檻から見たマータル
もう1人の龍の者憑きに出会ってからどれくらいの時間が経過したのだろうか…リリーの言っていたこの檻から出る方法は一向に何がわからないまま朝日がゆっくりと顔を出そうとしていた。
この檻の中には小さな小窓があるがそこから見える景色の大部分は野菜や果物が育てられていた。
お腹空いたなぁ…昨晩は緊張のせいか一睡も出来なかったし…私以外はみんな精神が強いのだろうか、少しは睡眠を取っているようだった。
そんな事をぼーっと考えていると誰かが私達に話しかけてきた。
「これからお前達の部屋を別々に別ける。そしてそれぞれに取り調べを始めるのでまずこの薬を飲むように。」
そう言って刑務官らしき人は紙コップに入ったエメラルドグリーンにパチパチと光を放っている液体を差し出してきた。
「これはこれは…真口薬じゃないか…俺達に何を質問する気なのかねぇ…。」
ジェラルドがコップを手に取りながら相手を挑発するように言った。
「真口薬って何?」
「簡単に言うと嘘が付けなくなる薬だよ。」
リリーもコップを手に取ると躊躇なく飲み干した。
「そんな、飲んで大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫、死にはしないよ。この中の誰かに何か聞き出したい事があるんだ。まだ殺す時期じゃ無いってところだね。」
聞き出したい事って…誰に何を…もしその話が終われば私達はどうなるの?
いろんな不安が頭をよぎった。
「燈もさっさっと飲めよ。お前が飲むまであいつこの檻の鍵開ける気は無いからな。」
いつのまにか私以外はみんな飲み干していた。
仕方がないので私も一気に飲み干した…味はしなかった。
確かに何か飲んだ筈なのに水を飲んだ感覚もない、不思議な感覚だった。
「ではこの手枷を付ける。」
私達は手枷を付けられた後檻から1人ずつ檻の外へ出され、別々の部屋へと連れていかれた。
小さな個室へ入れたれた後、私の前には1人の刑務官がいた。
「まぁ座りたまえ。」
私は促されるまま席に腰かけた、そして重々しい空気感の中その人は淡々と話を進めて行った。
「まず、君の名前を聞こうか。」
「か…神乃…燈……。」
燈だけ言おうとしたが、体が勝手にフルネームを名乗った。
「なるほど、その名前と言うことは神龍守の人間か?」
「……はい。」
「では君が龍の者憑きかね?」
「……いいえ。」
本当の事を話してしまうなら黙っておこう。そう思ったが勝手に口から言葉が出ていた。
質問をされると体がむず痒くなって、答えずにはいられなかった。
「じゃあ誰が龍の者憑きなんだ?」
「……瞭…然。」
「苗字は?」
「知らない。」
「さっきの仲間に一緒にいるね?」
「…はい。」
「では龍の逆石を知っているか?」
「知りません。」
龍のさか…いし…?
刑務官は何やら困った顔をしていた。
「お前…魔法は使えるのか?」
「……はい。」
「どこで覚えた?」
今までの顔付きが変わって鋭い目付きになったのがわかった。
「それは…」
龍の石の事を言いかけた時、部屋の外から大きな爆発音がした。
すると警報が鳴り響き部屋の外から慌ただしい騒ぎ声が聞こえてきた。
「くそ、こんな時に何事だ!お前はこいつを見張ってろ!」
他人に私を見張らせるよう指示すると刑務官は様子を見に部屋から出て行った。




