別れ
「うまくいったのか…。」
「うん。」
てんあはデラドラルを不思議そうに見ていた。
「こうやってよく見ると…やっぱり子供らしさもあるな…。」
『お母さんに…会いたい…』
「それに…喋れるみたいだな…。」
「うん、もうすぐお母さんに会えるから我慢してね。」
『わかった。』
「とりあえずこの谷から出ないといけないから、まずツタのところまで戻ろうか。」
『こかから出たいなら僕に乗ればいい、すぐに上まで行けるよ。』
「ほんとに?いいの?」
『うん。そのかわりしっかり掴まっててね。』
私達が乗ったのを確認するともの凄いスピードで走り出し、助走をつけ思い切り高く飛んだ。
風圧に吹き飛ばされそうになりながらも、私とテンテンはデラドラルのたてがみを掴み必至にしがみついた。
しかし着地と同時に2人とも地面にたたきつけられた。
「いててててて。」
『大丈夫?』
「ああ、なんとか。」
『ところで、お母さんはどっち?』
「その前に私達の仲間と合流したい。」
私は瞭然へと意識を集中させた。
そして居場所を伝えると、瞭然達とは数分で合流できた。
「2人とも無事だったみたいだね、瞭然が燈ちゃんの気配が消えたって言うから心配してたんだよ。」
「デラドラル…随分と大人しそうに見えるが、どうやって手懐けたんだ?」
「…この子は元々凶暴な子じゃないよ。」
私はデラドラルの額を優しく撫でた。
するとデラドラルは目を細めながら気持ち良さそうにしていた。
「とても心が優しい子。多分実験された時、殺意を使った呪いの実験か何かだったんだよ、それで体が勝手に殺意に反応してしまうだけ…その証拠に殺意を持たなければ迷わせーーー。」
私はふと思った…もしかしたらあれは道に迷わせる為じゃなく見つけて欲しかったのかも…わざわざ自分のいる谷底を近くに出したのもその為なら…。
「燈?どうしたんだ?」
「ううん、なんでもない。」
私はデラドラルを見つめた。
そしてデラドラルの大きな頭を両手を広げて抱きしめた。
恐らく沢山の殺意を感じ取り、本心とは関係無く沢山殺めてきたんだろう…。
それで彼なりに考え付いたのが谷底で待つ事なんだろう。
そして谷底で心の穏やかな者を迎え入れ、その姿を見ても敵意や殺意を抱かぬ者を選別していたんだ…。
人間を信じて、何百年と…。
「寂しかったね…もう大丈夫。」
『あかり…ありがとう…。』
その声はとても暖かかった。
「それじゃあピンチャータの所へ向かうか。」
『うん。お母さんに早く会いたい。』
そして私達はデラドラルの森を出て、メデューランへと向かった。
。
。。
。。。
「これがその…デラドラル?すっごいおっきいんだね、ピンチャータよりおっきいんじゃない?」
「うん、そうなんだけど…そんな事より…。」
「困ったな…。」
「まさか、反応してしまうとは…。」
メデューランに入る時思わぬ誤算が生じた。
デラドラルが結界によってメデューランへ入れなかった。
「どうしようか…。」
「ピンチャータを呼び出す魔法陣は誰も作れないとなると結界を壊すしか無いだろうな…。」
ジェラルドが渋々と言った感じで解決策を出した。
「幸いこの街は崩壊しているから…良かったと言えば良かったのか…。」
もうそれしか方法は無かった。
「でも結界を壊すってどうやるの?」
「この街のどこかに結界の紋があるはずなんだ。それを見つけ出して壊すしか方法は無いな。」
また探さなきゃいけないのか…この街は探すものばかりだな…。
「デラドラル…もう少し待っててね、私達結界を壊してくるから。」
『うん。待ってるよ。』
私達は再びバラバラになりメデューランの街へ結界の紋を探す事となった。




