愛を求めて
家を出てから5回目の朝を迎えようとしていた。
ゆっくりと明るくしてくれる朝日は相変わらず少しだけ気分を清々しくしてくれた。
それにしても疲れはやっぱり中々取れないな…。
私は少し凝った方をほぐしていた。
「燈、おはよう。」
テンテンが水を持って来てくれていた。
「テンテンありがとう。」
なんだか凄く久しぶりにテンテンと2人きりになれた気がした。
「ーーー早く家に帰りたいな。」
「あの…さ、私と離れた後…何があったの?」
ずっと聞きたかった事…。
何故神竜守から出て来たのか。何故アレリーと一緒にいたのか。何故瞭然を殺そうとしているのか…。
聞きたい事話したい事はいっぱいあった。
そしてゆっくりとテンテンは話し始めた。
「瞭然がいた小屋を燃やした後、俺はアレリーと出会った。」
アレリーがあの場所に…いったい何の用で…。
「そして龍は守り神なんかじゃ無い事、龍の恐ろしさを聞かされた。」
「私達が聞いていた言い伝えと違うって事…?」
「あぁ。それに瞭然はある女を助ける為に燈を生贄にして殺す気だと教えてくれた。」
「いけ…にえ…」
「その女の名前は桜水…瞭然の恋人らしい。そして瞭然と同じ反逆者だ。」
「え…。」
頭の整理が追いついておらず、私の心は少し同様してしまっていた。
「だから俺は隙があれば瞭然を殺す。」
私には何が正解かわからなかった。でも直ぐに答えを出してはいけない気がして…。
何か少しでもテンテンを思い留まらせなければと思った。
それに、少し考える時間も欲しかった。
「まっ…待ってよ…せめて石の呪いを解いてからでも…」
「ーーーやけに呪いを解こうとしているが、何の為なんだ?」
「ラタールって町があって、そこは千年前レイフェレリーに魔法を使えば石になる呪いをかけられたの。だからその人達を助けたくって…それに私達の仲間も1人呪いにかかっちゃったし…。」
「レイフェレリーが…?本当にレイフェレリーがやったのか?」
「その町の人達はそう言ってたよ。」
「そうか。」
何故かテンテンは少しだけ動揺したようだった。
「それよりさ…全然歯が立たなかったのにデラドラルなんてどうやってここへ連れて来る気なんだろうね。下手したら怪我じゃ済まないよ。」
「そうだな…でも燈は大丈夫だよ…俺が守るから。」
私の方は見ずにそう言ったテンテンの瞳は、どこか曇ががって見えた。
「おはよー。朝からいい感じのところ悪いけど、そろそろ出発するみたいだよー。」
リリーの元気な声がしたので後ろを振り向くと、みんな支度を終えているようだった。
「ところでさ、何か策はあるわけ?」
リリーが不安だったのか早速瞭然へ質問していた。
「そんなものは無い、出たとこ勝負ってヤツだ。」
「ちょっと!マジで言ってんの?あたしはどんな奴か知らないけどさ、みんなが束になっても勝てなかったんでしょ?それなのにそんなんで良いわけ?」
「ああ、だから魔法も使えないあんたは足手まといだ、ここにいてキツネと世間話でもしてろ。」
「ほんっっとうにムカつく言い方しか出来ないわけ?もっと他に言い方ってもんがーーー」
「まあまあ、リリーちゃんも落ち着いて、瞭然の口が悪いのはもう治らないからさ。それにこの街まで連れてこれてもピンチャータの所まで行ってくれなければ意味が無いからね。ピンチャータまでの道案内にいて欲しいんだ。」
「しょうがないわね、わかったわよ。」
「でも俺たちが夜までに1人も帰って来なかったらリリーちゃんは明日の朝、1人で魔道街へ帰るんだよ。」
そのジェラルドの言い方は全員死んでもおかしくない程の相手だと再認識させられるようだった。
私は深く深呼吸し気を引き締め直した。
「リリーそれじゃあ行ってくるね。」
「あかり…絶対に成功させてね。」
「うん。」
私達は再びあのデラドラルのいる森へと足を運んだ。




