愛を求めて
デラドラルの森までは何の問題も無くすぐに到着する事ができた。
問題はここからだ、まずデラドラルを呼び出すか探し出すかしてから、拘束するか逃げるかしながらピンチャータの所まで連れて行く。くらいしか私には方法は思いつかなかった。
しかし、もしかしたら瞭然には何かいい策があるかもしれないと思って、少し聞いてみる事にした。
「瞭然はここからどうするつもりなの?」
「そうだな…テンに再び呼び起こしてもらってピンチャータの所まで走って逃げるか…。」
あぁ…たいした策は本当になかったんだ…。
「ジェラルドもそれがいいと思う?」
「そうだね…しかし1つ心配なのがどこからデラドラルが出てくるかわからない所だね。もし、メデューランへ行く方角から攻められたら、メデューランから離れる事になるからね。」
「地道に今いるデラドラルの居場所を探す方法は無いのか?」
「無理だ。デラドラルは近づいた者の方向感覚を狂わせ森へ迷いやすく出来る力があるからな。」
テンテンの質問に即座に瞭然が答えた。
「デラドラルに会いたければ殺意を明確に出す事だな。そうすればデラドラルが自分に向けられた殺意だと感じて襲ってくる。」
「どうしてデラドラルは殺意に反応するの?」
そう言えば瞭然はあの時ピンチャータの子は呪いにかかっていると言っていた事をふと思い出した…。
「長くなるが、知りたいか?」
「うん、知りたい。」
「まぁ、知っていた方が何かの役に立つかも知れないしな…良いだろう、順を追って話そう。」
そう言って瞭然は大きな幹に腰掛けゆっくりと話始めた。
「呪いが完成した時…1番初めの犠牲者はピンチャータの子供だったんだ。」
「えっ…」
私は言葉を詰まらせてしまった…。
しかし瞭然は構わず話を続けた。
「ピンチャータは龍と同じで、龍ほどの力では無いものの、不思議な力を持っていた。
そしてこの森に住んでいて、6匹の子供のいるとても愛情深い母親だった。
ある時、この森へ入ったメデューランの人間が狩をしていて、ピンチャータの子供が1匹殺されたんだ。
するとその人間は後日、突然の病に死に、メデューランの人間はこれを狐の呪いだと騒いだ。
しかし魔法を研究していたメデューランの人間はそんな呪いだと言う曖昧なままで終わらせる事は出来ず、真実を確かめる為に再びこの森へ入りピンチャータの子を1匹連れ出して、研究と言う名のもとに殺した。
そして後日、研究に関わった数名が突然の病で死んだ…。これはやはり呪いだと確信した研究者達は再びこの森へ入り、ピンチャータの子供を更に4匹全て、今度は生け捕りにし罠を仕掛けた。
すると生け捕りにされた我が子を助ける為に罠だとわかっていても、ピンチャータはメデューランへ向かい、罠にかかり拘束されてしまった。
そこからはピンチャータにとって地獄そのものだった。
毎日色々な実験をさせられ、それに子供達も巻き込まれる、これ程悲惨で屈辱的な事は無かった。
しかしそんなある時、ついに人間にも扱える呪いが完成してしまった。
しかもピンチャータの子供は残り2匹まで死んでしまっていた。
最後の呪いの実験で残りの2匹を助けようとピンチャータは必死に足掻いたが、1匹は死に、もう1匹はピンチャータが足掻いたせいで怪物へと変わり果ててしまった。
それがデラドラル…ピンチャータの最後の生き残りの子供だ…ピンチャータは死んだと思っていたみたいだかな。」
「なんて…酷い事を…。」
「そんな過去があったとはな…。」
「ーーーーー。」
それぞれが何を思ったのかはわからないが、ピンチャータの悲惨さは充分に伝わった気がした…。
「ーーーそれで殺意に敏感に反応するのか?」
テンテンが瞭然へ質問した。
「多分そうだろう。そのおかげで呼び出し安さは充分だがな。」
そんな…。
そんな酷い…。
あんなデラドラルの姿は母親であるピンチャータだって見たく無いはず…。
もっと他の方法で…。
「やっぱり…デラドラルを地道に探そうよ…。」
「どうやって?」
「それは…」
わからなかった。
そう…私にはどうしていいのかわからない…。
「私は…ただあんな怒りに任せて暴れている姿はピンチャータは見ても嬉しく無いと…思う。」
しかし何かここで止めないといけない気がして。
ここでデラドラルを怒らせてはいけないと思った。確信はないけど...。
「俺は燈ちゃんにとりあえずは賛成…かな。デラドラルを怒らせて呼び出しても死ぬ確率が高くなるのは確かなわけだし。」
「その場合出会えるかどうかもわからんがやってみる価値はあるかもしれないな。」
ジェラルドとテンテンは私の意見に賛成してくれた。
「わかったよ。とりあえずは地道に探そう。しかし夜が近付いたらその作戦は中止だ、元の作戦で行くいいな?」
「わかった。」
出来るだけ早くデラドラルを見つけ出してあげないと。
デラドラルもかわいそうだ。
しかし瞭然はいったいこの世界のどのくらいの事を知っているのだろうか。
それとも零神が知っているのだろうか…?
少しだけ疑問に思った。
まぁ、今はデラドラルの事だけに集中しないと。
こうして私達はとりあえず地道にデラドラルを探す事にした。




