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勇者は発情中  作者: shiyushiyu
モンスターに追われて
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第十四エロその5

くびち・ルブマ・ぱいおの3人は目の前の雷スライムに苦戦していた。


まずくびちの攻撃以外にダメージを与える方法がない点が1つ、そして雷スライムの攻撃は基本的に防御不可能な点が1つ。


「あの、私役に立ってますか?」


岩陰に潜みながらルブマがぱいおに問う。


「知らないっすよ。ウチだって攻撃を防げなきゃ存在価値ないっすよ。」


「囮よ。」


そんな2人にくびちが短く残酷な宣告をした。


「ふぇぇー。やっぱりぃー。アーチャーには囮スキルはないですよぉー?」


さっきからちょいちょい雷攻撃に狙われていたルブマは、知りたくもなかった現実を知って泣いている。


「泣くんじゃないわよ!あなたいつも物陰に潜んでいるだけだったでしょうが!」


「そうっすよ。ウチなんて毎回この豊満なボディーをモンスターに晒してるんすよ?たまにはルブマさんも体はってくださいよ。その貧相な体を!」


ぱいおがルブマの無い胸を揉む。


「なななななな!何するんですか!胸が無いのはアーチャーの宿命なんです!何度言ったら分かってくれるんですか。」


目の端の涙を指でピッと拭き取って、ルブマがキッとして言う。


やや遠くからやり取りを見ていた助態が呆れる。


『何やってんだか…』


「ルブマ、ぱいお、交代しよう。粘着スライムをこっちに近づけないようにしてくれ。くびちともふともと俺の3人で何とかこいつを倒してみる。」


「無理だと思うよ?」


そう宣言した瞬間、背後から聞き覚えのある声がする。


「ティーパンさん!」


ぱいおが尊敬の声を出すと、や。とティーパンが片手を挙げた。


見ればすでに尻尾に火が灯っている人間サイズのトカゲを召喚している。


「こいつはサラマンダー。名前くらい聞いたことあるでしょ?」


助態の視線に気がついて召喚獣を紹介した。


後ろから来たということは、粘着スライムと戦ったはずだ。


しかし粘着スライムが居たであろう場所には、戦闘の跡がない。


「あの、粘着スライムは?」


「あぁ。こいつが食ったよ。」


さも当然かのようにティーパンは答え、サラマンダーを前方の雷スライムへ向かわせた。


「え?食ったってサラマンダーって火とかを吹くんじゃないんですか?」


「吹くよ?でもトカゲだからね。お腹がすけば生き物を食べることもある。」


当たり前だろ?という顔で助態を見る。


「それよりも勇者。世界は大変なことになっている。勇者がここにいるってことはその異変を察知したんだろう?」


真面目な表情でティーパンに言われた助態は、口をあんぐりと開けたまま、呆然とたちすくむ。


ちょうどサラマンダーが、自分よりも大きい雷スライムに舌を伸ばしてぺろりと平らげたところだった。


助態の口はますますあんぐり開いた。


「やはりそうか。以前こんなところにはスライムの巣なんてなかった。モンスターの生態系が変わっている。その調査をしようとしたんだが、ちょうどいい。私もあんた達と暫く行動を共にしよう。」


助態の間抜けな顔をどう取ったのか、ティーパンはどうやら、助態たちもモンスターの生態系がおかしいことに気が付いていると思っているようだ。


「ウチらは、カローンみたいにモンスターに占拠された村があるっていう噂を聞いたんすよ。」


ぱいおが自分達の目的を話すと、驚いたことにティーパンもその噂を聞いたことあると答えた。


「それも多分、モンスターの生態系が変わったせいだろう。私はその原因を探る。まずはモンスターに占拠されたという村を探してみようか。」


「あ、はい。それで俺達、とりあえず今までの仲間を迎えに行ってるところなんです。もう少ししたら願望の宿があると思うんですよね。そこで淫魔族のアンアンをもう一度仲間にしようかと考えています。」


助態が今後取るはずだった自分達の行程を話すと、ティーパンが笑った。


「本当に勇者は面白いな。」


助態たちは困惑して顔を見合わせる。


「ごめんごめん。いやー異種族を平気で仲間にするとか言ってる君たちが不思議でねー。ほんと、面白いよあんた達。」


「そういえば、他の種族が仲間になるのは珍しいってティーパンさん言ってましたもんね?」


思い出したように純純が言う。


ティーパンはまだ笑っている。


「そりゃそうだ。他の種族にとってあんた達の仲間になるメリットがないだろ?ま、勇者とヒロインの特権だねぇ。」


一同は、サラマンダーの火で炙った兎を食べてしばらく休憩した。


これから先は、モンスターが活発化してかなり危険だとティーパンは言った。


休める時に休んでおくべきだとも。


それでも助態は、ティーパンが仲間に加わったことでとても心強く感じていた。


それこそモンスターなんて敵なしだとさえ思っていた。


しかしその考えは大いに間違っていたことに、あとから気づかされた。

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