愛を求めて
すると腕輪から魔力が溢れ出し、私を中心に円を描くように次々と地面に何かの模様が描かれていき、その模様はピンチャータの箱の周りまでも埋め尽くした。
するとその模様は色とりどりに輝き出すと、何処からともなく呪文を唱える声が響いた。
そしてピンチャータの箱は薄暗く光を放ちながら辺り一面は暗闇に包まれた。
青白く光るそれはまるでホタルのような優しい光かたをしていた。
それから数秒後、その箱は爆発したかのように凄い風圧と光を放ち、辺り一面は先程とは真逆の、目を開けてはいられないくらいのとても明るい光に包まれた。
輝きが落ち着くと、そこには大きな生き物の姿があった。
その姿は…尻尾はゆらゆらと動かしているのはわかるが、まるで蜃気楼のようで何本あるのかは数えれそうに無く、その瞳は龍よりはまだ穏やかだが、消して優しくはない瞳を、そして黄金の色をした狐が退屈そうに、人間を見下すかのように毛繕いをしていた。
『誰かと思えば…只の虫ケラか…』
「あなたがピンチャータですか…?」
『如何にも…で、何か用?」
「あの…私達…とある呪いを解除して欲しくて…」
『絶対嫌だね。』
「えっ…そんな…」
『妾を勝手に呼び出しておいて、無礼者め。』
だめだ…話なんて聞いてくれそうに無い…。
「ちょっと待ってくれませんかね、まずは僕の自己紹介からでも。」
困っているとジェラルドが話に入ってきてくれた。
『ふ〜ん…それは勝手にするがいい。』
「僕はジェラルドと言います。呪いを解除するのに何か条件がいるのでしたら何なりとお申し付け下さい。」
『そんな物は無い。だから呪いは解かない。わかったらさっさと妾を戻せ。』
このキツネは、本当に呪いを解いてくれる可能性は少しでもあるのだろうか…。
「俺が話をしてもいいか?」
瞭然がピンチャータの前に出て行った。
『お前は…龍か…?』
しばらくピンチャータは瞭然を見つめると突然爆笑した。
『わっはははははははは!!!!』
『貴様なんだその無様な格好は!!妾の腹がよじ切れてしまうわ!!』
ピンチャータはゲラゲラと笑いながら瞭然を馬鹿にした。
「今はその話はどうでもいい。」
『そんな器に閉じ込められおって。情け無い事この上ないな!』
「それはお前も同じだろう。あんな小さな箱に閉じ込められて。」
『貴様と一緒にするな、妾は全世界の呪いが発動しているのを感じ取る事ができるからな。外に出ずとも世界の事はわかる。』
「それよりさっきから呪いを解いて欲しいと言っているんだが…。」
『何度も言うがそれは嫌だね。』
「いいのか?お前の子供が1匹、お前の呪いにかかっているぞ?」
『…だからどうした。ここで妾にお前の話を信じろと?』
「ここへ連れてくれば信じるか?」
『…まだ生きているのか、?』
「ああ…。」
『なるほどな、交換条件と言うわけか。では連れて来るがよい。その話が本当ならな。』
「だが、俺達に召喚魔法をもう一度使う術は無いぞ、このままここにいてもらう。いいな?」
『我儘な龍だな…いいだろう。早くしろよ。』
そう会話を終えると瞭然がその場から離れて行くので、私達も瞭然の後に続いた。
「あのキツネの子供って?」
「ーーーーデラドラルだ。」
「ちょっ…デラドラルって…。」
ただでさえ全く歯が立たなかったのに…どうするつもりなんだろうか…。
「何にせよとりあえず森へ行くのは日が出てからにしよう。」
ジェラルドが瞭然の足を止めた。
「……それもそうだな。」
「なぁ…俺さ、家の中探し回ってる時にこれ見つけたんだけど、」
そう言ったテンテンの手には非常食用の食べ物があった。
「あんたっやるじゃん!!」
リリーはとても嬉しそうにはしゃいでいた。
「腐ってないか心配だったけど、大丈夫みたいだ。」
私達はその数枚のビスケットをみんなでありがたく食べ、次の日の朝が来るのを待った。




