第十八エロその2
冬用の道具をメインに必要物資を揃えた助態たちは、人攫いのアジトになっているホワイトマウンテンへ向かうため、サイネ市から歩いて4日の距離にあたるユーサー町へ向かった。
「あんた達が街に入った時におっきな影があったから念のために気を付けな。」
街を出る時に門番がそう声をかけてくれた。
「大きな影ってあいつかい?」
もふともが怪訝そうな声を出す。
目の前には巨大な雪だるまがいた。
「こいつはビッグスノーマンだ。でかい影がこいつかどうかは分からんが、こいつは動きは遅いが高い魔法耐性を持っている。それとホワイトボールという高い攻撃力を持つ配下を召喚するぞ!」
ティーパンがみんなに注意する。
高い魔法耐性ということは、ティーパンの召喚獣の攻撃があまり効かないことを意味する。
だからだろうか。ティーパンも召喚獣を呼び出さず、大刀を手に戦おうとしている。
「ホワイトボールを召喚される前に倒すぞ!」
そう言うとビッグスノーマンに向かって走り出した。
並走するようにもふともが続く。
それを見て助態はビッグスノーマンの背後に周り、鉄爆をアンアンに元の大きさにしてもらった。
「アンアンさんは下がっててください。」
そう言って鉄爆を構える。
あへは気配を消して最後の一撃やピンチの者を助ける準備をした。
くびちとぱいおは後方で待機した。
もふともがサンドスローでビッグスノーマンを攻撃する。
投げれる砂が無いので代わりに雪を投げている。
ダメージはないが大した問題ではない。ビッグスノーマンの意識をもふともに向かわせればいい。
しかし――
ビッグスノーマンはもふともの攻撃を無視してホワイトボールを5体召喚した。
ちっ。とティーパンが舌打ちをしつつ1体を大刀で一刀両断した。
「攻撃される前にホワイトボールを倒しな!」
ティーパンが後方待機しているくびちとぱいお、そして助態の後ろに控えているアンアンに向かって言う。
「私たちは本体を叩くよ!」
これは助態に向かっての言葉だ。
ティーパンが大刀を構えて一歩踏み込む。
同時に背後から助態が鉄爆を構えて踏み込んだ。
ビッグスノーマンの意識はどうやらティーパンに向いているようだ。
『いける!』
助態がそう思った瞬間、助態の足元が消えた。
「しまった!」
一瞬のすき。
ティーパンが助態に気を取られた瞬間にビッグスノーマンに殴られて、くびちの元まで飛ばされた。
「何があったの?」
突然飛ばされてきたティーパンが起き上がるのを助けながらくびちが聞く。
くびちともふともは残り4体のホワイトボールの内の1体を倒したようだが、ダメージも受けていた。
ホワイトボールの攻撃方法は、自分自身を相手にぶつけて相打ちを狙うもののみ。物凄い速さでの突進なので、避けるのはかなり難しい。
どうやら1体のホワイトボールは自分の命と引き換えに、くびちにダメージを与えたようだ。
アンアンとあへはさすが異種族、上手にホワイトボールを倒していた。
ホワイトボールは残り1体になっていた。
「勇者が敵の罠にはまった。」
どうした?と聞かれたティーパンが力なく答えた。
ヒュオっと風と雪が吹き抜けた。