い、見回りに来た先生に報告しました。

先生はしばらく音を聞いて、「……分かった。様子見てくるからもう寝なさい」と言いました。


翌日、朝食の際に、同室の女の子たちが先生に文句を言い出しました。

「男子がうるさくて寝られませんでした」

「先生、もっと男子に注意してよ」

先生は、まあまあという感じで苦笑いを浮かべて聞いていましたが、私にだけ分かるように目配せしてきました。

朝食後、私は先生に「なんですか?」と聞きに行きました。

先生は、みんなには言うなよと念を押した上で、話し始めました。

「昨日の足音なんだけど、あれ男子じゃないんだ」

「え? じゃあ誰だったんですか?」

「……」

先生はしばらく言いにくそうにしていましたが、小声で一言だけ言いました。


「お前らの上の階って、屋上なんだ」


私は先生の言う通り、みんなには言いませんでした。

結局、あの足音がなんだったのか、未だに分からないままです。


友人や知人、本人が経験した実話を、極々短い小説にしています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 最上階に泊まっているので、分かりそうな……。 [一言] この騒いでいたのが、なにか分からないオチ! 修学旅行という特別な夜で盛り上がっているのに、音で水をさされ、先生にグチる流れ。 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ