真実を…
「はあ…はあ…はあ…」
あれからどれくらい走り続けただろうか…。
みんなの息も上がって疲れているのがわかる。
それに、走ると言うより飛ぶに近い…私もそろそろ限界だ。それに…もうテンテンの姿は見えない。寧ろ初めから追ってくる気配は無かった。
「燈さ、良く魔法を使いこなせる様になったな。」
瞭然が走りながら私に話しかけてきた。
しかし魔法をやっと使いこなせてきた私には魔法で補助をしつつ走りながら喋る余裕なんてなかった。
「もうすぐラタールに着くぞ!後一息だ!」
ジェラルドが励ます様に声をかけてくれた。
ラタールか…どんな街だろうか…いい街だと良いのだけれど…。
とりあえずそこでゆっくりと体を休めたい。
それから数分後、私達はラタールへ到着した。
しかしそこは町や村と言うにはあまりにも悲惨なものだった。
「なんだこれは…ちゃんとした町や村なのか?」
瞭然と私だけこの村について何も知らない様だった。
その場所ではみんなやせ細っていて、獣の様な目をしていた。
少しでも裕福そうな人は1人もいなかった。
まるでスラムだ。
「わしらも此処へは立ち寄った事はない。話だけは耳にしてたけど、まさか立ち寄る日が来るとはのお。」
「こんな場所でも結界はちゃんとある。魔物に襲われるよりは、ましだろう。」
中へ一歩踏み入れると殺気立った目で私達を一斉に見つめた。
その時背中がなぜかゾワっとし、身震いをした。
「此処には碌に食料も無いはずだから長居しても仕方ないが、もうすぐ夜になる。夜が明けるまでは此処で過ごそう。」
「ねぇ、どおして夜になると外へ出ないの?暗いくらいなら別に…」
あまりにも居心地が悪かったので早く此処から立ち去りたい一心で言ってしまった。
「それは…夜になると魔物は凶悪化するんだ。人間の匂いが少しでもすれば何処からとも無く世界中から集まってくる。大袈裟に言っているんじゃ無くて、本当に世界中からね。」
だから身を守る為には結界の張られている場所に居ないといけない…か…。
「それにね此処の人達は今の政府や魔法が嫌いらしいんだ、もちろんレイフェレリーもね。だからひとまず此処で魔法さえ使わなければ安全なはずだ。」
「もしも使ってしまったらどうなるの?」
「噂では此処で魔法を使った者は此処から永遠に出れる事は無いそうだよ。燈ちゃんも気をつけてね。もちろん…瞭然も…。」
ふと瞭然の方へ目をやると何やから考え混んでいるのか、ジェラルドの話をちゃんと聞いているか心配だった。
「の…野宿は嫌なんだけどな…あたし。」
リリーはどうやら野宿の心配をしていたらしい…。
「そうだな…女の子2人だけでも屋根のあるところがあれば良いんだけどな…一応探すけど、あまり期待はしないでよ。」
「余所者よ、部屋を探してるのか?だったらうちに来い。飯は無いが寝床くらいはあるぞ。」
いきなり話かけられて、振り向くと今にも倒れそうなガリガリの1人のお爺さんが居た。
「あなたは…?」
「安心せい、獲って食ったりはせんわい。ワシらは人食いじゃあないからな。」
見たところ敵意も感じない、本当にただの親切なお爺さんに見えた。
「それではお言葉に甘えて…安心して頂けますか?」
ジェラルドも敵意が無いと判断したのか、お爺さんを信じたみたいだ…。
こうして、私達はお爺さんの家へと向かった。




