真実を求めて
あの後すぐに追いかけた筈なのどけど、テンテンの姿は見えなくなっていた。
魔法を使って追いかけているんだろう。
そうなれば私には追いつけないし、このまま闇雲に進んでも森の中で迷うだけだ。
仕方ない、あれを使うしかないか…。
私は少し前から知っていた、だんだんと龍の石が体に馴染んできたのか、少しづつ魔法の事をわかるように、感じるようになっていた。
恐らく1番初めに出会った時だろう…瞭然が私へキスをする振りをして、私の中へ私の行動を感知できる魔法を仕込んだのは…。
この感知される魔法の名前は知らないけれど、使い方はわかる。
この魔法、きっと逆アプローチができるはず…。
そう思って私は瞭然の居場所を探す事に意識を集中させた。
ーーーーーーいた…ここから約5キロ先にいる。
仕方ないか…余り体力は無いけど瞭然の元へ急いで向かう事にした。
「ーーー瞭然!!やっと追いついたっ!!」
よかった、数分かかってしまったけど、なんとかテンテンよりは先に瞭然と出会えたようだった。
「燈?」
「燈ちゃん!?何故ここに?リリーちゃんは?」
「リリーなら大丈夫!それより瞭然、テンテンがーーーー!」
「俺が、何?」
振り返ると、テンテンはもう既に追いついていた。
「俺のいない間に随分とそいつと仲良くなったみたいだな。燈。」
「いや、ちが…」
テンテンの怒りに触れてしまったみたいだ…まずい…。
「…あんた、頭悪いだろ?」
瞭然はわざとかそうで無いのかはわからないが挑発するように言った。
「ーーーーぶっ殺す!!!!」
怒りが沸点に達したテンテンを止めに入る事が出来ないままテンテンは瞭然に襲いかかった。
「待ってくれ!」
ジェラルドが間一髪でテンテンを止めた。
「お前もこいつの仲間だったな…殺す!」
「君は何か誤解をしているようだ。燈ちゃんの恋人なんだろう?まずはその燈ちゃんの話を聞いたらどうなんだ?」
テンテンは少し冷静さを、取り戻したようだった。
「テンテン…。」
「燈…。」
会いたかった…とても。
私は話す事も出来ずただテンテンに抱きついてしまっていた。
「私は私の意志で瞭然の恋人を助ける手助けをしているの。」
「燈…それがどういう事になるかわかっているのか?」
「ーーーどういう意味?」
「なるほどな、瞭然からは何も知らされていないのか…」
テンテンは再び瞭然を睨みつけた。
「おいおい、そんなに敵意を俺に向けるなよ…。少し落ち着け…。」
「テンテンどうしたの?」
「燈をお前に渡しもしないし、殺させもしない…。今ここで連れて帰る。」
そしてテンテンは再び戦闘体勢へと入り、バチバチと殺気が漂っているのがわかった。
アレリーに何を言われたのかわからないけれど、まずい…きっと瞭然は龍が憑いている限りどんなに切り刻んでも死なない。
瞭然の恋人のようにどんなに血塗れになっても…きっと…死なない。
このままじゃテンテンが…。
すると次の瞬間、地面を突き上げ、大地がヒビ割れるような大きな地響きに似た獣の叫ぶ声がした。
「ーーーー!!!!!」
みんなが一瞬にして身構えた。
「不味いな…騒ぎすぎだ。」
瞭然が、何かを察したようだった。
「おい!天!!あんたのせいだ、生き延びたければ協力しろ!!」
「何故俺がお前に協力しなければいけない。」
「頭の悪い奴に対するには言い方が悪かったな、燈を死なせたく無かったら協力しろ。だ。」
そんな会話をしている間にも大きな地鳴りのような振動の足音が近付いて来ていた。
そして木々をなぎ倒し現れた図体は10メートルはあろうかと言う程の巨大な物だった。
鋭い牙をむき出しにし、そして視線が合った者を恐怖で硬直させるような目つきに、全身が毛で覆われていても筋肉質だとわかる肉体から伸びる4本足からは鋼のように硬そうな爪が出ていた。
「なん…なの…?」
「この森の主…デラドラルだ…。気を付けろよ、魔力も半端じゃない。」
「瞭然…さっきからその様子、あなた初めからこの森にこんな怪物がいるって知ってたの?」
「ああ、だがこいつはこの森で暴れようとしなければ出てこない。どっかの馬鹿が呼び出したんだ。」
「………。」
私とジェラルドはデラドラルに対抗する体力をもう持ち合わせていなかった。
ここは瞭然とテンテンに任せるしかない…。
「おい!天!!俺が奴の注意を引く、あんたは隙を見てとどめを刺せ!!」
すると瞭然は高く飛び上がり、デラドラルの顔の前まで飛び込んだ。
「くそっ何で俺が瞭然なんかと……。」
デラドラルは自身の顔に飛び込んできた瞭然を払おうと前足を振り下ろす。その瞬間辺り一面にかなり強い風圧が発生した。
瞭然はかろうじて避けるがすかさずデラドラルは口から攻撃するための魔法光線を放つ。
瞭然は何とか風圧に乗って避ける事が出来たみたいだったが、その光線は地面を深くえぐる程の能力だった。
ふとテンテンの方を見るとテンテンはデラドラルの後ろへと回り込んでいた。
テンテンはデラドラルの後ろから飛び込み、デラドラルを斬りつけようとするも、デラドラルは尻尾を振り回し、風圧を発生させ、テンテンの動きを封じ込めていた。
駄目だ…力の差が違いすぎる…何かいい方法を探さなければ…。
その時ふとこの森へ入る前にジェラルドが言っていた事を思い出した。
この森は魔力を掻き乱すから気配を消してくれる…。
「瞭然!!テンテン!!逃げよう!!」
これが一番の策だと思った。
この森が何故魔力を掻き乱すのかわからないけれど、それがデラドラルのお陰なら政府から逃げている今の私達の気配を消すためにはデラドラルは必要だ。殺してはいけない。
仮にこの森自体が魔力を掻き乱す森ならばデラドラルから逃げ切る事も出来るかもしれない。
最も前者なら逃げるのも至難の業かもしれないけど、倒す事が到底出来そうに無い現状の今、私にはそれしか無いと思った。
「仕方ない、逃げるか。」
私達は急いでその場から離れる事にした。




