トラブル発生後
「なあ、お前ってさぁ賀奈柄 雷値・・・さんか?」
何十年前に聞いたことがあった様な声に、話しかけられた。
「貴方は確か・・・頑固に3R実現を目指してた方ですよね?」
順数に首をかしげて聞いてみると、彼は緊張が解けたのか笑顔になる。
「ああ!そうだよ!今でも意見は変わらないけどな!やっぱり雷値だったかぁ!で、どうしたんだよ。何か探し物でもしてんのか?」
親しめに聞いてくる彼、変わらないなぁと思いながら
「あーそうだな・・・実は、修理で電気共有ケーブルをあと二本必要なんだ。」
「なるほど~。なんとなく言いたいことは理解した。良いぜ、分けてやるよ」
「本当か!?ありがとうリュード君!」
「ああ!でも今は持ってないから、僕の家に取りに行きたいのだけど良い?」
(電子パーツの事になると目をキラキラとさせて・・・変わんないなぁ。可愛い♪)
「構わないよ」
リュートはよし、決まりだなの合図としてウィンクをし、それを返す様に小さく頷いた。
─その頃の博士の家─
ガタン
(んー・・・ココハ?)
うっすらと目を開ける。
(ここは博士の部屋・・・・ソシテ俺がハジメテ目覚めた場所。テあれ、博士は?)
機械の体をガシャンと起こし、
キョロキョロと辺りを見渡すが、どこにも気配や姿が無かったので、一度呼び掛ける事にした。
「────ーーーー」
が、空しくも声は出なかった。
(声が出なくなってる・・・!?何デだろう・・・・・ハッ!まさかっ!)
一瞬頭に過ぎった記憶は、俺の単なる好奇心でお茶を口に入れた事。
絶対にそうだ!と確信を持った俺は、片手で顔半分を抑えて悟ったように言った。
(ゴメンなさい、博士。・・・!。オレの好奇心デコンナ事になってシマッテ・・・うぅ。ソウダ博士に何か作っておこうかな。・・・お詫びとして)
ふふっと機械らしく笑うと、俺は近くにあった男物のエプロンを着けて、キッチンに向かい、パカッと冷蔵庫の中身を確認する。
(入ってるのは・・・人参とタマネギそれとソーセージデスカ・・・)
少し少ないなと感じながら、一応何かあるか、キッチンの下にある引き出しを見ていく。
(あっ!鶏ガラスープの素が!ヨシッ!他は・・・何も無カッタ)
もう一度視線を戻しても、変わらず空白スペースのままであった。
(余りモノ・・・美味しい・・・手短・・・検索)
オレは左耳についたネット接続可能な機械で、良い検索内容が見つかるまで探す。
ピピピピィー。
(・・・・これにスルカ。お手軽で、暖まりそうナスープヲ)
早速準備に取りかかる。
冷蔵庫から具材を、引き出しからはスープの素を。
そして鍋に、具材を切るための包丁とまな板、最後に料理を入れる為のお皿を台に乗せて
料理を作り始めた。
ザク ザク ザクと野菜を切る音が、静かな部屋にリズムみたいに響き渡る。
(人参は薄切りにして食べやすい様にして、タマネギは・・・ナントナクで食べやすい様に)
そう思いながら手を動かしていき、お次はソーセージを切る。
コン コン コンと大人しい切る音が出て、音が変わったと思いながら最後まで切っていく。
(第1段階は突破・・・)
ニヤリと口元を良い意味で歪ませた後、ズサァーと今まで切った具材を鍋に入れ火を付けて、後は沸騰を待って素を入れるだけ状態になった。
(全然疲れてはナイけど・・・少し座ろう)
キッチンから出て、リビングにあった椅子に座り、少しだけ目を閉じて今日の事を振り返る。
(まだ博士と出会ったのが朝の9時で今は15時50分・・・短い気がするケド・・・濃カッタナぁ。知ってる様で知らない景色・・・ハヤク全てノ事を・・・知ってミタイナ)
そう考えたり思い出に慕っていると、煮詰まった音が聞こえてき、それを合図に席を立ちキッチンに向かった。
グツグツ
(コノ位デ良いダロウ。素ヲ入れよう)
バサァー と活きよい余って、半分ぐらい入ってたビンの中身を空っぽにしてしまった。
「ーーーー!!」
(味濃くナッテシマッタカモ・・・。味見したいケド、同じ過ちは繰り返サナイ!!)
ということで、下手に動けずこのままいくことにした。
その後も再び煮込みちょうど良い所で、火を止めた。