北海道の森に拉致られた件〜知って損しない(得しない)雑学〜
「ねえねえ、北海道の人はヒグマと遭ったら、どうするの?」←道外から引っ越してきた友達
「う~ん、ヒグマとの距離だったり、状況で変わるんだよね」
「というか、そもそもヒグマと対峙したことがないから、想像がつかない」
「さすがに、僕もないよ……」
皆さんはヒグマと対峙したことが、ありますか?
ほとんどの方は、ないと思います。あったら、すげー。
なので、今回は……
「北海道の森に拉致られたことを、想定して考えてみよう!」
「それ、どういう状況……?」
「題して、『北海道の森に拉致られた件』!』
「お……、お~!」
では、拉致られる前に……。
「ヒグマが、どれだけ凄いのか教えてやろう……!」
「う、うっす!」
1つ目。ヒグマさんは、でっかいど~!
オスの場合は体長、約2m、体重、約150~300kg。
メスの場合は体長、約1.5m、体重、約100~200kgです。
ヒグマ『のっぽの、ヒーちゃんったぁ、俺のこと』
「ヒグマは、国内では最大の陸上動物なんだよ」
「う~ん、実際に見ないと、よくわからないなぁ」
「僕は文化祭で、1.5mのメスサイズのヒグマの像を作ったことがあるんだけど、先生からはオスサイズだと誤解された」
「ほほう。オレの想像以上だと認識しておく」
「デカい奴だと、体長が2.4m、体重が520㎏ぐらいにまで、成長するらしいよ~」
「ッ!?」
2つ目。ヒグマTUEEEE!
ヒグマの戦闘力は、えげつないです。エッグいです。エッグい(使いたいだけ)。
腕力は、人間の頭と胴をグッバイできるほど! 噛む力は、骨ごとボリボリできるほど! 防御力は、打撃や刃物は全く効かないほど!
特に頭が硬く、銃弾を弾くこともあるんだとか……。
そんなヒグマの一番の武器が――――『嗅覚』。
「確か、犬よりも嗅覚が優れていたはず……」
「犬よりも! 何倍?」
「おっけー、グーグル」
「オイ。自称ものしり博士」
なんと、犬の7~8倍!
有名な、『ヒグマはエサに執着する』という話通り、この嗅覚でしつこく追ってきます。
ヒグマ『私の戦闘力は53万です』
遊び怠惰『僕の戦闘力は、0.53です』
「うおお……、じゃあ、遭ったら逃げないとだね」
「ところがどっこい」
3つ目。ヒグマからは逃げられない!
これは、以前、僕が書いたエッセイにも書いていますが、ヒグマの時速は40~50㎞。持久力もある。
ヒグマ『かけっこの、ヒーちゃんったぁ、俺のこと』
「単純な速さだけじゃなくて、木を登ることも、泳ぐことも得意だよ」
「ヒグマに見つかったら、逃げられないってことか」
「助かるように祈ろう!」
「木登りが得意なのは意外だね。木を登れば助かるって聞いたことがあるから」
「デカい奴は、あんまり登れないけどね」
「へえ! じゃあ、木に登れば助かることも」
「――木に体当たりしてくるよ~」
「……」
4つ目。ヒグマは頭がいい!
ヒグマはとても頭がいいです。
木の上から奇襲してきたり、追い返したと思ったら、先回りされていたなんてことも。
ヒグマ『テスト勉強? 全っ然やってないよ~!』
「ヒグマって頭いいんだね!」
「そうそう、危険な目にあった場所は通らないし、餌場は絶対に忘れないよ」
「凄いは、凄いけど、ここまでに教えられた凄さと比べると、霞まない?」
「そんなことはないのだよ」
体格にも、強さにも、速さにも、恵まれたヒグマですが、実はこいつ
『熊の止め足』
とかいう、専用技を覚えている。
「なにそれ……?」
「一発逆転のロマン技!」
「中二病が出てるよ~」
『熊の止め足』。
自分の足跡を逆にたどって戻り、横に跳ぶことで、違う道を通ってハンターさんを撒いたり、背後から襲い掛かる。
追手からすると、突然、足跡が消えたように見える。
意外と、綺麗にたどって戻るため、全く気付けない。
「うさぎも、キツネとかを撒くために、止め足を使うよ」
「専用技じゃないじゃん」
「いや、『うさぎの止め足』っていう、別の名前があるから」
「なんの、こだわり……?」
「んじゃ、予備知識はこの辺にしておいて、そろそろ拉致られようか!」
「パワーワードだなぁ」
「さあ! 君の想像力を働かせて!」
「う、うん……――
あなたは突然、目の前に現れた黒いスーツを着たヒグマに連れ去られてしまいました。
目覚めると北海道の森の中。(なぜ、北海道だと気付けたのかは、ツッコむな!)
さて、どうしますか?
「それ、知ってる。 音とか声を出すんでしょ!」
正解。
ヒグマへの対策で一番、重要なことは『出会わない』こと。
突然、人間と出会ったヒグマは驚きから、攻撃をすることがあります。
ですが、人間の存在に気付くと、基本的にヒグマは立ち去ってくれます。
音や声を出すことによって、存在をアピールしましょう。
「音が出る物を持っていなくて、一人だけだったら?」
独り言になるね。
「お~! オレはぁああ! ボクっ娘が好きだぁああ!」
独り言、怖い……。
「言えって、言ったじゃん! 後、なんか基本的にっていう不吉なワードがあったんだけど……」
うん。基本的に。
全てのヒグマが、立ち去ってくれると、保証はできません。
というのも、餌やりなどによって人間が美味しい食べ物を持っていると学習したヒグマは、人に近づいて来るのでは? と言われているんです。
「えぇ……」
まあ、がんばれ~。
「お、音や声を出す以外にも、何かできないの!?」
周囲を警戒して、ヒグマの痕跡を見つけることも大事だよ。
ヒグマの痕跡の例。
・足跡
デカい。ほとんどの場合は爪の跡もある。
・フン
デカい。消化器官が弱いため、食べたものによって、色や臭いが変わる。
・爪痕
デカい。平行に何本か爪痕がある。背をこすることがあるので、毛がついていることも。
「全ての説明に、『デカい』があるんだけど……」
さすが、国内最大の陸上動物だね!
「適当すぎやしないか?」
僕みたいな素人が、知識だけで見分けられるとでも?
「オイ。自称ものしり博――――
さあ! ここまで『出会わない』ことについて解説しましたが、その全てをやっていても、遭遇してしまうことがあります。
風が強い、雨が降っている、などなどの状況です。
「ね、ねえ。オレの見間違いじゃなければ、少し遠くにヒグマがいるんだけど……」
見間違いじゃないね。
「音とか声を出したし、ヒグマの痕跡を探したし、風は強くないし、雨も降っていないんですけど!?」
すまんな、ご都合主義だ。
「意味がわからないよ!」
パターン1 100m以上離れている。
この場合は、ゆっくりとその場を離れてください。走ってはいけません。
ヒグマがこちらに気付いている場合も同じです。ほとんどのヒグマは立ち去ってくれます。
「よ、よかった……。逃げ切れた」
すまんな、ご都合主義だ。
「へ? ッ!」
パターン2 50mぐらいしか離れていない。
この場合は、えーっと……。僕は目を合わせて、ゆっくり離れろって教えられたけど、どうなんだろう?
「オイ。自称ものしり博士、オイ」
色々な話を聞いたことがあるんですよね。
両腕をゆっくり振って、自分を大きく見せろだとか、リュックを置いて気をひいている間に、その場を離れろだとか。
ですが、共通して言えることが、『走らない』こと。
走って逃げることで、ヒグマの狩猟本能を呼び覚まし、追いかけられます。
ヒグマ『鬼ごっこの、ヒーちゃんったぁ、俺のこと』
「よ、よかった……。逃げ切れた」
君、フラグって知ってる?
「――ッ!?」
パターン3 めっちゃ近い。
バッタリと出会ってしまった場合、一番気を付けなければいけないことが、パニックになること。
こんな状況になったら、パニックになってもどうしようもありません。『誰かパソコンのデータを消してくれ~!』 と心の中で叫びながら、ゆっくりと離れてください。ほとんどのヒグマは、何もしなくても大慌てで逃げてくれます。
また、威嚇のために突進してくることがありますが、途中で止まり、大慌てで逃げることが多いです。
「なんか、少しずつ近づいてくるんだけど……!?」
積極的に近づいてきた場合、もしくは途中で止まることなく、目の前まで突進してきた場合は、人間が美味しい食べ物を持っている、または人間の味を学習したヒグマの可能性があります。
現実的ではない対処法も含め、3つだけ紹介します。
1つ目、クマ撃退スプレー。
ヒグマの頭に、唐辛子などの成分が入ったクマ撃退スプレーをかけることで、驚かす。相手は死ぬ!(嘘)
意外にも、勢いよく真っすぐに噴射できるらしいです。人間に使ってはいけない、危険物なので、取り扱いには注意。
「持っていないけど、どうするの……!?」
2つ目、神様~!
うつ伏せになり、頭と腹部を守りながら、首を両手で守りましょう。後は、祈るのみ。
所謂、死んだふりかもしれませんね。絶対に反撃をせず、助けを待ったり、ヒグマが飽きるのを待ちます。
転がされても、すぐに元の体勢に戻りましょう。
長い時間、ヒグマの攻撃をじっと耐えることができないこと、興味本位で近づいてきたヒグマ以外に効果が薄いことがデメリットです。
「現実的じゃないんだけど……!?」
もっと、現実的じゃない対処法もあるんだな、それが。
クマ撃退スプレーを持っていない場合、ヒグマが完全に殺る気満々で助けを見込めない場合、というか現在進行形で襲い掛かられている場合の最終手段が……
3つ目、戦う。
「いや、ふざけんな!」
ふざけてねーしー。
柔らかい鼻か目を狙いましょう。実際に助かった事例もありますが、推奨はしません。
「ひ、ヒグマ、怖い……」
「だから、『出会わない』ことが一番、重要なんだなぁ~、これが」
「うん、覚えておく」
まとめ。
・ヒグマはすげー
・音や声を出したり、ヒグマの痕跡を探すことで、ヒグマに遭わないようにする
・ヒグマと遭ってしまったら、絶対に背中を見せて走らない!
「というか、森に入ることなんてないけどね」
「う、うん……」
「あっ、そうそう。因みに、ク◯のプーさんは時速40~50㎞で走れるし、リラッ◯マはライフル銃で撃たれても、当たり所によっては、何発も耐えられるよ~」
「そんな裏設定はないよ!」