マータル
そう言い終えた後、瞭然の雰囲気がいつもの気配に変わった。
壱乃神を助ける事…つまりレイフェレリーを敵に回すという事と同じ…。
そもそも何故レイフェレリーは彼女にあんな酷い仕打ちを…。
そしてみんながいた街では龍はあまり良くない存在として知られている。
そんな人達に助けを求めても助けてくれる確率は少ないだろう。
「ーーー。それってつまり…あの心臓が見えていた女の子を助けるって事…だよね?」
リリーがしばらくの沈黙の後ゆっくり話た。
「ああ。そうなるな。」
「それってつまり反逆者になるって事だよね?あたしらがもともと盗賊だとは言え…次元が違いすぎる…。」
「…無理にとは言わない。」
「その前に1つ質問してもいい?」
「なんだ?」
「あんた達とレイフェレリーの間に1000年前何があったの?牢屋では聞きそびれたからさ。」
「奴はある日いきなり龍を襲撃した。理由はわからないが、おそらく龍の魔力が恐ろしかったのか、龍の魔力や不老不死の力が欲しかったのだろう。どちらにせよ己の欲の為だけに俺達は利用されたんだ。」
「そんな話…いきなり聞かされて信じれると思うわけ?」
「信じないのならそれでいい。リリーとゴルディーとはここでお別れだ。」
リリーがゴルディーの方をちらっと見た。
「わしゃリリーの決めた事に反対はせんよ。」
ゴルディーは優しくリリーに話しかけた。
「ーーーーー。いいよ。決めた、まだ全部を信用したわけじゃ無いけどさ、乗りかけた船って奴?あんた達に手を貸すよ。あたしはあかりに付き纏うって言ったでしょ?そしてついでに真相を掴んでやる。」
「もともとあんたには鍵を開ける事にしか期待していないがな。」
2人の会話が終わってやっと仲直りかなと思ったのに…瞭然も素直じゃ無いな…。
「な、なにー!!!人がせっかくーーーーーー」
ムキになるリリーをゴルディーが宥める。
そんな穏やかな雰囲気が少しの間だけでも流れた事にほっとした。
そんな時間も束の間に…外から雷が落ちたような大きな地響きがした。
「ーーーーー!!!!!」
「なんの音…雷?」
リリーが不思議そうに外へ確かめに行こうとした。
「リリー待って。私達が確認しに行った方がいい。」
リリーは魔法が使えないから何もわかっていない…
あれは雷が落ちた音なんかじゃ無い…とても強い魔法だ…。
「この力は…そこらの魔術師の物じゃ無い…いったい誰の…」
それなりに魔法の使えるジェラルドでさえも身構える程の魔力…。
私でさえもわかる…全身がピリピリとする。
「レイフェレリーじゃ無いな…奴だったら千年の恨みがある、すぐにわかる…。」
「これ程までの魔力を持っている奴とはいったい…それに敵意がプンプンしおるわ…」
外の奴は私達がここにいる事がわかっている。
そしてその場から攻撃せずに私達がここから出て行くのを待っている…
「俺が先に行って相手をしよう。」
瞭然がゆっくりと外へ出て行った。
私達も瞭然の後に続いて外へと出た。
その瞬間私は自分の目を疑った。
そして外に出た瞬間にわかった…。
さっきまで青々としていた農作物はそこには無く、残った電磁波はまだジリジリと飛び交っていて、自分の力を示すかのように1キロはあろうかという地面がえぐり取られていた。
そしてその中心に立っている人物…。
少し離れていてもわかる…絶対に間違うわけはない…。あれは…。
「……テン…テン………。」
どおして…どおしてここにいるの?
それにあの魔力…どこで手に入れたの…。
「あれがあかりの探してた恋人?随分と物騒になったね…。」
確かに今までのテンテンとは違う…。
私はふとリリーがアレリーと一緒にいたと言っていた事を思い出した。
「テンテン…操られているの?」
「いや…そんな魔力は感じられない。奴は自分の意思でここに来て、自分の意思で俺達を殺そうとしている。全く…何を吹き込まれたんだか…。」
瞭然の言葉は私の心を切り刻むようだった。
そんな…どおして…。
「ここで暴れると政府の人間にすぐに気が付かれる。ひとまず此処から逃げよう。」
「その方が賢明だな。」
そう言ってゴルディーはリリーを抱えた。
そしてジェラルドの提案通りに、私達は逃げる事にした。
「瞭然…貴様達全員を…殺す!!!」
しかしそう言いながらテンテンは飛びかか流ように追いかけてきた。




