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龍の者憑き(挿絵有り)  作者: PREY
求めて
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愛を求めて


探し始めてからしばらくの間森の中で迷わないように私達はある程度の距離を保ったままデラドラルを探していた。


「そもそもよ、近付けば迷うらしいし、近付く事も難しいのにどうやって見つけりゃいいんだか…。」


テンテンの集中が途切れてきたのか、さっきから少し愚痴が多くなってきた。


「逆に考えてよ。もし森に迷ってしまったらデラドラルに近付いた可能性が高いんだよ。」


「だから…?」


デラドラルは殺意の無い者が近付けば方向感覚を狂わせるだけ…そうだ…私はふと思った。


「だから…森へ迷えば良いんだよ。」


「燈、お前なに行ってるんだ?」


「いっそのこと、この森をみんなで駆け回ればいいんだ。

方向感覚が狂って迷う時が来るまで駆け回る。」


そう、今この段階から地道に探す必要は無いんだ。

まず森の中を走りまわって迷わされてから、地道に探せばいいんだ。

迷った時確実に近くにデラドラルがいるわけだから…。


「みんな、少し集まって私の考えを聞いて欲しいの。」


私はみんなに今思い付いた事を話した。


「確かに燈ちゃんの言うそのやり方はデラドラルが近くにいる確信にもなるが…もし見つけられなかった場合、この森からは出られなくなる可能性も高いな。」


「二手に分かれるか?」


瞭然が新しい案を出した。


「俺とジェラルド、燈と天で二手に分かれよう。そして魔物の魔力を感じた時、おそらく既に迷い込まれた時だろう。それを合図に相手に自分の位置を伝え、挟み討ちする。」


「どうやってお前らに合図を送るんだよ。」


「俺と燈はある方法でお互いの居場所がわかるようになっている。」


瞭然が言っているのは私の中へ仕掛けた監視魔法の事だろう…。


「燈、本当なのか?」


「うん…。」


「それじゃあ始めるぞ。」


瞭然がそう言うと、ジェラルドと共に森の中へと凄い速さで森の中へと消えていった。


「俺達も行くか。」


「そうだね。」


それに続いて私達も森の中を駆け回った。


そしてこの大きい森を駆け回る事数分が経過した。

少し疲れたので歩くことにした時だった。


「ーーー瞭然といつからそんな居場所がわかるようになったんだ?」


歩きながら移動しているとテンテンが不意に質問をしてきた。


「それは…多分、瞭然は1番初めに出会った時から私に何か監視できる魔法を仕掛けたみたいなの。」


「あいつそんな事を…。」


「でも今では私もだいぶ龍の石に慣れてきたみたいで、その監視魔法を逆に操って瞭然の居場所がわかるくらいにはね。」


そんな話をした時だった。

身体中の感覚が何かに包まれ、周りの景色が歪み、自分の足で立つ事もままならず、船酔いしたような気分に一瞬飲み込まれた。


「これは…。」


デラドラルの魔力だ、私達に仕掛けてきた。


「やっぱり攻撃する気は無いみたいだね。」


もしかしから攻撃されるかも知れないと少しの不安はあったものの、ただの攻撃的な魔物じゃない事はわかった。

問題はここからどうやってデラドラルを見つけるか、だ。


そして意識を集中させ瞭然に私達の居場所を伝えた。


「瞭然に居場所は伝えれたか?」


「思ったより魔力が凄くて…ちゃんとした場所が伝えれない…でも大体の居場所はわかったはず…。」


辺りを見回すもさっきどっちの方角からきたのかさえもわからなくなっていた。


「うぅ、吐きそうだ。これから、どうする…?」


テンテンは吐き気を抑えながらも立ち上がり私の体を支えた。


「ありがとう...。」


しばらくすると、歪んでいた景色がゆっくりと元に戻っていくのがわかった。


「だいぶ慣れてきたな…進もうか。」


テンテンが歩き始めようとした時、近くに崖が見えた。


私は崖の方へゆっくりと向かった。


「おい、燈。落ちるぞ。」


「うん…でも…。こんな所に崖なんて…あった?」


そして、よくよく見渡してみると景色はガラリと変わっている事に気がついた。


「デラドラルに近づいたからどこかにワープさせられたのか?」


果たして本当にそうなのだろうか…。


普通ならこの崖は通れそうにないので、これ以上先へ進むのを諦めるだろう…。


しかし、もしそれがデラドラルの幻覚なら?

近付かれたく無いならば、ここから離れるように仕向けるはず…。

そう考えるとこの崖の先にデラドラルがいる可能性が高い…。


私は近くにあった石を投げた。

石は崖の下へ落ちていき、見えなくなった。


「何してるんだ?」


「もしかしたら、この崖が幻覚でこの先にデラドラルがいるかもと思ったんだけど…。」


崖は幻覚じゃなかった。



「降りてみるか?」


「そんな…こんな崖…どうやって…。」


デラドラルの魔力に包まれたままのこの状況でこの崖を降りるのは不可能に近かった。


「そうやってすぐ魔法に頼ろうとするからダメなんだよ。」


テンテンはそう言うと近くのツタをかき集めた。


「...どうする気?」


少し嫌な予感はした。


「これをこうして...ここにこうやって…と…できた。」


そこにはツタをいくつも束ねて太く丈夫にし、ある程度太い木にくくり付けた物が出来上がっていた。


「……ロープのつもり?」


「ああ、これだけ長けりゃ下まで行けるだろう。」


テンテンは強めに引っ張りながら強度を確かめていた。


ああ…降りたくないな。


「それじゃあ俺から降りるか。」


テンテンはゆっくりと崖を降りて行った。


それから数分後ー。


「燈ー!無事に降りれたぞー!」


無事に降りれたようだ…仕方ない、降りるとするか。


私もテンテンに続きツタを伝ってゆっくりと降りて行った。


「っと…。」


ようやくたどり着いたそこは少しひんやりしていて、森では見かけなかったカエルやトンボといった小さな生き物が沢山いた。


「先に進もうか。」


少し足元は悪いもののそれほど進みにくいものでも無かった。


「ここには沢山生き物達がいるね。」


「そうだな、デラドラルのテリトリーだから安心出来るのかもな。」


しばらく歩くとピリピリと刺激するような気配が漂っていた。


「近いな…。」


そう言った時テンテンが身構えたのがわかった。


「テンテン待って、落ち着いて。あまり攻撃的な精神になるのは危険だよ。」


「あぁ…すまない。」


しかし、テンテンからは完全に攻撃的な気配は消えていなかった。


「ここは私が行く。テンテンはここで待ってて。」


「いやでも…」


「大丈夫。デラドラルはきっと悪い奴じゃない。今ならわかる…だからお願い、ここは私に任せて。」


そう…きっとデラドラルは...


「わかった。」


テンテンを納得させると私は先へ進んだ。


更にしばらく進むと何か音が聞こえてきた。


呼吸音…?

どこからともなく獣のような子供のような寝息が聞こえた。


さらに進もうとした時、自身の体が急に重たくなって私はその場に倒れた。


『だれ…?』


その声は、獣と言うより子供に近かった…。


そしてどこか悲しそうでもあった。


「私は…。」


『僕を殺しにきたの?許さない。』


「待って!!」


大きな足音がゆっくりと近付いて来るのがわかった。


『殺してやる。』


「あなたをお母さんの所へ連れて行ってあげるから!」


『お母さん…?』


「お母さんはあなたに会いたがっているの。」


『嘘だ!!』


「嘘じゃない!!お母さんはあなたを愛しているの!!」


『お母さんは僕を殺そうとした!!』


「それは違う!!お母さんはあなたを助けようと必死だった!!人間に騙された!!あなたを助ける為に必死に抵抗したんだ!!」


『僕はお母さんにこんな化け物にされたんだ!!』


「それは違う!!あなたのお母さんはあなたを助ける為にあなたを化け物にするしか方法が無かったの!!」


『………。』


少しの間叫ぶような会話が続いた。


「お願い…信じて…お母さんに会いに行こう…。」


すると私を押さえつけていた力は消えて行った。


そして私はさらに奥の方へ進むとそこにはうずくまって泣いているデラドラルの姿があった。


『お母さんに…逢いたい…。』


「うん…。大丈夫。逢いに行こう。」


私はそっとデラドラルの頭を撫でた。






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