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龍の者憑き(挿絵有り)  作者: PREY
求めて
38/50

真実を求めて



「ーーーーー。此処じゃよ。あまり広いわけじゃ無いがお前さんら全員が寝る事くらいは出来るじゃろう。」


お爺さんの家は割とすぐ近くにあった。

お世話にも大きいだとか綺麗だとか言う家では無い、寧ろ今すぐにでも崩れそうな程ボロボロだった。


「あらあら、いらっしゃっい。客人なんていつぶりだろうかねぇ、どうぞどうぞこちらへ。」


中からお爺さんの奥さんだろうか、お爺さん同様酷くやせ細ったお婆さんが出迎え、そして私達を居間に通した。


「まぁその辺に適当に座っておいてくれ。」


床は所々ギシギシと鳴っているがこの町を見ればそんな贅沢は言っていられない。


「ところでお前さんらは魔法は使わんのか?」


「ーーーいいえ、使いませんよ。」


ひと呼吸置いてジェラルドが答えた。

あの魔法を使えば此処から出られないという噂話を知っていれば当然の返答だ。


「言い方を間違えたかのお、正しくは魔法を使えるのか?だったな。」


「その質問に対しては、はい。ですね。」


「そうかそうか…しかしそんな便利なもんを持っとるのに何故使わんのじゃ?」


「おいおい爺さん、さっきから何が聞きたいんじゃ?」


痺れを切らしたのかゴルディーは少しイライラしているようだった。


「どうやら此処で魔法を使えば何かが起こる。と言う事は知っているようじゃな。」


「えぇ、僕は喫茶店をやっているので色々な噂話は耳にしますよ。」


「わしも世界を旅するのが仕事兼、趣味みたいなもんだからな。この村の噂は知っておったよ。」


「それで最後の質問なんじゃが、お前さんらは何故こんな場所へ来ようと思ったんじゃ?」


「それは…。」


「ーーーー。お前さんらは今の政府に不満でもあるかの?」


「何故そう思うんです?」


「この村へ間違っても来ようなどとするのはマータルに収容されて逃亡してきた者くらいじゃ。」


完全に図星だ…。


「まぁ安心せい。わしらは皆レイフェレリーを恨んでおるからな…。お前さんらは別にレイフェレリーは恨んで無いのかの?」


「恨んでいるさ、今すぐにでも殺したいくらいな。」


すかさず瞭然が答えた。

そしてそれを聞いたお爺さんは一冊の本を取り出した。


「そうかそうか、では少しジジイの昔話を聞いてくれんかね…?」


私達は黙って頷いた。

それを見たお爺さんは本をみながら話を始めた。


「ーーーーその昔この村は豊かで緑溢れていたんじゃ。

じゃが、千年前、突如雨が降らなくなり、川も枯れ飢饉となった、そしてそれは見てもわかるように今も続いている。…農作物は壊滅的で唯一村人の命を救ったのは、砂漠の方で採れると言う穀物だった。村人はその種を育ててはその種を食べて何とか生き長らえていた…。しかしあまり良く育つ植物では無くてな…いつ誰が餓死するかわからん状態じゃった。…そんな時奴が現れた。レイフェレリー・シエンスティーじゃ。…奴はある儀式をすれば雨が降ると言ったんじゃ…、しかしそれは当時の村人の半分の命を犠牲にするものだった。村人達は当然拒否したのじゃ…じゃがそれが奴を怒らせた。…奴はその当時はまだ名前のなかったマータルへと行き儀式を成功させた。…儀式を成功させた後、怒りの治らないレイフェレリーはこの村に呪いをかけたんじゃ…。この村で二度と魔法が使えぬ様にと…な…。」


「少し質問なのですが、では何故この村には魔物除けの結界が張ってあるんですか?」


確かに…ジェラルドの言う通り、結界は魔法…。


「わしらの民族は魔法を使える高等種族じゃ無くての…呪いをかけられた事は分からなかったんじゃ…じゃがある日魔物が現れる様になった。それまでは見たことも無い魔物が、じゃ…。それを知った1人の少年が結界を張ってくれた…この村に呪いをかけられているとも知らずに…な。」


「それって…その少年はどうなったの?」


「その少年はの…石の像になったんじゃ…。」


「石の像に…。」


「それでな、わしのただの願望じゃ無ければええんじゃが、その少年はおそらくまだ生きとる…」


「何故そう思うんです?」


「聞いたんじゃ…心臓の音を…。この村に結界を張ってくれた人じゃ…せめて石になった身体の掃除くらいはと思って毎日掃除をしておってな…ある時胸辺りを手で撫でた時じゃった。微かに振動を感じて耳を当ててみたんじゃ…あれは心臓の音じゃった…。」


「それで生きている…と…。」


「あぁ、お願いじゃ、どうか魔法が使えるのならばあの少年を助けてくれんか…まだ名前も知らんのじゃ…」


「しかしここで助ける為に魔法を使えば今度は俺達が…それに石にされた呪いを解く方法なんて……瞭然知っているか?」


「…いや……知らないな。」


「レイフェレリーを…政府を恨んでいるなら彼の魔法は必ず役に立つはずじゃ…今すぐにとは言わん。何か方法を見つけ出してくれんかの…。」


「わかりました…僕達も出来るだけ方法を探してみますけど、あまり期待はしないで下さいね。」


「どうか…どうかよろしく頼みますよ…。」


ジェラルドが当たり障りの無い返答をすると、お爺さんは静かに、しかし切実そうにお礼をいって部屋を出て行った。



石の呪いを解く方法か…そんな方法は見つかるだろうか…。












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