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表裏一体の世界の中で表世界のユウと裏世界のアズマ

 星の輝きのように別々の特殊能力を身に(まと)いながら生きる僕達の周囲にはどれほどの存在がいると思うかな?

 

 決して同じ『能力』を持つ者などいない。まれに似たような能力を持つ存在も確認されているが、若く命を散らす事が多いみたいだ。簡単に言えば、似た能力者達はその中で厳選され、誰を生かすかを決める審判にかけられる。


 だからこそ似た能力者がいたとしても、ずっとそのままでいれる訳じゃないって事なんだよね。


 ――僕の父がそうだから。


 僕と父の能力は殆ど同一と言っていいかもしれない。表裏一体のこの世界ではどちらかが早死にするのが暗黙の了解なのだけど、僕達親子の場合は異例だった。


 能力は産まれた瞬間に『開花』するのが殆どだが、僕の場合は何の反応もなかった。父が『能力者』だから息子の僕にも遺伝している可能性が高いからと政府が調べ上げたのだが、ただの一般人だった。


 ……その時はまだ(・・)ね。


 僕の能力が開花したのは、ユウ(きみ)に出会う少し前の事だから。父はよく『指鳴らし』をしていたから、見様見真似でしてみたら、何の変哲もなかった空間から裂けめが生じ、新しい世界へと繋がるドアを作ってしまった。父がいつもしている事と同じ事が出来てしまった僕は、この事を内緒(ひみつ)にしたんだ。


 どうしてもこの綺麗な空間を、僕だけの世界を、誰にも見せたくなかったから……。


 不思議だよね。誰にも見せたくないと言いながらも、ユウには見せたんだから。まあ、あれはただの事故(・・)みたいなものだから、僕から見せた訳じゃないんだ。


 僕の創り上げた『キンモクセイ』と『夜』の空間に繋がる能力を持っていたんだから。驚くよね。


 話を聞くと、僕の能力が開花した時間と同じ位なんだ。


 一瞬、この出会いは運命じゃないかって感じたくらいさ。魂の共鳴って言うのかな?ユウとは初対面だったのに、また会えると確信したんだ。そんなこんなで、ユウは能力を使って僕の創り上げた空間に繋がり、入り込んできて、僕の邪魔をする。


 最初は一人ぼっちだったから、自分以外の人間の呼吸、体温を身近で感じる事に慣れてなくてさ。少し体調を崩していたよね。そんな僕を見つめながら『大丈夫だよ、私が治してあげる』と一言、耳元で囁く。彼女の息がかかる度に、全身の力が抜けて『ゾクッ』と鳥肌が立った。


 あの時は子供だったから、何故そんな反応をするのか分からなくて、戸惑ったっけな。


 右手の『指鳴らし』は一つの能力を開放する。左手の『指なぞり』はサポート能力と言ってもいい。


 僕の場合は空間を切り裂いて、自分の思い通りの世界を創り出せる能力、そしてもう一つの能力は全てを無にする能力。

 彼女の能力は心を繋げ、相手の居場所まで飛んでこれる能力、サブ能力は癒しの能力。


 だから体調を崩した僕の背を左指でなぞると、薬と同じ効き目があるように、身体が楽になるんだ。


 ――他の能力者に出会った事はないから、どんな能力があるのかなんて知らないけどね。



 


 

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