愛を求めて
ジェラルドが本に目を通してからしばらくたった。
あたりはすっかり暗くなってしまっていてジェラルドの魔法で灯りを出していた。
「とりあえず熟読は出来ないけど、全てひと通り目は通して大体の内容はわかったよ。」
「それで、呪いは解けるの?ゴルディーは…元に戻るの?」
リリーが不安そうに質問した。
「まず此処へ来た1番の目的である呪いについてだが、全ての呪いはピンチャータと言う生き物の物らしい、ピンチャータは非常に執念深い生き物らしくその執念深さに魔力を加えた実験をしたところ呪いと言うものが出来たようなんだ。」
「それじゃ呪いは昔ここに居た学者が作り出したわけ?」
「そうなるな。」
「許せない…。」
リリーの大切な人が呪いのせいで石になったんだ、その気持ちになるのも当然…。
「それで担当直入に言うと、呪いを解くにはそのピンチャータを呼び出し、ピンチャータと話をして、ピンチャータに解いてもらうしか無いみたいなんだ。」
「どうやって呼び出せばいいの?」
「その呼び出しの儀式魔法は習得するのに3年はかかる程難しいらしいんだ…だがこっちの日記の方を読んでみて。」
そう言ってジェラルドは日記の書かれている本のあるページを私達に見せた。
そこにはこう書かれていた。
【呪いは私達の想像を遥かに超え世界へ広まりすぎた。私達には情け無い事に、もうなすすべはない。
私達はいつか心の良き誰かがこの世界を救ってくれる事を望み召喚の魔法を腕輪へ眠らせよう。】
「どうやらこの街の人達は呪いがこの世界を揺るがすほどの脅威になった事、ここが襲撃される事もわかっていたようだ。それでピンチャータを召喚する魔法を光の腕輪へ宿したんだろう。」
「光の…腕輪…」
私は腕輪をポケットから取り出した。
「ああ、燈ちゃんが見つけたその腕輪。おそらく召喚の魔法だろうね」
「しかしその儀式にはピンチャータの魂を入れた箱が必要なんだ。それを見つけない事には…」
「それならこれだ」
瞭然が手に持っていた真っ黒な箱を差し出した。
「それって、さっきキツネって…」
「ああ、そのピンチャータはキツネだ。」
「お前、知ってたんなら何でもっと早くにみんなにいわねぇんだよ。」
テンテンか瞭然に突っ掛かるような口調で言った。
「俺は全て知っているわけじゃないからな、こいつの場所を探すのもいろいろ考えて苦労したんだ。それなのにこの箱の事を馬鹿に教えて、馬鹿が横で騒がしくしたら気が散ってまだ見つけれてはいなかっただろうな。」
「ーーーーっ!!絶対ぶっ殺すからな覚えておけよ。」
「落ち着けよ。それにこの箱の開け方だってわからなかったんだ。結果的にバラバラに行動した方が良かっただろ。」
「……。」
テンテンはずっと瞭然に対して敵意があるようだった。
「ちょっとテンテン!落ち着いて。」
テンテンも瞭然もわざとお互いを怒らせるような言葉遣いをして、呆れるほどに相変わらずの犬猿の仲だ…。
しかし私は、テンテンの殺意から少しも冗談っぽさが無いのが少し気になった。
「流石、千年生きているだけはあるね。…さて、これで召喚の儀式は出来るわけだけど、あたりはすっかり夜だしどうする?」
「あたしは今すぐにでもしてほしいけどね。早くゴルディー達を助けたい。」
「みんなは、どう?」
…誰も特に反対はしなかった。
「それじゃあ、燈ちやんお願いできるかな?」
私は軽く頷いて腕輪をはめた。
「それじゃあピンチャータの箱はここへ置くから燈ちやんはここに…よし、みんな離れて。」
みんながある程度距離を取ったのを確認すると私は腕輪へ意識を集中させ、中に宿っている魔法を解放した。




