初めての外(2)
音を探る中で
(・・・・なにかイヤナ予感がする。博士に言わなきゃ)
聞いたことの無い変わった土を蹴り上げる音が近づいてくる・・・そんな気がして
「あのー、博士。ココニイタラ駄目な気がシマス・・・・」
双眼鏡を片手に持って立っている博士に、そう言った。
「へぇなるほどねー・・・。あんたがそう言うなら来てる感じがするな」
「よっし。じゃあ追いかけて来る前に、お気に入りの場所まで一気に駆け抜けようかねー?」
「別にオレはヨイデスガ・・・・、走る速さガイッショジャナイ。オレ迷いそうデス」
「だいじょーぶさ!もし迷ったら、この森を一番知っている私が探すからさっ」
暖かい半笑いの状態で博士はそう言った。
オレはそう聞いてよく分からない気持ちになった。不思議だなぁ・・・。
博士に聞いたら分かるかな?
「ねぇ、博s」
「じゃあ3・2・1、0でGOという訳で。」
「3」「サン!」
「2」「ニー!」
「1」「イチ!」
「スタート」「ゼロー!!」
二人の「0」の合図で、同時に飛び出して行った。
桜が舞う螺旋状の誰も居ない坂を下って行く。
(後2回ぐらいまわったら、曲がらないと通り過ぎてしまうな。・・・・それに颯真に異常は今の所は良いみたいだし、GOODだな。)
(さっきの暖かい気持ちハ、何だったのだろう?検索シタラ出てくるカナ?それとも博士に直接言ったホウガ良いのカナ?・・・・・でも、まぁイイッか、今は外の景色を堪能シヨウ♪)
スタスタ
「颯真。この辺で曲がる」
「この草木ガ生い茂ってイル場所を通る感じかぁ・・・。ナンカ心配」
「大丈夫何も出ない筈さ!それにここから、そう遠くないよ。もう少しで辿り着く事が出来るから」
そう言って先に、スタスタと博士は歩いて行く。
「なるほど、ソレハ了解デス!博士」
オレも博士について行き、例の草木が生い茂っている薄暗い場所に入っていった。
スタスタ スタスタ
(ドンナ場所なんだろう・・・。90%はオレが見たことガナイ景色ナンダロなぁ。だから・・・ワクワク?するなぁ)
スタスタ スタスタ スタスタ
「ガサガサっと草むらを抜けるとー、そこはもう私のオススメスポットなんだなぁ♪」
博士は楽しそうな雰囲気で言う博士を見て、こっちまで嬉しくなってしまう。
ガサガサ ガサササッ ガサッ!
「・・・・ふふ。さぁ目的地に、着いたよ。」
草むらの中を通り抜けて、少し歩いた所で博士は言った。
だから急いで博士の元へ急いで向かうとそこは、
他の山の大木が、一面に桜色と黄緑色の葉色と濃い緑色の葉がグラデーションの様に交互に染まっていた。
「わぁ!!博士っ!トテモ・・・美しいトデス!!珍しい配色の桜の木デスネ・・・。コノ場所の木トハ違うのカナ?」
「気に入って貰えたなら、良かった、よかった。ちなみにあそこの木は、全て人が作った木だよ。詳しい事は残念ながら、私はわからないよ」
「・・・・でしたら、今カラ検索します」
ピピピピィー。
(制作してから言うが・・・・、機械のロボットは、人と肩を並べられる様な人になれたりするんだろうか・・・。でもまずは秘書の件から始まるなぁ)
本当に自分でもよくわからなくなってきた気持ちを乗せて、ため息をつく。
ピロローン『検索終了』
と不意に流れ出したその完了音声に、制作者である私はビクリと驚いた。
そしてその隣で変わらない表情だが、密かに満足そう?である颯真が、検索結果らしき情報を話だした。
「ふーむ・・・ナルホド。あそこの木々ハ、人間ニトッテノ儀式ノ一環デ、桜ノ木に細工をスルミタイデスネ。」
へぇーと相づちを打って、
「通称:混交の願い星。なんでも紅葉の黄色、桜のピンク、夏によく見れる綺麗な緑、を混ぜることで、普段は一緒に咲くことは無いから、もう会えない人との再会を祈る・・・祭りとも言われているよ。」
と最後に、そういう胡散臭い話もプラスしていく。
「それはトテモ幻想テキ・・・イエそれともロマンチック?ですか・・・ね」
「そう?言っといてなんだけど、私はその噂は信じてないねー。死者と会える・・・というのは、あまりにも非科学的だ。」
(ムー・・・。でもまぁ、一応記憶シテオコウ)ピロピン♪
「さて、そろそろお家に帰ろうか。私は久しぶりにここまで歩いて疲れたよ。」
ふぁーとあくびをしながら博士は、徐々に来た道を戻り始めた。
「あっ、待ってくださいヨ。博士ー」
博士の後ろを追うように、そしてこの先辿る長い道に期待しながら・・・オレは走った。