家1
─帰宅─
オレは玄関で靴を脱いで、オレの中にあるデータを頼りにリビングへと向かおうとする。
「あー颯真、帰ってきてすぐにで悪いんだが、颯真に最初の仕事を教えようと思う」
ご主人は、玄関で靴を脱ぎながらそう呼び止めた。
「オレは別に大丈夫デスケド・・・博士、疲れてナイデスカ?」
少しだけ首をかしげて言った。
「私も別に大丈夫だ。それに・・・休んでる暇は無いし。まぁ、とりあえずキッチンにおいで」
博士はオレに向けて手招きをした。
「・・・ワカリマシタ!!」
そう元気に返事をして、博士がいるキッチンへと向かう。
「よし、来たな。まず最初に教えるのは、美味しいお茶の注ぎ方だ」
「お茶の入れ方デスカ・・・。よし検索シマス」
「まぁ、待て颯真。検索しなくても私が教えよう」
と検索モードに入ろうとする颯真を止める。
「じゃあ博士・・・。お願いシマス」
「お任せあれ。ではまずは、水が入ったやかんを用意して、お茶の葉{ティーパック}をその水ににつける。」
実演しながら、そう説明していく。
「そしてガスコンロの火を付けて、沸騰させる。私はちなみに濃いお茶が好きだ」
自分の好みの事も言いながら、ガスコンロに火を付ける。
「なるほど!。記憶シテオキマス」
一体何がなるほどなのか、分からないが何かを記憶している様子の颯真・・・が隣にいる。
そんな颯真を暖かい目で見つめながら、はや5分が経過した。
「グツグツと煮詰まった時それはつまり、水がお湯に変わった瞬間!その時にお茶の葉{ティーパック}を引き上げる!それと私は緑茶派だ」
ひょいっとお箸でティーパックを引き上げる。
「最後の仕上げに、やかんからコップにお茶を注ぐ」
こぽこぽとコップにお茶を入れる。
注いだコップからは、白い湯気がもくもくと立つ。
「これで完成だ。さぁ次は颯真の番だ」
はい、とやかんを颯真に突きつけた。
「やってみるヨ!博士!」
と僅かに目を輝かせながら、元気よく返事をし、颯真は私からやかんを受け取った。
「マズハ、お茶の葉{ティーパック}ヲ用意シテ・・・・それから」
初めての事で戸惑っている颯真を見て
(機械なら・・・出来て当然な事。颯真なら即座に覚える事も可能だろう。)
そう思いながら、キッチンから出てすぐの所から見守る。
「あっ!ソウダ最初は、お水をやかんに入れてお茶の葉{ティーパック}だ!」
颯真は、やかんに溢れるぐらいの水を雑にドバドバと入れる。
(雑すぎだぞ、颯真。辺り水少しこぼれているじゃないか。てか颯真の回路逝ったらどうしよう・・・)
部品的な意味で心配になりながら、颯真の事をそっと観察する。
そして颯真は、やかんにお茶の葉{ティーパック}をポチャンと入れるとカチッと火をかけた。
「後は待つダケ・・・。博士!」
颯真に呼ばれたので、颯真の所にスタスタと向かう。
「どうしたのー?颯真」
「火にかけルまでの作業は完了シマシタ!博士。後は出来上がるまで、ゆっくり待ちマショウ!」
キラーンの音声付きのドヤ顔で、説明してくれる颯真。
「ふふ、承知したよ颯真。じゃあさ、沸かしている間に軽く駄弁ろうか。他にどんな物または生き物が、この世界にあるか。まぁ颯真ならデータや検索で知っているかもだけど」
私は一度キッチンから出て、リビングにある椅子に座ると
颯真も続いてキッチンから出てきて、机を挟んだ向かい合わせの位置に座った。
「まずは、このキリンとか言う生き物や、ラフレシアとかいう匂いが強烈な花とか、人のイベントとかなら花火というイベント・動物・植物があるんだ」
「まずキリンは首が長い生き物なんだ。今度動物園でも行こう。実際見た方がわかりやすいしさー」
「で、ラフレシアとう植物は、絶対遭遇したくないから、検索してくれ」
「それで花火というのはー・・・・」
(本当は、検索スレバ全ての物をオレは知っている・・・ケド博士、どこか楽しそうだナぁ。博士が嬉しいと、オレも嬉しい気持ちに・・・)
どこか暖かい気持ちを感じながら、博士の話にうんうんと頷く。
「それでな、あの・・・」
話題がちょうど変わろうとした時に、ゴポゴポとお茶が沸騰する音が耳に入る。