愛を求めて
〜デラドラルの森の噂〜
ーある森には怪物が住んでいると言う。
ーその森へ入れば度々神隠しに会うと言う。
ーその怪物に見つけられた者は死ぬと言う。
ーその怪物を見つけた者は生きながらえると言う。
ーその森へ入る時は覚悟せよ。
ーその怪物は孤独なり…。
デラドラルの森を抜けると、景色は一転していた。
森に入る前までは草ひとつ無いひび割れた地面だったのに対し、その反対側は豊かな緑が一面に広がっていて、所々には花も咲いている。
大地はこんなにも緑が生い茂るものだったのかと、改めて思った。
豊かな緑が広がっている景色を眺めていると心が安らいだ。
遠くの方へ目をやると崩れた建物が多く集まる場所がある。
あれがおそらくメデューランだろう。
「あそこに行くのか?あんな場所に何の用があるんだ?」
そう言えばテンテンには私達がなぜメデューランへ行くのか理由を教えてなかった。
「あそこで呪いについて調べる事があるの。」
「呪い…?」
「そう、解除したい呪いがあって。」
「呪いって…とけるのか?」
「瞭然は出来るかもって言ってたけど…。」
やけにテンテンは食い付いてきた様に感じた。
勉強とか嫌いなタイプなのに…。そういうのは好きなのかな?
「魔法と違って呪いは契約や契り、一定の行動などで発動して、その本人自体に取り憑く物なんだけど、呪いに取り憑かれると一般的にはその本人が死ぬ以外解決策は無いとされてるんだ。」
私達の会話を聞いていたジェラルドが詳しく話してくれた。
「それで瞭然が解決出来るかもって言うなら、呪いに対しての何か心当たりでもあるんじゃないか?千年も生きているんだ、呪いを解く方法を耳にした事くらいあるのかもな。」
「その解決策が、あんな街にあるのかよ…」
「あそこは昔、魔法学者の街だったからね。何か残っていれば良いんだけど。」
そんな話をしている間も瞭然は1人黙って先を進んでいた。
「相変わらず態度悪いよね。アイツ。」
リリーが少しムスッとした顔で言った。
テンテンもリリーも瞭然とはあまり合わないみたいだな…。
牢屋に閉じ込めらた時のような、大きな喧嘩にならなければいいけど。
「私達も急ごうか。」
そうして私達はメデューランへ入ったのだが、やはり遠くから見た通り、建物は何かに破壊されたかのように崩れ落ち、所々草や虫に侵食されていて、全くの廃墟そのものだった。
「やっと来たのか、昼寝でもしてたのかと思ったぜ。」
「瞭然、あんたねぇ〜」
「この街の結界はまだ生きているようだ、ひとまず夜になってもここにいれば大丈夫だろう。それと向こうに井戸がある。まだ使えるようだ、干からびて死ぬ前に飲んでおくんだな。」
瞭然は先に着いて色々と調べてくれていたらしい。
「あ、ありがとう…。」
リリーは恥ずかしさの混じった小さなお礼を言っていた。
それにしても極限まで耐えた水は体に染み込むかのよな感覚がし、今まで飲んだどんな飲み物よりもとても美味しかった。
あとは空腹が何とかなれば良いのだけれど、今そんな事を言っている場合ではない。
早く少しでも呪いを解くのに役に立ちそうな物を探さなければ。
「もともとどこにどんな建物があったのかわからないからな。崩れた建物の中を手分けしてひとつづつ探して行くとするか。何か少しでも手がかりになりそうな物があった場合読んでくれ。」
ジェラルドの意見により、私達は一軒一軒ひとつづつ調べる事にした。
それにしてもこの街は結構ひろい、全部調べ終えるのはいつになることやら…。
でもこんなにボロボロに崩れるなんて、いつから滅んでいたのだろうか…。
私は崩れた部屋に入れそうな場所を探して中へ入った。
そこには原形の無い程に破れた衣服とそれを纏っていたであろう人の骨が有った。
これは…この街は…何があったのかはわからないが、この街が人の手によって崩壊させられた事はなんとなくわかったような気がした。
その骨の死体がある場所はベッドの上のようだった。
辺りには消えかけているが黒ずんだ血であろう物が散乱したように見えた。
寝込みを襲われたんだろうか…。
一体誰が、何のためにこんなひどい事を…でもそれは今私が考えても何も意味のないものだった。
私は適当に本棚をあさったが、呪いに対する本はなさそうだった。
仕方ない、まだまだ建物はあるようだし、早く次へ行こう。




